株式投資とは? 基礎知識をわかりやすく解説
株式投資について、基礎知識をわかりやすく解説します。
株式投資は株式を売買する投資手法のこと
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株式の売買や投資先企業からの配当金などによって利益を狙う投資手法のことです。
株式とは、株式会社が事業を運営するための資金として、出資してくれた人に発行する証券のことをいいます。出資をして株式を取得した人が、株主です。
株主は出資した対価として、株主総会での議決権や配当金、株主優待を受け取る権利を得ます。株主は会社のオーナーの一員となるため、株式は会社の所有権を分割したものともいえるでしょう。
なお、株式市場で売買できるのは証券取引所に上場している株式に限られます。「上場」とは、株式を証券取引所で売買できる資格を証券取引所が与えることです。上場には各証券取引所、各市場の審査があります。東京証券取引所(東証)の場合、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場にわかれており、最も審査が厳しいのがプライム市場です。
株式投資で得られる利益の種類
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株式投資で得られる利益は、値上がり益と配当金の2種類です。
値上がり益(キャピタルゲイン)は、譲渡益ともいいます。保有する株式の株価が上昇した際に得られる利益のことです。反対に、株価の下落で生じる損失は譲渡損(キャピタルロス)といいます。
配当金(インカムゲイン)は、企業が利益を出した際に、株主に対して分配される利益です。金額や支払回数は決まっておらず、業績によって左右されます。
また、日本株では配当金とは別に株主優待がもらえることもあります。株主優待とは、企業が株主に贈る優待品(プレゼント)です。自社製品や食事券、クオカードなど内容は企業によってさまざまで、日本では1,000社以上が株主優待を実施しています。
配当金は1株からもらえますが、株主優待は企業によってもらえる条件(保有株式数や保有期間)が異なるので注意しましょう。配当金や株主優待は、企業によってはもらえない場合もあります。
株式を購入できる場所
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株式を購入できる場所は、各証券会社です。最近ではネット証券が一般的になり、スマホから簡単に株式投資ができるようになりました。
ただし、実際に株式が取引されているのは証券取引所であり、証券会社は証券取引所と投資家をつなぐ仲介業者にすぎません。同じ企業の株式であれば、どの証券会社(仲介業者)で買っても手数料を除いた購入金額は同じです。
日本で最大の証券取引所は東京証券取引所(東証)です。東証の他には名古屋証券取引所(名証)、札幌証券取引所(札証)、福岡証券取引所(福証)がありますが、ほとんどの株式は東証で取引されます。
株価は株式の売り時を判断する基準の一つ
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証券取引所で取引できる株式は頻繁に株価が変動します。日々変動する株価は、株式の売り時を判断する基準の一つです。
株価は、1株あたりの値段のことをいい、買い手(需要)と売り手(供給)のバランスで決まります。株価の主な変動要因は「経済的要因」「地政学的要因」「株式市場の要因」「個別要因」の4つです。
経済的要因は、景気や金利、為替の動向などがあげられます。たとえば、2022年12月に日銀が「長期金利の上限を0.25%から0.5%にする」と発表した際は、三菱UFJフィナンシャルグループ(三菱UFJ銀行)をはじめとした銀行株が大きく上昇しています。金利が上がることで、銀行はお金の貸し借りで利益を出しやすくなると予想できるからです。
地政学的要因は、政治・軍事・地震などがあげられます。2022年2月24日にロシアが一方的にウクライナに侵攻した際は、世界中の株式市場が動揺しました。他にも、日経平均株価がここまで大きく上昇したきっかけの一つは、安倍元首相が掲げた「アベノミクス」という地政学的要因(政治的要因)です。
株式市場の要因は、主に外国人投資家の動向があげられます。東証の中で有名企業が集まる東証プライム市場では、外国人投資家の売買比率は60%以上です(売買金額ベース、2022年12月19日〜23日)。
個別要因は、主に個別企業の業績があげられます。企業の業績とは、会社が発表する決算のことです。決算では売上や利益率などが確認できます。日本では「四半期決算」というルールに基づき、四半期(決算期間)が経過するごとに決算発表を期限内に行わなければいけません。
良い決算が発表されれば株価は上がると思われがちですが、実際はそう単純ではありません。有名企業では、会社の決算とは別に調査会社が独自に決算予想を公表しているのが一般的です。仮に良い決算でも、調査会社の決算予想を上回らなければ株価が下がることもあります。
株式投資と投資信託は何が違う?
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株式投資と投資信託の主な違いは、投資対象です。株式投資の場合、1社の株式に投資します。投資家の中には10社以上の株式に分散投資している人もいますが、1社ずつ投資していることに変わりはありません。
投資信託は、1つの商品を買うだけで複数の銘柄に分散投資していることになります。たとえば、「ニッセイ日経平均インデックスファンド」では、日経平均株価に採用されている225銘柄のうち投資対象は200社以上です。つまり、ニッセイ日経平均インデックスファンドを買った人は、たった1つの商品で200社以上の株式に分散投資していることになります。
投資信託を買わなくても分散投資することはできますが、個別に200社以上に投資するのは難しいでしょう。初心者で銘柄の選定に不安がある人は、投資信託で株式投資することを検討してみてもよいでしょう。
株式投資の主なメリット
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株式投資の主なメリットは、3つあります。
1つ目のメリットは、ここまで解説してきた通り、値上がり益や配当金、株主優待を受け取れる可能性がある点です。たとえば、配当金なら保有しているだけで配当金がもらえます。
2つ目のメリットは、株主として企業の経営に参加できる点です。株主総会に参加してさまざまな議題に対して賛成、反対の意思表示をすることができます。
3つ目のメリットは、株式投資を通じて企業を応援することにもつながる点です。株式投資は企業への出資でもあるため、自分が好きな企業に投資することで特定の企業を応援することにもつながるでしょう。
株式投資で注意すべきリスクとは?
