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R&I「投信会社満足度調査」特集

投信会社満足度調査発表!
銀行や証券会社は
どの運用会社を評価したのか

情報提供:格付投資情報センター

公開日:2021年2月18日

 投資信託を販売する銀行や証券会社はどの運用会社を評価しているのだろうか――。格付投資情報センター発行の「ファンド情報」が実施した第14回「投信会社満足度調査」(調査協力・日経リサーチ)の「商品の運用能力に対する信頼感」に対する評価においては、国内株式ではアセットマネジメントOneが、外国株式ではゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントがそれぞれトップ評価となった。このほか、「販社に対するサポート力」「担当者の説明能力・人柄」について深掘りした設問の回答からは、日興アセットマネジメントの高評価が浮き彫りになった。本調査は銀行や証券会社、信用金庫を対象に質問票を送付、250社超から回答を得ている。

海外株は「netWIN」に軍配

 「商品の運用能力に対する信頼感」では、投資信託を「国内株式ファンド」「海外株式ファンド」「海外債券ファンド」「バランス型ファンド」「リート・ファンド」の5つに分け、それぞれの分野ごとに投信会社への評価を尋ねた。

 「海外株式」では、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントが前回よりも得点を0.25伸ばし最も高い評価(4.09)を得た。海外のテクノロジー関連企業の株式に資金を振り向ける「netWIN GSテクノロジー株式ファンド」の採用販売会社からの得点が原動力となった。販社からの声で共通するのは、「運用期間の長さと好調な実績を評価した」という声だ。

 一方、「期待していた『GS グローバル・ビッグデータ投資戦略』の実績はここ数年、インデックスに見劣りする印象だ」(大手金融機関)という指摘もあった。運用が振るわない商品のテコ入れが急務だ。

海外株式ファンドの運用能力
(2020年アンケート調査から)

順位 (前回) 投信会社 評価 (前回) 回答数
1 (1) ゴールドマン・サックス・
アセット・マネジメント
4.09 (3.84) 45
2 (4) 日興アセットマネジメント 3.82 (3.61) 116
3 (2) ピクテ投信投資顧問 3.77 (3.71) 52
4 (3) 三井住友トラスト・
アセットマネジメント
3.76 (3.65) 62
5 (4) アセットマネジメントOne 3.68 (3.61) 148

※表は左右にスクロールできます。

アセマネOneとフィデリティ拮抗

 残る4分野ではアセットマネジメントOneとフィデリティが2部門ずつ首位を分け合った。アセマネOneは「バランス」では、「投資のソムリエ」を取り扱う金融機関から支持を集めた。前回の実績を0.23上回る3.81の評価を得た。「コロナショック時の下げ幅の小ささは顧客に響きやすく、足元の販売の主力になっている」(複数の地銀)ことが印象を良くしている。

 同社は「国内株式」のカテゴリーでも最高得点を獲得した。国内中小型株式で運用する「MHAM新興成長株オープン(愛称:J-フロンティア)」や、小型株を組み入れる「企業価値成長小型株ファンド(愛称:眼力)」の実績の高さなどが評価されたようだ。

 フィデリティは「海外債券」と「リート」で首位。前者は「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」、後者は「フィデリティ・USリート・ファンド」を扱っている販売会社から評価を受けた。

国内株式ファンドの運用能力
(2020年アンケート調査から)

順位 (前回) 投信会社 評価 (前回) 回答数
1 (1) アセットマネジメントOne 3.69 (3.66) 141
2 (3) 東京海上アセットマネジメント 3.66 (3.61) 58
3 (4) 日興アセットマネジメント 3.59 (3.60) 117
4 - 野村アセットマネジメント 3.55 - 86
5 - フィデリティ投信 3.52 - 44

※表は左右にスクロールできます。

海外債券ファンドの運用能力
(2020年アンケート調査から)

