Yahoo!ファイナンス 投資信託特集
「新型」レバレッジ投信
増加、
倍率可変型などタイプ多様化

信報下げ、運・販で負担

大和証券投資信託委託
営業企画部企画課長
大久保智弘氏

 パフォーマンスの不調時に信託報酬を引き下げる「可変型報酬体系」も訴求力となり、大和証券では19年10~12月期の販売額首位となった。

 信託報酬の引き下げは、運用会社と販売会社の双方の負担となる。それでも、あえて同社が可変型報酬体系を取り入れた狙いは、「途中解約を防ぎ、長期保有のしやすい商品とすること」(営業企画部企画課長・大久保智弘氏)だという。

「資産配分可変型」のレバレッジ活用主要投信一覧(3月2日現在)

ゴールベースの戦略商品

 アセットマネジメントOneが11月に設定した「One国際分散投資戦略ファンド(愛称:THE GRiPS)」も愛称の「GRiPS=Global Risk Factor Parity Strategy(世界的変動リスク要因ごとの均衡戦略)」の名の通り、リスクパリティの考え方に基づいてレバレッジ倍率を固定せず、目標リスク水準を維持するためにレバレッジを活用する。

 同社の販売用資料では、資産配分を食生活に例えて説明している。例えば、昼にそば、夜にうどんだけを食べた場合、異なる料理を口にしていても、栄養素というレベルでみれば炭水化物に偏っている。同じように、複数の資産クラスを保有していても、変動要因が似通っていればリスクの分散とは言えない。こうした見地から、変動要因の分散を突き詰めたのが「GRiPS」だという。

 同投信は買い建てだけでなく、売り建ても行う。ロングとショートの組み合わせは、一般的には下落局面で収益を狙う「絶対収益追求型」の運用手法を連想させる。しかし同投信は「変動要因を抽出するためにショートポジションを用いる」と説明している。
同社は昨年から、ゴールベース営業の支援に従来以上に力を入れている。19年には、ウェブ向け支援ツール「みらいしるべ」の提供を開始。「みらいしるべ」は、投資家が資産形成の目標額やリスク許容度を入力すると、目標達成のためのポートフォリオが提示される仕組み。「みらいしるべ」と「THE GRiPS」は、長期投資を推進する同社の取り組みの両輪と言える。

アセットマネジメントOne
投信営業第6部長
福迫弘晃氏

 目標とするリスク水準は2、4、6、8%の4コースあるが、マザーファンドは同一で、組み入れるキャッシュ比率によってリスク水準に差が出る仕組みとなっている。その狙いについて同社は、「長期保有によって時間分散が可能な若年層はまず8%を購入し、定年退職が近づくに従って徐々にリスクを下げていくゴールベース的な活用方法も可能」(投信営業第6部長・福迫弘晃氏)としている。8%コースが1月の販売額ランキング3位に入っているみずほ銀行では各コース間のスイッチングを無料としている。

 当特集は「ファンド情報」No.321(3月9日発行)の内容を元に再構成した。No.322(3月23日発行)でも、レバレッジ型投信について特集。コロナショックによる相場急落時における各投信の値動きなどを解説している。

「ファンド情報」2020年3月9日、「ファンド情報」2020年3月23日号

2020/04/13