そもそも株式投資とは? 仕組みと得られる利益を理解しよう
株式投資を始めてみたいものの、そもそもどのような仕組みなのかわからない人も少なくないでしょう。ここでは、株式投資の仕組みと得られる利益を解説します。
株式投資では企業が発行した株式を売買する

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株式投資とは、企業が発行した株式を投資家(=株主)が購入して売買することです。企業は株式の発行によって事業を行うための資金を調達でき、株式を購入した株主は株主総会での議決権や配当金などを得られます。
株式投資は、株式市場に上場している株式を売買する仕組みです。株式の価格は一定ではなく、企業業績や経済動向、買い手と売り手のバランスなどによって日々変動します。基本的に買い手が多いときは株価が上がり、売り手が多いときは株価が下がると覚えておきましょう。
株式投資で得られる利益の種類は3つ
株式投資によって得られる利益には、キャピタルゲイン、インカムゲイン、株主優待の3種類があります。それぞれの特徴を確認しましょう。
株式の売却で得られる「キャピタルゲイン」

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キャピタルゲインは、株式が値上がりすることで得られる利益です。購入した銘柄の株価が上がったときに売却すれば、その差額が利益になります。例えば、10万円で購入した銘柄が15万円になったときに売却すると、差額の5万円から手数料や税金を引いた金額がキャピタルゲインです。
キャピタルゲインは、後述するインカムゲインよりも利益が大きくなる可能性があります。しかし、インカムゲインはマイナスになりませんが、キャピタルゲインは株価の変動により損失が発生するリスクがあることを覚えておきましょう。
株式の保有に対する「インカムゲイン(配当金)」

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インカムゲインとは、株式投資で得られる配当金のように、金融商品を保有しているだけで得られる収益のことです。株式を発行する企業は、利益を上げるとその一部または全部を株主に分配します。分配された利益を配当金といい、配当金額は保有株数に応じて決まるのが特徴です。
配当利回りや配当の回数は銘柄によって異なります。また、企業によっては利益が出ても配当金を支払わないケースもあるため、配当金を得られるかどうかは銘柄を購入する前によく確認しておきましょう。
商品や割引券などがもらえる「株主優待」

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株主優待とは、企業が株主に対して自社の商品やサービス、割引券などの優待品を贈る制度を指します。株式を保有しているときに受けられる利益であるため、株主優待もインカムゲインの一種です。
株主優待は任意の制度であり、すべての企業が行っているわけではありません。株主優待を受けたいのであれば、実施している企業を調べて必要な数の株式を保有する必要があります。銘柄を選ぶ際は株主優待に注目して探してみるのもいいでしょう。
株式投資の始め方は? 5つのステップを初心者にもわかりやすく解説
株式投資の手順は、口座開設、入金、銘柄選定、注文、保有または売却の5ステップです。それぞれ以下で詳細を解説します。
1.証券口座を開設する

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株式の売買は証券口座を通して行うため、まずは口座を開設しましょう。証券口座は、証券会社の窓口に行かなくても、Webで開設できるのが主流です。ネット専業の証券会社はもちろん、実店舗型の会社もインターネット申込みに対応しているところが多いので、空き時間で手軽に準備を始められます。
以下では、ネット証券で口座開設する流れを紹介します。あくまでも一般的な口座開設方法なので、実際に申込む際は公式サイトの入力フォームや指示に従い行ってください。
はじめに、口座開設を希望する証券会社の申込みページを開き、氏名や住所、メールアドレスなどの必要情報を入力します。口座開設には本人確認書類が必要なので、個人番号カードや運転免許証を用意しておいてください。本人確認書類は郵送も可能ですが、オンラインで画像をアップロードするとスピーディに手続きを進められます。
手続きが完了すると、口座開設の案内に関するメールや書類が届きます。届いた情報をもとに証券会社のマイページへログインできれば、口座開設手続きは完了です。
なお、証券口座には特定口座と一般口座があり、税金の申告方法などが異なります。以下の記事では特定口座と一般口座の違いを詳しく解説しているので、開設する口座の種類に迷っている人は参考にしてみてください。
2.証券口座へ入金する

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株式の注文は証券口座に入金されている金額の範囲内で設定するので、買いたい株式の購入に必要な金額を入金します。
入金の方法は主に2種類あり、1つ目は金融機関のインターネットバンキングを利用する即時入金です。即時入金は手数料無料の場合がほとんどなので、便利な方法といえます。
2つ目は、自分の銀行口座から証券口座へ振込む銀行振込です。反映に時間がかかるほか、振込手数料は自己負担なので注意しましょう。
3.購入する銘柄・数量を選ぶ