株式投資にはリスクもあります。株式投資で注意すべきリスクは4つです。なお、株式投資においてリスクとは値動きの不確実性のことを指すものであり、危険性ではないことを覚えておきましょう。
価格変動リスク
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価格変動リスクとは、株価の変動により売却時の価格が購入時の価格を上回るか、下回るか確実でないことです。株価は日々動いていて、価格が10%を超えて上下することもあります。
現状で利益が出ていても、次の日には損失を出している可能性もあるので注意が必要です。価格変動はさまざまな要因によって起こるので、株価の変動を確実に読みきることはできません。
常に価格が変化することを念頭に置いておく必要があります。
信用リスク
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信用リスクとは、投資した会社が将来存続するかどうかが確実ではないことをいいます。たとえば、バブル期は世界最大のアパレル企業でもあったレナウンは、2020年に倒産しました。もしレナウンの株を売らずに持っていた場合は、証券取引所で取引できないだけでなく、株式の価値を失います。
流動性リスク
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流動性リスクとは、売りたい値段で売れないかもしれないリスクのことです。極端に売買が少ない株式で発生します。株式は需要と供給で株価が決まっているので、株式を売りたいと思っていても、買いたいと思う人が市場にいなければ取引することができません。
流動性リスクは、取引量が多い有名企業の株式に投資しておけば低く抑えられるでしょう。
為替変動リスク
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為替変動リスクは、海外の株式に投資する場合に、通貨同士の価値の違いにより損得が発生するリスクです。為替とは、円とドルなど異なる通貨を取引することをいいます。
たとえば、アメリカの株式に1ドル120円で投資する場合、1ドル100円(円高ドル安)になれば株価が同じでも損失、1ドル140円(円安ドル高)なら株価が同じでも利益になります。
海外の株式に投資する場合は、株価の変動だけでなく為替の変動にも注意しましょう。
株式投資の始め方
株式投資は、4ステップで始められます。株式投資の始め方は以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみましょう。
1.証券会社で口座を開設する
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まずは証券会社で口座を開設しましょう。株式は証券会社を通じてしか買えないため、証券口座を開設する必要があります。
証券会社を選ぶ際は、手数料や使い勝手、商品数(銘柄数)に注目するのがポイントです。はじめて証券口座を開設するなら、手数料が安いネット証券を検討してみるとよいでしょう。
以下のページでは、さまざまな証券会社の詳しい情報を掲載しています。ネット証券をはじめ、口座開設先を探している人は、ぜひ参考にしてみてください。
2.株式を選んで購入する
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口座を開設したら、証券口座にお金を入れて株式を購入しましょう。
しかし、日本の株式だけで3,000銘柄以上もあるため、投資初心者にとって銘柄を選ぶのは大変です。最初は、トヨタ自動車やソフトバンクなどの有名企業やなじみのある企業から選んでみましょう。
どうしても決められない人は、証券会社のスマホアプリなどで「株主優待がある銘柄」「高配当銘柄(配当金がたくさんもらえる銘柄)」といった条件をつけて検索して決めるのも手です。
3.配当金や株主優待を受け取る
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配当金や株主優待のある株式を買う場合は、受け取れる日までに株式を購入しましょう。配当金や株主優待は、企業が定める「権利確定日」までに株主であれば受け取れます。
ただし、権利確定日に買ってもその月の配当や株主優待はもらえません。日本株は買ってから実際に株主として名簿に載るまでに2営業日かかります。たとえば、2023年3月31日が権利確定日である場合、2023年3月29日までに株式を購入しなければ配当や株主優待はもらえません。
配当金の受け取り方法は、大きく分けて3つあります。
<配当金の受け取り方法>
- 証券口座で受け取る(株式数比例配分方式)
- 銀行口座で受け取る(登録配当金受領口座方式)
- 郵便局で受け取る(配当金領収証方式)
証券口座や銀行口座で受け取るのが便利です。配当がもらえる日になれば、自動的に振り込まれます。
4.必要に応じて株式を売却する
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必要に応じて株式を売却しましょう。株価をチェックしながら、値動きに合わせて売却するかどうかを決めてください。
株価が購入時より値上がりした場合や、想定より値下がりした場合は売却を検討するタイミングの一つになるでしょう。ただし、証券会社によっては手数料がかかるため、手数料を考慮するとマイナスになってしまう場合があります。売却後に株価が上がることもあるでしょう。
株式の売り時を見極めるのは難しいため、あらかじめ売却のルールを決めておくのも一つの手です。
証券会社を探すならランキングを参考に
証券会社で口座開設を検討している人は、以下のページをチェックしましょう。各証券会社をランキング形式で紹介しています。特徴ごとに絞り込む機能もあるので、比較検討する際にご参考ください。