Yahoo!ファイナンス 投資信託特集
「新型」レバレッジ投信
増加、
倍率可変型などタイプ多様化

おおまかなリスクパリティ

日興アセットマネジメント
マーケティング部長
今福啓之氏

 日興アセットが20年2月12日に設定した「グローバル5.5倍バランスファンド(愛称:ゴーゴー・バランス)」は、レバレッジ倍率を5.5倍とし、株式、債券、REITだけでなく、金などのコモディティを加えた。

「3倍3分法」と同様、「大まかなリスクパリティ」の運用哲学の下で設計されている。「ゴーゴー・バランス」は投資対象を株とREIT、債券と金(コモディティ)という2グループに分け、双方のリスク量がおおむね均等になるように配分を定めている。さらに、リスク・リターンの比率を「3倍3分法」と同一になるようにデザインしている。「3倍3分法」の販売資料で個人投資家にもよく知られるようになった「有効フロンティア」の図で考えれば、両投信は「同じ線上に存在するイメージ」(マーケティング部長・今福啓之氏)という。

 結果的に、ポートフォリオの資産比率は3倍3分法と異なる。具体的には、「ゴーゴー・バランス」の「1倍」に当たるポートフォリオは、「3倍3分法」の「1倍」のポートフォリオに比べ、債券の比率がやや大きくなっている。

 「3倍3分法」は18年10月4日に設定され、その月から年末にかけて株式相場が急落した。このことがかえってその後の基準価額の戻りの強さを印象づける結果となり、19年春以降の爆発的な資金流入に結び付いたといわれる。

 さて、「ゴーゴー・バランス」の方はといえば、今年2月12日に設定され、同月下旬には「コロナショック」が生じた。NYダウは同月だけで1000ドル超の下落を2度経験する異例の事態に。同社は「戻りの強かった3倍3分法と同じような推移となることで、商品コンセプトへの信頼が高まると期待している」(今福氏)としている。

倍率可変でリスク水準維持

 資産配分倍率可変型は、バランス運用と単一資産を投資対象とする商品にさらに二分される。前者の可変型バランスで純資産額が1000億円を超えている商品が「マンAHLスマート・レバレッジ戦略ファンド(愛称:スマレバ)」(大和証券投資信託委託)だ。同投信は、世界各国の株価指数先物、債券先物を投資対象とする。各資産の組み入れ比率はリスクパリティの考え方に基づき、リスクの量を同一とするため、リスクの高い資産の配分が小さくなり、リスクの低い資産の配分が大きくなるのが原則だ。

 同投信は、また、リスク水準を10%に維持することを目的とした、仕組みの異なる大小2つの「ブレーキ」機能を売りにしている。

 1つ目のブレーキは、「モメンタムシグナル」あるいは「小さなブレーキ」と呼ばれる。ある資産の下落トレンドを察知すると、その組み入れ比率を最大半減する。
レバレッジを活用しているのは、「HEAVYモデル」または「大きなブレーキ」と呼ばれる2つ目のブレーキ。ポートフォリオ全体のレバレッジ倍率を引き下げることで、組み入れ比率ではなく持ち高そのものを減らすことができる。「小さなブレーキ」が単一資産の値下がりに備えるためのものだったのに対し、「大きなブレーキ」は株式と債券の同時下落に備える。

 実質的な運用を行うマンAHL社が作成した過去のシミュレーションでみると、「大きなブレーキ」が発動していない市況では350%程度まで引き上げていることがある。

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