順位 (前回) 投信会社 評価 (前回) 回答数
1 (2) フィデリティ投信 3.58 (3.44) 43
2 - 三菱UFJ国際投信 3.44 - 130
3 (1) アセットマネジメントOne 3.43 (3.48) 143
4 (5) 日興アセットマネジメント 3.42 (3.40) 113
5 (2) 野村アセットマネジメント 3.42 (3.44) 89

※表は左右にスクロールできます。

バランス型ファンドの運用能力
(2020年アンケート調査から)

順位 (前回) 投信会社 評価 (前回) 回答数
1 (4) アセットマネジメントOne 3.81 (3.58) 144
2 (2) 日興アセットマネジメント 3.76 (3.73) 117
3 (3) ピクテ投信投資顧問 3.71 (3.59) 51
4 (1) 東京海上アセットマネジメント 3.55 (3.87) 71
5 (5) 野村アセットマネジメント 3.47 (3.42) 89

※表は左右にスクロールできます。

リート・ファンドの運用能力
(2020年アンケート調査から)

順位 (前回) 投信会社 評価 (前回) 回答数
1 (2) フィデリティ投信 3.59 (3.57) 41
2 (4) 大和アセットマネジメント 3.46 (3.42) 104
3 (1) アセットマネジメントOne 3.42 (3.62) 144
4 (5) 三井住友DSアセットマネジメント 3.41 (3.41) 104
5 - 日興アセットマネジメント 3.41 - 102

※表は左右にスクロールできます。

ピクテ、迅速な情報提供

 「販社に対するサポート力」では、(1)顧客向けセミナーの講師役を務めた運用会社社員(2)販売員向け研修の講師役を務めた運用会社社員(3)セミナーや勉強会で使用した資料や動画などの質──の3項目について聞いた。

 日興アセットは3項目全てで前回よりも評価を伸ばし、最高得点を獲得した。中でも、大きな上昇幅を見せたのは動画提供などに関連する(3)で、前回よりも0.1高い4.12だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、販売員向けオンライン研修開催を働きかける動きが広がったが、「IT環境の整備の遅れで利用できない」(大手銀行)ところもあったため、別途、研修用動画を作成して提供。「日興のウェブサイトに掲載してくれたので、販売員が自身のパソコンやスマートフォンからいつでも視聴することができた」(同)という声があった。

 「担当者の説明能力・人柄」では、(4)提供される情報の質の高さ(5)その情報を提供するタイムリーさ(6)その担当者と一緒に仕事がしたいと思う──の3項目を尋ねた。いずれも日興アセットが最高得点。情報提供に関連する(4)(5)では、昨年は6位以下だったピクテ投信投資顧問が浮上して日興に次ぐポジションを確保した。ピクテは「サポート」でも高い評価を得ている。「新型コロナ問題が発生した時の販社支援は、日興並みに手厚かった。特に、ピクテの投資教育システム『BASE』を利用している販売会社への情報発信は迅速だった」(東日本の地方銀行)という感想があった。

 投信販売において、ここ数年、強調されているのがフィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)の重要性だ。そうした流れにあわせるように、販売会社の評価軸も、かつてのように、「いかに売りやすい商品か」から「いかに投資家のためになる商品か」に変わってきているといえるだろう。数多くの投信運用会社と日常的に接する販売会社による評価は、個人投資家にとっても、参考になる指標ではないだろうか。

 「投信会社満足度調査」は、投資信託の販売会社に対するアンケートに基づき集計した結果であり、ランキング対象である投信会社のファンドについて、過去の運用実績、将来のパフォーマンスおよびサービスの品質を格付投資情報センター(R&I)が保証するものではありません。また、当該投信会社の投信の選定や購入、売却、保有を推奨するものではありません。

 当特集は「ファンド情報」No.340(2020年11月23日発行)の内容を元に再構成した。ファンド情報では「投信会社満足度調査」(調査協力・日経リサーチ)について、No.339(2020年11月9日発行)以降、あらゆる角度から調査結果を分析し、解説している。

「ファンド情報」No.340(2020年11月23日発行)

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