お茶を飲みながら読めるドキュメンタリーです。完全エンタメ投稿です(1/x)
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ノンフィクション・ドラマ: 「110億ドルの防衛戦」(The $11B Defense)
第1部:前提知識 ― なぜ彼らは顔色を変えるのか?
このドラマを理解するために、現在のAML(白血病)治療の「階級社会」を知る必要があります。
【現在の序列】
1. 絶対王者:Venetoclax(AbbVie社)
• 役割: 「火消し役」。燃え盛るがん細胞を一気に消す、最強の薬。年間数千億円を稼ぐ。
2. 維持療法のプリンス:Onureg(BMS社)
• 役割: 「見張り役」。火が消えた後の**CR1(元気な患者)**にだけ使い、再発を防ぐ。
• 限界: 一度再発してしまった**CR2(重症患者)**には効かない。
【ここで現れた怪物:GPS(SELLAS社)】
今回のPh3結果: mOS 31.0ヶ月 (対象:最も重症なCR2患者)
【衝撃の理由】
• 逆転現象: 「CR2(重症)」の患者が、GPSを打つと「CR1(元気)」の患者よりも長生きしてしまう。
• 意味: 「重症でこれだけ効くなら、元気なうちに打てば一生再発しないのではないか?」
• 結論: GPSは、AbbVieの「火消し」以外のすべての役割を奪い、BMSの「見張り」を完全に失業させる**「ゲームチェンジャー(破壊者)」**として降臨したことになります。
第2部:開戦 ― Day 0
2025年12月X日 AM 7:00 (EST) - ニューヨーク
SELLASがプレスリリース配信。
「REGAL試験においてmOS 31.0ヶ月を達成。対照群(10.5ヶ月)に対し死亡リスク70%減」
AM 7:01 - アルゴリズムの反応
高頻度取引(HFT)AIが「31.0 Months」というキーワードを検知。0.1秒で買い注文が殺到し、SLS株はプレマーケットで急騰、サーキットブレーカー(取引停止)が発動。
AM 8:00 - Stifel ニューヨーク・オフィス
電話は鳴り止まないが、シニア・バンカーたちは受話器を取らない。秘書チームが全ての外線をブロックしているからだ。
彼らは静かに、事前に作成していた**「招待状」**を一斉送信する。
宛先: AbbVie, BMS, Merck, Pfizerの事業開発統括(Global Head of BD)
件名:【至急・機密】Project Phoenix(SLS) 入札プロセス開始の通知
「データはご覧の通りです。31ヶ月。これは交渉の余地のない『勝利』です。
単刀直入に言います。今回は**『現金のみで50億ドル(約7,500億円)』**を足切りライン(Floor)とします。
それ以下のオファー、および株式交換の提案は読まずに破棄します。
キャッシュを用意できる方のみ、1週間以内にLOI(意向表明書)を送ってください」
第3部:選別 ― Day 7
各社の取締役会(Board Meeting)を経て、4通のLOIが届く。
1. Pfizer(ファイザー)の会議室
• CFO: 「Seagen買収(430億ドル)の支払いで手元資金が薄い。欲しいが、無理はできない」
• CEO: 「とりあえず45億ドルで出しておけ。どうせ他社がつり上げる。深追いはするな」
• → 結果: Stifelから「基準外です」と定型メールが届き、即日脱落。
2. BMS(ブリストル)の会議室
• 事業部長: 「Onuregが死にます。GPSを買収して自社製品にすれば、Onuregの減収をカバーできます」
• CFO: 「しかし、GPSを売れば売るほど、自社のOnuregの売上が減る『カニバリゼーション(共食い)』が起きる。純増益ベースで見ると、60億ドル以上は正当化できない」
• → 結果: 現金55億ドルを提示。
3. Merck(メルク)の会議室
• R&Dトップ: 「AMLはどうでもいい。この『WT1ワクチン』技術をKeytrudaと組み合わせれば、固形がんの特許切れ問題を解決できる。10年で1000億ドル稼ぐプラットフォームだ」
• → 結果: **総額85億ドル(現金55億+CVR30億)**という、将来の夢を乗せたオファーを提示。
4. AbbVie(アッヴィ)の会議室
• CEO: 「Venetoclaxを守るための手付金だ。まずは様子見で現金65億ドルを出せ」
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