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入金が完了したら、購入する銘柄や数量を選びましょう。購入する銘柄は、今後株価が上がりそう、株主優待が魅力的など、自分なりの基準で選んで構いません。銘柄選びに迷っている人は、証券会社の検索ツールを利用してさまざまな条件で絞り込むのも手です。
購入する銘柄が決定したら、次に購入数量を決めます。日本株式は基本的に最低売買単位が1単元(100株)に設定されているので、最低でも株価×100株の資金が必要となることを覚えておきましょう。
ただし、証券会社によっては「単元未満株」と呼ばれる1単元に満たない株数での購入も可能です。株価によっては500円程度から購入が可能なので、少額から始めたい人は単元未満株を検討するといいでしょう。
4.注文を出して株式を購入する

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購入する銘柄や数量を決めたら注文を出しましょう。株取引の主な注文方法には、指値注文と成行注文の2種類があります。
指値注文とは、買ったり売ったりする値段を自分で指定する注文方法です。想定外の値段で購入することを避けたいなら、自分が許容できる最高額で指値注文を出しておくといいでしょう。
ただし、希望した値段で買えるのは大きなメリットですが、株価が希望した価格以下にならなければ購入できません。場合によっては購入のチャンスを逃す可能性もあることを理解しておきましょう。
成行注文とは、値段を指定せずにそのときの市場価格で約定する方法です。予想していたよりも高い株価で買ってしまうリスクはありますが、即時に銘柄を購入できるのが利点といえます。確実かつ瞬時に取引を約定させたいなら成行注文を利用するといいでしょう。
5.株式を保有または売却する

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銘柄を購入したあとは株式を保有し、売りたいときに売却しましょう。購入した銘柄の株価や企業の業績を定期的にチェックして、売却するタイミングに備えてください。なお、株式を保有している間は配当金や株主優待を受取れます。
保有している株式は任意のタイミングで売却が可能です。売りたいときは売り注文を出しましょう。主な流れは、証券口座で保有している銘柄を確認し、売りたい銘柄を選択して注文画面を開きます。売却数や注文方法、売却金額、注文期間を指定すれば売り注文が完了です。
注文方法には、購入時と同様に指値注文と成行注文があります。売却金額を指定したいときは指値注文を選びましょう。保有している銘柄の価値が下がり続けており、損失が大きくなる前に損切りをしたいときはすぐに売却できる成行注文がおすすめです。
株取引用の証券会社を選ぶ際のポイント
先述のとおり、株取引を行うには証券口座が必要ですが、口座開設の際には何に注目して会社を選べばよいのでしょうか。以下では、証券会社を選ぶうえで重要な3つのポイントを解説します。
取引手数料の安い会社を選ぶ

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証券会社は、取引手数料が安いところを選びましょう。どの証券会社であっても株式の売買には必ず取引手数料が発生しますが、金額には差があります。
仮に10万円の株取引をする場合、取引手数料は99円程度が一般的です。なかには0円や1,100円の証券会社もあり、差が大きくなるケースも珍しくないので、取引手数料の金額は証券会社選びにおいて重要なポイントといえます。
株取引初心者の場合は少額から始めるケースが多いため、株式の売却時に手数料が利益を上回る「手数料負け」にも配慮することが重要です。手数料は証券会社によって異なるので、事前によく比較したうえで口座開設をしましょう。
スマホアプリが使いやすいか確認する

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スマホアプリの使いやすさも重要です。スマホアプリが使いやすければ、外出先から注文を入れたり、昼休みに株価をチェックしたりすることができます。
反対にスマホアプリが使いにくいと、株取引がおっくうになってしまう可能性も。積極的に運用ができるよう、証券会社のスマホアプリの操作性は事前にチェックしておくようにしましょう。
スマホアプリの使いやすさを確認するときは、注文のしやすさや情報量の多さ、チャートの見やすさ、タブの切り替え、経済ニュース配信の有無などをチェックしてみてください。使いやすいと感じる基準は人それぞれです。上記の項目を中心に、スマホアプリの操作性を事前に確認しておくことをおすすめします。
取扱っている金融商品が豊富な会社を選ぶ

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証券会社選びでは、取扱っている金融商品のバリエーションも重視しましょう。株式投資以外にも、投資信託やFX、IPO株、国債など、さまざまな金融商品を用意しているかどうかチェックしてみてください。
投資の世界では、リスクを分散させることがコツのひとつです。すべての資金を株式投資だけに充てるのではなく、投資信託や国債などをバランス良く組み込むことでリスクに強い投資が実現できます。
将来的に株取引以外の投資を始めることも見込んで、金融商品が豊富な証券会社を選ぶのがおすすめです。
株式投資を始める際はリスクに注意! 代表的な3つのリスク
株式投資を始めるなら、株取引につきまとうリスクを理解しておくことも重要です。主な3つのリスクを以下で解説します。
株価が購入時よりも下がる可能性のある「価格変動リスク」

