検索結果 スレッド コメント 最新の投稿順 古い投稿順 1件中 1件 - 1件を表示 サービス業> TREホールディングス(株) 大容量HDDで東芝が逆襲、成長… . 2024/06/07 06:15 大容量HDDで東芝が逆襲、成長市場に二刀流で挑む 内田 泰 日経クロステック/日経エレクトロニクス 2024.06.06 経営再建を進めている東芝が、今後の中核事業の1つと位置付けるデータセンター向けHDD(ハード・ディスク・ドライブ)で、“逆襲”の狼煙(のろし)を上げた。 同社傘下の東芝デバイス&ストレージは2024年5月14日、「熱アシスト磁気記録(HAMR:Heat-Assisted Magnetic Recording)」によって、3.5インチのHDDで32TB(テラバイト)という大容量の実証に成功したと発表した(図1)。瓦磁気記録(SMR:Shingled Magnetic Recording)†方式を使ったディスク10枚構成のドライブで、2025年にサンプル出荷を開始する予定だ。 †瓦磁気記録=磁気ヘッドを少しずつずらしながら、データを記録するトラックを重ね書きすることで、実効的なトラック幅を減らして記録密度を高める手法。通常記録方式より記録容量を高められる一方、頻繁なデータ書き換えの性能が低下するなどの欠点がある。 図1 HAMR対応HDDの試作品 瓦磁気記録方式でディスク1枚当たり3.2TBの容量を実現した。通常磁気記録方式(CMR:Conventional Magnetic Recording)では同2.7TB。ちなみに、同社製品のこれまでの最高容量はCMR方式で22TBだった(写真:東芝デバイス&ストレージ) HAMRはディスク媒体をレーザー光で局所的に瞬間加熱し、媒体の磁化を熱ゆらぎでばらばらにして情報の記録を容易にすることで、記録密度を高める技術である(図2)。HDDの記録密度向上の決定打とされる「エネルギーアシスト記録」の中でも、“究極”と位置付けられる技術で、HDD関連メーカーが長年、研究開発を進めてきた。 ディスク媒体をレーザー光で局所的に瞬間加熱し、媒体の磁化を熱ゆらぎでばらばらにして情報の記録を容易にする。高記録密度化のために「ニアフィールドトランスデューサー」で光のスポットサイズを絞る。ディスク1枚3TB程度の場合、スポットサイズは20nm程度と見られる(出所:東芝デバイス&ストレージ) [ そうした中、業界最大手の米Seagate Technology(シーゲイト・テクノロジー)は2024年第1四半期に、世界初のHAMR対応HDDの量産化に成功した。同社は通常磁気記録方式(CMR:Conventional Magnetic Recording)のディスク10枚構成で容量30TBの「Exos Mozaic 3+」を発売した。これまで同社製品の最高容量は24TBだった。 HDDの容量向上ペースは昨今、鈍化傾向にあった。Seagate Technologyによれば、従来の垂直磁気記録(PMR:Perpendicular Magnetic Recording)方式はHDDの容量を2倍にするのに9年もかかった。しかも、「ディスク1枚当たりの容量は2.4TBが限界だ」(日本シーゲイト社長の新妻太氏)。一方、HAMRならディスク10枚を搭載した40TBや50TBの製品を、今後数年という近い将来に実現できる可能性があるという。 Seagate Technologyは、HAMRの実用化で先行することによって競合を一気に引き離そうとしていたが、東芝デバイス&ストレージは、そこに食らいついていく。同社ストレージプロダクツ事業部技師長の竹尾昭彦氏は「30TBを超えたのは、大きなマイルストーン。HDDのビット単価をまだまだ下げられることと、市場で競合他社についていけることを示せた」と話す。
最新の投稿順 古い投稿順 1件中 1件 - 1件を表示 サービス業> TREホールディングス(株) 大容量HDDで東芝が逆襲、成長… . 2024/06/07 06:15 大容量HDDで東芝が逆襲、成長市場に二刀流で挑む 内田 泰 日経クロステック/日経エレクトロニクス 2024.06.06 経営再建を進めている東芝が、今後の中核事業の1つと位置付けるデータセンター向けHDD(ハード・ディスク・ドライブ)で、“逆襲”の狼煙(のろし)を上げた。 同社傘下の東芝デバイス&ストレージは2024年5月14日、「熱アシスト磁気記録(HAMR:Heat-Assisted Magnetic Recording)」によって、3.5インチのHDDで32TB(テラバイト)という大容量の実証に成功したと発表した(図1)。瓦磁気記録(SMR:Shingled Magnetic Recording)†方式を使ったディスク10枚構成のドライブで、2025年にサンプル出荷を開始する予定だ。 †瓦磁気記録=磁気ヘッドを少しずつずらしながら、データを記録するトラックを重ね書きすることで、実効的なトラック幅を減らして記録密度を高める手法。通常記録方式より記録容量を高められる一方、頻繁なデータ書き換えの性能が低下するなどの欠点がある。 図1 HAMR対応HDDの試作品 瓦磁気記録方式でディスク1枚当たり3.2TBの容量を実現した。通常磁気記録方式(CMR:Conventional Magnetic Recording)では同2.7TB。ちなみに、同社製品のこれまでの最高容量はCMR方式で22TBだった(写真:東芝デバイス&ストレージ) HAMRはディスク媒体をレーザー光で局所的に瞬間加熱し、媒体の磁化を熱ゆらぎでばらばらにして情報の記録を容易にすることで、記録密度を高める技術である(図2)。