iDeCoの平均的な運用利回りはどれくらい?
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過去の実績を見ると、iDeCoの平均的な運用利回りは3〜5%です。一般的に、iDeCoの運用利回りは、1年あたりどれくらいの割合で資産が増えたのかをパーセンテージで表しています。
資産運用の最終的な総資産額は、運用利回りや積立額、運用年数をもとに計算できます。例えば、運用利回り4%で積立額1万円を10年間運用した場合、最終的な総資産額は147万2,498円です。運用利回りが数%違うだけでも得られるリターンは大きく変わるため、商品選びの際は運用利回りを必ず確認しましょう。
そもそも運用利回りって何のこと? 利率との違いも解説
ここからは、運用利回りとは何かを詳しく解説します。iDeCoに加入する前に身につけておきたい基礎知識なので、ぜひチェックしてみてください。
運用利回りは投資金額に対する収益の割合のこと出典元:Getty Images
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運用利回りとは、投資金額に対して得られる収益の割合を指す言葉で、リターンやトータルリターンとも呼ばれます。運用利回りは以下の計算式で算出が可能です。
- 利回り(%)=(譲渡損益+分配金)÷投資金額×100
譲渡損益とは、金融商品を売却した際の利益や損失のこと。分配金とは、投資信託で運用益のなかから投資家へ分配・還元されるお金のことです。iDeCoの運用利回りは、1年間の譲渡損益や分配金をもとに計算するため、年ごとに異なるのが一般的です。
運用利回りには表面利回りと実質利回りがある
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運用利回りは、表面利回りと実質利回りに分けられます。表面利回りと実質利回りの違いは、投資にかかるコストや税金を計算に入れているかどうかです。
表面利回りには、iDeCoの金融商品を運用するときにかかる手数料や信託報酬、税金などが計算に入っていません。一方、実質利回りには手数料や信託報酬、税金などが加味されています。
iDeCoではさまざまな手数料の支払い額が運用成績に反映されるため、表面利回りだけを見て金融商品を選ぶと、想定と異なる結果になる可能性も。iDeCoの商品選びでは、さまざまなコストも加味して計算した、実質利回りに注目することをおすすめします。
利回りと利率の違いもおさえておこう
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運用利回りと混同されることの多い言葉が利率です。利率とは、預貯金などの金額に応じて受け取れる利息の割合のこと。一方、利回りは、投資した元金に対する収益の割合を表しており、投資全般で使用されます。
利回りと利率は、どちらもお金の運用を考える際に使われる言葉ですが、含まれる意味合いは異なるので、しっかりと区別しておきましょう。
iDeCoで運用利回りが重視される理由
次に、iDeCoの運用利回りが重視される理由を具体的に解説します。iDeCoで効率的に資産運用するためのポイントでもあるので、ぜひ参考にしてください。
運用利回りは損失の回避やインフレ対策に関わる
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運用利回りは、損失の回避に関わる重要な要素です。少しの利回りの差で最終的な資産額は大きく変わり、利回りが想定よりも低くなると損失が生じる可能性もあります。利回りに注目して資産を運用していると、資産を順調に伸ばしやすくなるでしょう。
運用利回りは、インフレ対策に大きく関わることも覚えておきましょう。物価が上昇し続けるインフレ状態になると、資産の価値は実質的に目減りしてしまいます。インフレで資産の価値を減らさないためには、インフレ率以上の利回りを達成しなければなりません。
現在の日本の銀行預金は超低金利といわれています。100万円を利率が0.001%の普通預金口座に預けても、1年で利息は100円しかもらえません。銀行に預けていても資産はほとんど増えない現状のなか、インフレに対応するには資産運用で一定の運用利回りを確保することが重要です。
運用益を丸ごと再投資できて利回りの向上につながる
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iDeCoは、投資で得られた運用益が全額非課税になる制度です。iDeCoの運用益をそのまま再投資できれば複利効果が大きくなるため、高い利回りを期待できます。
複利効果とは、利益の再投資によって、利益が利益を生み出す仕組みのこと。運用期間が長ければ長いほど、利益は雪だるま式に増えていきます。通常、再投資されるのは元本と税引き後の運用益です。しかし、iDeCoでは運用益を丸ごと再投資できるため、得られる利益が大きくなります。
掛金は全額所得控除となり各種税金が軽減される
掛金が所得控除されて、税負担が抑えられるのもiDeCoのメリットです。例えば、年収500万円の人がiDeCoで掛金を毎月1万円・年額12万円支払った場合を試算してみましょう。この場合、所得税と住民税をそれぞれ10%とすると年間24,000円の税金が軽減されます。
掛金の所得控除は直接、運用利回りに影響するものではありませんが、手取りが増えるので、実質的な利回りを上げられることも覚えておきましょう。
【運用利回り別】iDeCoの将来資産額をシミュレーション
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運用利回りがよくなると、将来の資産額はどれくらい変わってくるのでしょうか。月々の掛金を1万円・運用期間を35年間と仮定して、運用利回り1%、3%、5%、10%の場合で比較してみましょう。
シミュレーションすると、35年後の資産額は運用利回り1%で502.6万円、3%で741.6万円、5%で1136.1万円、10%で3796.6万円にのぼります。運用利回りが高くなるほど最終的な資産額は大きくなり、1%と10%では3294万円ほどの差が出ました。