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1つ目は、株価が購入時よりも下がる可能性のある「価格変動リスク」です。仮に10万円で購入した株式が7万円に値下がりして売却した場合、3万円の損失が出ます。値上がり差益を狙うのは株式投資の醍醐味ですが、反対に値下がりするリスクがあることも頭に入れておきましょう。
企業の業績悪化や倒産の可能性がある「信用リスク」

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2つ目は、企業の業績悪化や倒産の可能性がある「信用リスク」です。企業の業績次第では、下がった株価が購入時の価格まで戻らないこともあります。企業が倒産した場合には持っている株式の価値がゼロになってしまうこともあるので、企業分析などを行ったうえで慎重に銘柄を選びましょう。
売買の取引が成立しない可能性のある「流動性リスク」

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3つ目は、売買の取引が成立しない可能性のある「流動性リスク」です。例えば企業が上場廃止した場合、株式の取引量が極端に減り「売りたいのに買ってもらえない」事態になりえます。状況によっては、流動性リスクにより株式を思いどおりに売買できない可能性があることも理解しておきましょう。
株式投資のリスクを抑えるコツ
株式投資にはリスクがつきものなので、回避する方法を知っておくことが重要です。以下では、株式投資のリスクを抑えるコツを紹介します。
資金に余裕がある状態で少額から始める

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初心者の場合、株式投資は少額から始めましょう。株式投資の経験がない人が多額の自己資金を投じるのは、リスクが高く危険です。
単元未満株の制度を活用すれば、500円程度で買える銘柄もたくさんあります。1,000円未満の株なら10万円以下で100株の購入が可能です。まずは自分が捻出できる資金のうちの一部だけで投資を始めてみることをおすすめします。
株価の安い銘柄や単元未満株で少額から株式投資を始め、リスクを抑えながら投資の知識と経験を身につけていくようにしましょう。
分散投資を心がける

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分散投資を心がけることもリスクの軽減につながります。分散投資とは、複数の金融商品に投資したり、投資のタイミングや投資する地域などを分散させたりする投資手法です。値動きが異なる資産に投資することで、株式投資のリスクを減らす効果が期待できます。
株式投資で分散投資をするなら、国内外の株式や異なる業種の銘柄を組み合わせるのがおすすめです。例えば銘柄Aと銘柄Bを保有する場合、銘柄Aで損失を出しても、銘柄Bの値動きが安定していれば損失をカバーできるでしょう。ほかにも、投資信託や債券など特性が異なる金融商品を組み合わせると、よりリスクを抑えられます。
投資のタイミングを分散させることもリスクの軽減に有効です。銘柄を一度に購入するのではなく、タイミングを何度かに分けて投資することで平均購入単価が平準化され、高値づかみを避けられます。
初心者のうちは信用取引を行わないほうがベター

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初心者のうちは、信用取引は行わないほうが無難です。信用取引とは、証券会社からお金を借りて取引する方法であり、自己資金の3.3倍までの取引が可能な手法をいいます。
例えば、自己資金が10万円で3万円の損失を出してしまった場合、現物取引なら単純に3万円の損失です。信用取引を利用して3.3倍の額を投資していた場合には、9.9万円の損失に膨らみます。
信用取引では大きなリターンも期待できますが、最大で3.3倍の損失が生じる点に注意が必要です。初心者のうちは信用取引には手を出さず、知識と経験を積んでから検討するのがいいでしょう。
自分の取引ルールを決めておく

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事前に自分のなかで取引ルールを決めておくことも大切です。取引ルールを決めておかないと、売買のタイミングを逃して損失を増やしてしまう恐れがあります。
売買の判断ができないうちに株価が下がってしまったり、株価の下落に不安を感じてむやみに手放した直後に株価が回復したりするなど、きちんとルールを決めておかないと損失が大きくなりがちです。
何%上がったら売る、何%下がったら手放すなど、自分の取引ルールを決めておくと適切なタイミングで迷わずに決断ができます。一度決めたルールは、ブレずに守り続けるのがポイントです。一時の感情に流されず、あらかじめ決めたルールに基づいて運用をしましょう。
株式投資に関するQ&A
最後に、株式投資を始める際によくある疑問について答えていきます。別の記事で詳しく解説しているものもあるので、あわせてチェックしてみてください。
株取引を始めるにはいくら必要?

