iDeCoの掛金上限は職業によって異なる
まずは、iDeCoの掛金上限額を詳しく解説します。職業などによって月12,000円〜68,000円の幅があるので、自分の掛金の上限額がいくらになるのか確認してみましょう。
自営業者の場合
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自営業者などの国民年金第1号被保険者は、月68,000円を上限に掛金の設定が可能です。国民年金第1号被保険者には、フリーランスや学生なども該当します。
上限額は年間で換算すると81万6,000円であり、年1回の拠出も認められているので有効に活用しましょう。掛金を拠出するたびに必要な105円の手数料を節約できます。
ほとんどの自営業者はiDeCoに加入できますが、農業者年金の被保険者や、国民年金保険料を免除または一部免除している人は加入できない点には注意が必要です。
国民年金の任意加入被保険者の場合
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60歳以上65歳未満の会社員や公務員、専業主婦(夫)でない人、海外赴任以外で海外に居住する人は、国民年金保険に任意加入すればiDeCoに加入できます。掛金の上限額は月68,000円・年81万6,000円です。
任意加入とは、本来国民年金保険に入る必要のない人が自分から希望して加入する制度のこと。国民年金保険料の納付期間が40年に達している人は、任意加入できません。学生時代に国民年金の保険料を免除していた人などが主な対象となるでしょう。
会社員や公務員の場合
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会社員は、会社に企業年金があるかどうかで上限額が変わります。企業型DCや確定給付型の年金がない会社員は月23,000円、企業型DCだけがある会社員は月20,000円、確定給付型の年金がある会社員は月12,000円です。公務員は、一律で月12,000円と覚えておきましょう。
企業型DCとは、企業型確定拠出年金の略称です。自分で商品を選んで運用する点はiDeCoと同じですが、掛金を会社に負担してもらえる点が大きく異なります。iDeCoは、企業型DCに加入する会社員にとっては使いづらい制度でしたが、2022年10月の改正により企業型DCとiDeCoの同時加入がしやすくなりました。ただし、同時加入にはいくつかの条件があるので注意が必要です。
<企業型DCのある会社員がiDeCoに同時加入するための条件>
- 企業型DCが毎月拠出
- 企業型DCでマッチング拠出を利用していない
- 企業型DCのみ加入している場合は、拠出金額が月5万円以下
- 企業型確定拠出年金と確定給付型の年金に加入している場合は、拠出金額の合計が月22,500円以下
マッチング拠出とは、企業型DCで企業が拠出した掛金とは別に、自分で掛金を追加する制度です。iDeCoに加入する際は、マッチング拠出の利用を停止する必要があります。企業型DCに加入している会社員は、自分がiDeCoに加入できるかどうか事前にチェックしておきましょう。
専業主婦(夫)の場合
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専業主婦(夫)の掛金上限額は月23,000円・年27万6,000円です。専業主婦(夫)は国民年金の第3号被保険者であり、保険料は夫や妻の勤務先の厚生年金や共済組合が負担しています。自分で負担していなくても事実上、保険料を支払っているので、iDeCoへの加入が認められていると理解しておきましょう。
2024年12月から公務員や一部会社員のiDeCoの掛金上限が変わる
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2024年12月からは、公務員や確定給付型の年金がある会社員の掛金上限額が月12,000円から20,000円に引き上げられます。これまで掛金上限額が低く感じられていた人も、より柔軟にiDeCoで資産運用ができるでしょう。
ただし、企業型DC・確定給付型の年金・iDeCoの掛金を合算して月55,000円を超えることはできません。iDeCoの掛金は最低月5,000円なので、企業型DCや確定給付型の年金が合計で月50,000円を超える人はiDeCoに加入できない点に注意しましょう。
iDeCoの掛金の平均はいくら?
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iDeCoの掛金の平均拠出額は、職業ごとに異なります。2022年1月時点で、自営業者は月28,767円、会社員や公務員は月14,551円、専業主婦(夫)は月15,451円です。手厚い年金制度がある第2号被保険者の掛金は少なく、国民年金のみの第1号被保険者は多めに拠出する傾向にあります。
あくまで毎月拠出している人の平均額であり、年1回拠出している人は含まれていません。最適な拠出額は収入やライフスタイルなどによっても異なるので、平均額は1つの目安にして、無理のない掛金を設定しましょう。
※参照:iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況(2022年1月時点)(外部サイト)
iDeCoの掛金を決める際のポイントと注意点
iDeCoの掛金を決める際には、いくつか注意すべきポイントがあります。iDeCoの掛金は年1回しか変更できないので、加入前に必ず確認しましょう。
目標金額と運用期間から逆算して積立額を決める
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iDeCoの積立額は、貯めたい老後資金の目標金額と運用期間から逆算して決めることをおすすめします。老後の生活費から公的年金・退職金を差し引いたうえで、現実的な目標金額を設定することもポイントです。
目標金額を決めたら、金融庁の資産運用シミュレーション(外部サイト)で運用期間・年間の運用利回り・目標金額を入力し、毎月必要な積立額を割り出しましょう。たとえば、運用期間30年、運用利回り5%、目標金額2,000万円の場合、毎月必要な積立金額は24,031円です。
生活に支障がでない金額を掛金に設定しよう
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毎月の積立金額は、生活に支障が出ない金額を設定してください。iDeCoは、一度掛金を拠出すると原則60歳まで出金できません。生活が苦しくて借金をしなければいけない状況になったとしても、1円も引き出せないことを覚えておきましょう。
iDeCoの掛金は毎月5,000円から上限額まで1,000円単位で決められます。毎月の収支状況にあわせた掛金を設定しましょう。
毎月の定額拠出が難しい場合は、任意の月にまとめて納付する年単位拠出を利用するのも1つの方法です。月々の掛金を抑えながらも、ボーナス月など収入が増える時期に多く積み立てられます。
収入に増減がある場合は掛金を変更しよう
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iDeCoの掛金は、年間1回までなら変更できます。収入が減って掛金の拠出が苦しくなった場合や、収入が増えて掛金を増やす余裕ができた場合などは、掛金の変更を検討してみてください。
掛金を変更したいときは、iDeCoに加入している金融機関に問い合わせて書類を請求しましょう。送られてきた書類に必要事項を記入して返送すれば、掛金を変更できます。一度掛金を変更すると年が変わるまでは再変更できないので、掛金を増やしすぎて生活に支障が出ることのないように注意しましょう。
資産運用はiDeCoとつみたてNISAを併用するのもおすすめ!
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iDeCoには掛金の上限があるため、より多くの資金を運用したい人は、iDeCoだけでなくつみたてNISAの利用も検討してみましょう。
つみたてNISAは年間40万円までの投資で得られた利益が最大20年間非課税になる制度です。原則60歳以降にならないと資産を引き出せないiDeCoとは異なり、いつでも自由に出金できるのもメリットといえるでしょう。
iDeCoの掛金上限額が低い会社員・公務員や、近い将来必要なお金を効率的に貯めたい人には、つみたてNISAとの併用が特におすすめです。
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