Yahoo!ファイナンス 投資信託特集
急拡大のインデックス投信、
コスト競争が「テーマ型」に波及

 「日経平均株価」や「東証株価指数」などの指数に連動した運用成果を目指すインデックス投資信託の残高が拡大している。中でも運用会社が主にインターネットチャネル向けに「シリーズ」としてラインアップを設けている商品の純資産総額は2019年10月末、1兆5000億円を超えた。つみたてNISAのスタートや外国株の好調な運用成績が残高増を後押しした。

 一方で、運用会社は信託報酬の引き下げ競争を迫られており、収益の拡大に向けて新たな施策も求められる局面となった。打開策として出てきたのがテーマ型インデックスの強化だ。コスト競争は従来と異なるタイプのインデックス投信に波及している。

(R&I「ファンド情報」栗秋慎児、伴野隆馬)

インデックス投信戦国時代の到来

大手6社で全体の8割

 国内の追加型株式投資信託(除くETF)のうち、目論見書や有価証券届出書の商品分類が「インデックス型」に分類されるファンドの純資産総額は2019年10月末、11兆円に達した。今回の特集で取り上げるのは、インデックス投信の中でも、国内の大手運用会社が個人投資家に向けて「シリーズ」としてラインアップをそろえ、残高の拡大を目指すものだ。

 インデックス投信シリーズの先駆けは08年1月に三井住友トラスト・アセットマネジメントが設定した「SMT」シリーズだ。続いて09年には三菱UFJ国際投信が「eMAXIS」シリーズ、10年には野村アセットマネジメントが「Funds-i」シリーズを立ち上げた。この3社に大和証券投資信託委託の「iFree」、ニッセイアセットマネジメントの「購入・換金手数料なし」、アセットマネジメントOneの「たわらノーロード」を加えた6社のインデックスシリーズについて、信託報酬を表にまとめた。各社とも国内株、先進国株、新興国株など複数の投信を品ぞろえしており、その総数は足元で約200本に達している。6社の合計残高は全体の8割を占めており、各社の商品戦略は今後のトレンドを占う意味でも重要になる。

(注)R&I編集事業部が作成。信託報酬は各資産クラスの中で最も低い水準を税抜きで表示。
2020年1月9日時点

純資産総額は4年で3倍に

 インデックス投信シリーズの純資産総額は右肩上がりで推移してきた。15年10月に5000億円に達した後、17年後半ごろから増加ペースが上がり19年10月末時点で1兆5000億円台に達するなど、直近4年間で約3倍に拡大している。

三菱UFJ国際投信 デジタル・マーケティング部長
今井俊輔氏

 三菱UFJ国際の今井俊輔デジタル・マーケティング部長はインデックスシリーズ拡大の背景について、「18年1月に始まったつみたてNISAをきっかけに残高が拡大した。『老後2000万円問題』も影響し、19年6月以降、短期売買の傾向が強い国内株式を除いたインデックス投信の設定額は3割程度増えた」と分析する。
18年3月時点で、同社は純資産総額の2兆円規模到達を22年末と予想していたが、今井氏は前倒し達成の可能性が高まったとみる。

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