HDDの記録密度向上の決定打とされる「エネルギーアシスト記録」の中でも、“究極”と位置付けられる技術で、HDD関連メーカーが長年、研究開発を進めてきた。 ディスク媒体をレーザー光で局所的に瞬間加熱し、媒体の磁化を熱ゆらぎでばらばらにして情報の記録を容易にする。高記録密度化のために「ニアフィールドトランスデューサー」で光のスポットサイズを絞る。ディスク1枚3TB程度の場合、スポットサイズは20nm程度と見られる(出所:東芝デバイス&ストレージ) [ そうした中、業界最大手の米Seagate Technology(シーゲイト・テクノロジー)は2024年第1四半期に、世界初のHAMR対応HDDの量産化に成功した。同社は通常磁気記録方式(CMR:Conventional Magnetic Recording)のディスク10枚構成で容量30TBの「Exos Mozaic 3+」を発売した。これまで同社製品の最高容量は24TBだった。 HDDの容量向上ペースは昨今、鈍化傾向にあった。Seagate Technologyによれば、従来の垂直磁気記録(PMR:Perpendicular Magnetic Recording)方式はHDDの容量を2倍にするのに9年もかかった。しかも、「ディスク1枚当たりの容量は2.4TBが限界だ」(日本シーゲイト社長の新妻太氏)。一方、HAMRならディスク10枚を搭載した40TBや50TBの製品を、今後数年という近い将来に実現できる可能性があるという。 Seagate Technologyは、HAMRの実用化で先行することによって競合を一気に引き離そうとしていたが、東芝デバイス&ストレージは、そこに食らいついていく。同社ストレージプロダクツ事業部技師長の竹尾昭彦氏は「30TBを超えたのは、大きなマイルストーン。HDDのビット単価をまだまだ下げられることと、市場で競合他社についていけることを示せた」と話す。
大容量HDDで東芝が逆襲、成長…
2024/06/07 06:15
大容量HDDで東芝が逆襲、成長市場に二刀流で挑む 内田 泰 日経クロステック/日経エレクトロニクス 2024.06.06 経営再建を進めている東芝が、今後の中核事業の1つと位置付けるデータセンター向けHDD(ハード・ディスク・ドライブ)で、“逆襲”の狼煙(のろし)を上げた。 同社傘下の東芝デバイス&ストレージは2024年5月14日、「熱アシスト磁気記録(HAMR:Heat-Assisted Magnetic Recording)」によって、3.5インチのHDDで32TB(テラバイト)という大容量の実証に成功したと発表した(図1)。瓦磁気記録(SMR:Shingled Magnetic Recording)†方式を使ったディスク10枚構成のドライブで、2025年にサンプル出荷を開始する予定だ。 †瓦磁気記録=磁気ヘッドを少しずつずらしながら、データを記録するトラックを重ね書きすることで、実効的なトラック幅を減らして記録密度を高める手法。通常記録方式より記録容量を高められる一方、頻繁なデータ書き換えの性能が低下するなどの欠点がある。 図1 HAMR対応HDDの試作品 瓦磁気記録方式でディスク1枚当たり3.2TBの容量を実現した。通常磁気記録方式(CMR:Conventional Magnetic Recording)では同2.7TB。ちなみに、同社製品のこれまでの最高容量はCMR方式で22TBだった(写真:東芝デバイス&ストレージ) HAMRはディスク媒体をレーザー光で局所的に瞬間加熱し、媒体の磁化を熱ゆらぎでばらばらにして情報の記録を容易にすることで、記録密度を高める技術である(図2)。HDDの記録密度向上の決定打とされる「エネルギーアシスト記録」の中でも、“究極”と位置付けられる技術で、HDD関連メーカーが長年、研究開発を進めてきた。 ディスク媒体をレーザー光で局所的に瞬間加熱し、媒体の磁化を熱ゆらぎでばらばらにして情報の記録を容易にする。高記録密度化のために「ニアフィールドトランスデューサー」で光のスポットサイズを絞る。ディスク1枚3TB程度の場合、スポットサイズは20nm程度と見られる(出所:東芝デバイス&ストレージ) [ そうした中、業界最大手の米Seagate Technology(シーゲイト・テクノロジー)は2024年第1四半期に、世界初のHAMR対応HDDの量産化に成功した。同社は通常磁気記録方式(CMR:Conventional Magnetic Recording)のディスク10枚構成で容量30TBの「Exos Mozaic 3+」を発売した。これまで同社製品の最高容量は24TBだった。 HDDの容量向上ペースは昨今、鈍化傾向にあった。Seagate Technologyによれば、従来の垂直磁気記録(PMR:Perpendicular Magnetic Recording)方式はHDDの容量を2倍にするのに9年もかかった。しかも、「ディスク1枚当たりの容量は2.4TBが限界だ」(日本シーゲイト社長の新妻太氏)。一方、HAMRならディスク10枚を搭載した40TBや50TBの製品を、今後数年という近い将来に実現できる可能性があるという。 Seagate Technologyは、HAMRの実用化で先行することによって競合を一気に引き離そうとしていたが、東芝デバイス&ストレージは、そこに食らいついていく。同社ストレージプロダクツ事業部技師長の竹尾昭彦氏は「30TBを超えたのは、大きなマイルストーン。HDDのビット単価をまだまだ下げられることと、市場で競合他社についていけることを示せた」と話す。