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「質への逃避」がキャッシュから資産に向かう、アクティブファンドに活躍余地拡大=フィデリティ投信が見解

4/18 18:12 配信

ウエルスアドバイザー

 フィデリティ投信は4月18日、メディア向けに「新NISAとフィデリティの商品戦略」を説明する会合を開催した。「新NISA-変わる資産運用の意義」をテーマに語ったフィデリティ投信マクロストラテジストの重見吉徳氏(写真:左)は、「これまでは、資産運用をしている人が、その成果で贅沢ができていたが、これからは資産運用をしていない人の購買力が低下するといった、資産運用をやらないことでマイナスの影響がある時代になりそうだ。それだけ、より多くの人に運用が必要な時代になってくる」と見通した。そして、商品開発部長の松本学氏(写真:右)は、「アクティブ運用者として、様々な投資環境やお客様のニーズに適うような商品を幅広く取り揃えて提供してきたい」と、新NISAによって変化しつつある顧客ニーズを慎重に見極めて商品ラインナップを考えていくと語っていた。
 

 重見氏は、現在のマーケット環境について、「短期的には、インフレの見通しを間違えたFRBが、その間違えを正していく局面」という見方を示した。「FRBは2021年に『インフレは一時的』という間違った判断をし、5%引き上げた金利を早期に引き下げるという間違ったメッセージを出してしまった」とし、「そのFRBの判断に基づいてFRBの利下げ転換を先回りした債券市場で長期債が買われ、長期金利が低下するという動きになってしまった。この債券市場の誤った判断によって金融緩和的な環境になってしまい、結果としてインフレ率が再び上昇するという現在の状況を招いてしまった」と解説した。このため、「FRBは簡単に金利を引き下げるわけにはいかず、短期的には株式市場など資本市場には調整安のリスクがある」と見通す。
 

 そして、米国債務の積み上がりと高い金利によって、米政府の利払い額が急速に上昇している今、インフレが抑制できないという現実を受けて「キャッシュへの信認が薄れた結果、質への逃避で本来は現金に向かう動きが株式などの資産に向かっている」と現状を分析した。「米国のインフレ率は5%程度になってもおかしくない」として、「インフレによって資産運用の重要性が一段と高まるだろう」と見通した。
 

 フィデリティ投信商品開発部マネージャーの関原彗太氏(写真:中央)は、投信市場の資金流出入の推移から、「2024年1月に1.3兆円の資金流入、2月に1.4兆円の流入、3月に1.3兆円の資金流入と、新NISAのスタートもあって、月間で1兆円以上の資金が流入する状態が継続している。これまでとは次元の異なる資金流入になっている」と総括。そして、「資金流入しているファンドは95%が新NISAの対象ファンドと、NISA対象ファンドに物色が集中しているのは事前の想定を上回っている」と驚いていた。そして、2024年1月には資金流入しているファンドの76%はパッシブファンド(インデックスファンド)だったが、2月は69%、3月は63%と、パッシブファンドの比率が徐々に低下し、アクティブファンドが盛り返していることに注意を促した。
 

 松本氏は、今後の商品戦略として「アクティブ運用商品の魅力を伝えることに注力していく」と語っていた。「個人投資家の皆様は、ファイナンシャルゴールを理解、または、定義して、そのゴールを実現するにふさわしい商品を選択されるべき。その際には、専門的なアドバイザーの助言は非常に重要で、今後、投資家層のすそ野が大きく広がっていく中で、ファイナンシャル・アドバイザーの役割の重要性が顕在化してくるだろう」とした。そして、アドバイザーにフィデリティの運用について理解してもらうことが非常に重要になっていくと語っていた。また、「今後のマーケットはウクライナ情勢やイスラエル問題などの地政学リスク、さらに、インフレの高止まりなど、今後の見通しを不透明にしている要素が多い。このような時にこそ、ボトムアップで銘柄選定していくアクティブ運用の強みが活きてくる」としてアクティブファンドに活躍余地が広がるという見通しを示した。(写真は、左からフィデリティ投信の重見吉徳氏、関原彗太氏、松本学氏)
 

ウエルスアドバイザー

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最終更新:4/18(木) 18:12

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