運用利回りの違いによって、将来受取れる資産額は大きく異なることを理解しておきましょう。ただし、利回りが高いと損失のリスクも高まる傾向がある点にも注意してください。
職業によって掛金の上限が異なる
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iDeCoの将来資産額を自分でシミュレーションする際は、職業や加入している国民年金の種類によって掛金の上限が異なる点に注意してください。加入区分は国民年金の第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者、任意加入被保険者の4つに分けられます。
自営業者を始めとする第1号被保険者や任意加入被保険者の掛金上限は、月額6.8万円・年額81.6万円まで。これはiDeCoだけでなく、国民年金基金または国民年金付加保険料を合算した金額です。
厚生年金に加入している第2号保険者は、企業型DCや企業年金の加入有無などによって掛金上限が異なります。会社に企業年金がない場合は月額2.3万円・年額27.6万円まで。企業型DCのみ加入している場合は月額2万円・年額24万円と決まっています。
企業型DCとDBの両方に加入している人、DBのみに加入している人、公務員は月額1.2万円・年額14.4万円までです。ちなみに2024年12月からは、公務員や確定給付年金がある会社員の掛金上限が2万円に引き上げられます。
専業主婦・主夫などの第3号被保険者は、月額2.3万円・年額27.6万円までが上限です。自分の加入区分を確認し、上限がいくらまでかを把握したうえでシミュレーションしてみましょう。掛金の決め方に迷ったときは以下の記事も参考にしてみてください。
iDeCoの利回りについて知っておくべきポイント
最後に、iDeCoで資産運用を行う際に知っておくべき利回りのポイントを紹介します。資産運用全般で活かせる内容でもあるので、ぜひ最後までチェックしてください。
必要な老後資金から目標の運用利回りを考えよう
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iDeCoを始める際は、運用利回りの目標を決めることが重要です。iDeCoで形成したい資産額を明確にして、運用利回りを逆算してみましょう。
金融庁の資産運用シミュレーション(外部サイト)を利用すれば、積立金額や運用年数、運用利回りをもとに、最終的な資産額を試算できます。どのくらいの運用利回りが必要かわかると、運用する商品や資産配分を考えやすくなるはずです。
手数料によって平均利回りが下がる可能性もある
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iDeCoでは、さまざまな手数料が発生するため、実質利回りが下がる可能性もあります。
iDeCoで資産運用を行う場合、加入・移管時に2,829円、掛金支払いのたびに105円、iDeCo口座を保有しているだけでも66円の手数料を支払わなければなりません。口座を開設している金融機関に支払う運営管理手数料も別途必要です。金融機関ごとに運営管理手数料は0〜500円前後と差があるため注意してください。
もともと運用利回りが低い金融商品では、手数料が運用益を上回ってしまい、資産がマイナスになる可能性も。できる限り、手数料が安い金融機関を選びましょう。以下のページでは、各証券会社の手数料などを紹介しているので、参考にしてみてください。
資産配分を定期的に見直すことが重要
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iDeCoでは加入時に、どの運用商品をどの程度購入していくかを設定しますが、運用期間中に資産配分を見直すことも大切です。見直しの方法は主に2つ。今まで運用してきた商品を売却して、別の商品を購入するスイッチングと、毎月の掛金で購入する商品とその割合を変更する配分変更です。
例えば、定年が近い場合は、いったん利益を確保して、リスクを抑えた商品構成にスイッチングするのもひとつの選択肢といえます。市況が悪くなれば、株式よりも低リスクで運用できる債券に比重をかけた配分変更を行うのもよいでしょう。資産配分の見直しは、年1回を目安に行うことをおすすめします。
商品を選ぶ際はリスクも考慮しよう
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資産運用にリスクはつきものです。iDeCoの商品を選ぶ際は、リスクとリターンのバランスを慎重に見極める必要があります。価格変動幅の大きい商品は、大きなリターンを狙える一方、大きな損失を出すリスクがあることを覚えておきましょう。
iDeCoでは元本確保型と投資信託の2種類から商品を選べます。元本確保型の代表例は保険商品・定期預金です。元本確保型商品は得られるリターンは小さいものの、低リスクで運用できるのが特徴といえます。投資信託は、大きなリターンを期待できますが、元本割れが生じることも少なくありません。
商品を選ぶ際は許容できるリスクと期待するリターンのバランスを考え、資産配分を考えてみましょう。例えば、平均利回り3.8%を目指す場合の投資信託のポートフォリオには以下が挙げられます。
- 国内債券型が60%
- 国内株式型が15%
- 外国株式型が15%
- 外国債券型が10%
リスクの大きい順に投資信託の商品を並べると、外国株式型>国内株式型>外国債券型>国内債券型となります。平均利回り3.8%を目指すなら、リスクの高い株式型の配分は抑え、国内債券型の割合を多めにするのがおすすめ。より大きな利回りを狙うなら、株式型や外国債券型を増やすのも手です。
ポートフォリオを参考にしながら、自分がどこまでリスクを許容できるかも把握したうえで、目標とする運用利回りに適した商品選びを心がけましょう。
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