米EU、重要鉱物で戦略的提携
◾️磁石用レア・アース部分の合意内容について
1 対象としての「磁石用レアアース」
EUの重要原材料法案および関連文書では、「磁石用レアアース」が明示的なカテゴリーとして設定されており、具体的には
ネオジム(Nd)
プラセオジム(Pr)
サマリウム(Sm)
テルビウム(Tb)
ジスプロシウム(Dy)
ガドリニウム(Gd)
セリウム(Ce)
を「磁石用レアアース」として列挙しています。
米EUの行動計画・覚書は、重要鉱物を個々に列挙する代わりに「レアアース」や「磁石用レアアース」をまとめて扱っていますが、このEU側定義から見て、上記の磁石向け元素群が対象に含まれると読むのが自然です。
2 磁石サプライチェーンまで踏み込んだ合意事項
米当局者の説明では、「各国は特定の産業に不可欠な重要鉱物を割り出し、採掘からレアアース磁石などの製品への加工を支援する政策を共同で策定する」とされています。
ここで明示的に「レアアース磁石」が挙げられ、原鉱石→酸化物→金属→磁石製品までを対象とするサプライチェーン強化が合意の射程に入っていることが確認できます。
2月4日の重要鉱物閣僚会合に続く米・EU・日本の共同プレス声明では、
採掘・精製・加工・リサイクルに関するプロジェクトを特定・支援する覚書を30日以内に締結する、と明記されています。
この「加工」には、電池材料や合金と並んで、永久磁石材料の製造が含まれるという説明が、米側・民間レポートで繰り返されています。
3 リサイクル・スクラップ規制と「磁石」への直接言及(EU側)
欧州委の行動計画(CRM行動計画)の中では、
永久磁石の含有表示義務の対象製品拡大
廃棄物・スクラップからの永久磁石回収・リサイクル促進
永久磁石スクラップ輸出制限の導入検討
が、具体的措置として挙げられています。
これは、「鉱山からだけでなく、既存製品に含まれる磁石(NdFeB系など)を新たな資源として位置づけ、域内循環させる」ことを、米EU協力の柱の一つとする方向性を示しています。
4 米国側の磁石政策との接続
米国は国防生産法(DPA)等に基づき、
レアアース鉱山
精製・分離施設
ネオジム磁石製造プロジェクト
への投資支援を既に行っており、「2025年末までにネオジム磁石1,000トン/年の国内生産」を目標にしています。
日米枠組みでは、日本企業のネオジム・プラセオジム製品に対し「10年間の最低価格保証」や「建設予定の磁石工場からの10年購入コミット」が取り決められており、米EU枠組みもこの延長線上で、磁石材料の価格安定・長期オフテイクを含む政策支援を検討対象にしています。
5 まとめ:正式文書から見える「磁石」関連の骨格
正式合意・関連公式文書を磁石に関する部分だけ抜き出すと、以下のように整理できます。
1.対象元素として、ネオジム・プラセオジム・サマリウム・テルビウム・ジスプロシウムなどの「磁石用レアアース」が重要鉱物リストの中核に位置づけられている。
2.米EU行動計画は、採掘から「レアアース磁石など最終製品への加工」までのサプライチェーン支援を共同で行う方針を明記している。
3.EU側行動計画には、永久磁石の表示義務拡大、スクラップ輸出制限、リサイクル強化など、磁石そのものに直接関わる措置が含まれている
4.日米枠組みや米国内政策と接続する形で、ネオジム磁石生産への投資・長期最低価格保証・オフテイク契約など、「磁石としての安定供給」を支える金融・貿易政策が並行して動いている
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