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株取引を始めるための資金は購入したい銘柄の株価によって異なりますが、数十万円は必要となるのが一般的です。
日本株式は、購入単位が1単元(100株)に統一されています。仮に購入したい銘柄が2,000円だとすると、2,000円×100株=20万円を用意しなければいけません。
証券会社によっては、1株単位で購入できる単元未満株を用意している場合もあります。株価が500円の銘柄の場合、1株(500円)だけで取引できるため、少額から始めたい場合は購入を検討しましょう。
ただし、株主優待は1単元(100株)以上の保有が条件とされる場合が多いため、単元未満株だと株主優待が受けられないことも。株主優待の条件をよく確認してから購入株数を決めましょう。
株式を取引できる時間は決まっている?

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多くの人が利用する東京証券取引所の株取引時間は、平日の9:00〜11:30(前場)、12:30〜15:00(後場)の2部制です。土日祝日と12/31〜1/3は休業日で、取引はできないため注意しましょう。
証券取引所は、ほかにも地方にいくつか存在します。それぞれの取引可能な時間帯は以下の記事で詳しく解説しているので、確認してみてください。
スマホのアプリだけでも株取引を始められる?

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スマホのアプリだけでも株取引は可能です。多くの証券会社では、スマホだけで口座開設や入出金、株式の売買、チャート分析、情報収集などができるアプリを提供しています。なかにはパソコンと同等の機能を備えているアプリも少なくありません。
株取引をスマホアプリで行うメリットは、いつでもどこでも簡単な操作で取引ができることや、スマホ1つで資産の管理ができることなどです。一方、スマホは画面が小さいためチャートが見づらく、誤操作をしやすい点はデメリットといえます。パソコンよりもセキュリティ性が弱い傾向があるため、個人情報やパスワードの流出にも注意が必要です。
スマホアプリで株取引を始めるには、まず証券会社で口座を開設します。口座開設後にスマホアプリをダウンロードしてログインし、入金して株式を購入しましょう。証券会社によって操作手順は異なりますが、対象の銘柄を選択し、注文方法や数量などを入力して注文するのが一般的です。
株式投資にはどのような取引スタイルがある?

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株式投資の投資スタイルは複数あり、1回の取引にかかる時間や銘柄の選び方などによってさまざまです。取引時間ごとの主な手法はスキャルピング、デイトレード、スイングトレード、長期運用が挙げられます。
スキャルピングとは、数秒から数分程度の短い時間に取引を繰り返す手法のこと。デイトレードは株式市場の取引時間中に売買を完了させる手法です。
数日から数週間で取引を終えるスイングトレードでは、相場の動きを見ながらポジションの期間を判断します。長期運用は数年〜10年以上の期間にわたって株式を保有し、投資した銘柄の成長を見守るスタイルです。
投資スタイルの種類は銘柄の選び方によっても分けられます。例えばバリュー投資は、さまざまな理由で株価が割安になっている銘柄に投資し、キャピタルゲインとインカムゲインを狙う手法です。成長が期待できる銘柄に投資して大きなリターンを狙うグロース投資や、配当金・株主優待の充実度を重視する取引スタイルもあります。
株取引初心者の人はNISAの活用も検討しよう

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株取引初心者の人は、NISAの活用を検討しましょう。NISAとは「少額投資非課税制度」のことで、運用して得られた利益や配当金が非課税になる制度です。
通常、株式投資や投資信託の利益や配当金に対しては約20%の税金がかかります。NISAを活用すれば利益や配当金が非課税になるため、利益をそのまますべて受取ることが可能です。
例えば、NISA口座で株式投資をし、5万円の利益を得たとしましょう。一般口座であれば約1万円の税金がかかるため、手元に残る金額は4万円ほどです。NISA口座であれば5万円をそのまますべて受取れるため、利益が増えれば増えるほど効果は大きくなるのが魅力といえます。
NISAで株式を運用するには、専用のNISA口座の開設が必要です。NISA口座は1人1口座しか開設できないので、よく検討して証券会社を選びましょう。以下のページでは各証券会社の取引手数料や取扱銘柄数を比較しているため、証券会社を選ぶ際の参考にしてみてください。
※本記事に掲載されている情報は2024年8月26日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁の公式サイト(外部サイト)をご確認ください。
証券会社を比較検討するならランキングを参考に
証券会社の利用を検討している人は、以下のページをチェックしましょう。各証券会社をランキング形式で紹介しています。特徴ごとに絞り込む機能もあるので、比較検討する際に参考にしてみてください。