iDeCoの手数料の種類
まずは、iDeCoを利用する際に必要な7種類の手数料を紹介します。余分な手数料を支払わないためにも、それぞれの概要を理解しておきましょう。
加入・移換時手数料
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加入・移換時手数料は、iDeCoへの加入時または移換時に必要な手数料です。はじめてiDeCoに加入する際や、企業型確定拠出年金からiDeCoへ移換する際に2,829円(税込)を国民年金基金連合に支払います。
加入・移換時手数料は、どの金融機関を選んでも金額は変わらず、加入後の最初の掛金から差し引かれます。支払いは加入時の1回のみで、その後は支払う必要がありません。
加入者手数料
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加入者手数料は、掛金を納付するたびに支払う手数料のこと。金額は一律105円(税込)です。iDeCoの実施主体である国民年金基金連合会に支払う手数料なので、金融機関による違いはありません。
事務委託手数料
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iDeCoの加入者は、月々66円(税込)の事務委託手数料も支払わなければなりません。事務委託手数料は、財産の保管・管理を委託している信託銀行に対し、国民年金基金連合会から支払われる手数料です。
iDeCoに加入している限り、上記の加入者手数料105円と事務委託手数料66円を合わせた金額171円が毎月必要になります。条件を問わず、一律で発生する手数料だと考えてください。
口座管理手数料
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金融機関にiDeCoを申し込むと専用の口座が作られます。iDeCo専用口座の管理に必要なのが口座管理手数料です。
口座管理手数料は、金融機関によって異なり、月額0円〜450円程度と幅があります。口座管理手数料が無料の金融機関も少なくありません。手数料のコストを抑えるためにも、できる限り口座管理手数料がかからない金融機関を選びましょう。
給付手数料
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積み立てた資金を受け取る際には、その都度440円(税込)の給付手数料が必要です。
iDeCoで積み立てた資産は、60歳以降に一時金もしくは年金のかたちで受け取れます。給付金を全額一時金として受け取る場合は1回だけの支払いで済みますが、年金として受け取る場合は給付があるごとに手数料が発生するので、支出が大きくなることを覚えておきましょう。
還付手数料
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還付手数料とは、掛け金を返してもらうときにかかる手数料です。還付を受ける際に1,048円(税込)が差し引かれます。
iDeCoを適正に利用していれば、還付を受けることはほとんどありません。ただし、国民年金保険料を納付していない月に掛金を支払った場合、加入者の資格を持っていない人が掛け金を支払った場合、限度額を超えて掛金を支払った場合などは還付手続きが必要です。
信託報酬
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投資信託を運用する場合、iDeCoでも信託報酬が発生します。投資信託とは、投資家から集めた資金をもとに、専門家が投資・運用する金融商品のこと。です。信託報酬は、資産の運用を代行してもらうための手数料と理解しておきましょう。
信託報酬は商品によって異なりますが、保有額に対して年0.5〜2%程度かかるのが一般的です。保有し続ける限り支払わなければならない手数料であり、最終的な総資産額に大きく影響します。投資信託の商品を選ぶ際は信託報酬を入念に確認しましょう。
iDeCoの手数料を安く抑える方法
次に、iDeCoの手数料を安く抑える3つの方法を解説します。iDeCoは長期運用を前提とした制度です。短期的に見れば少額に感じられる手数料でも、積み重なれば大きな負担になるので、ぜひ参考にしてみてください。
加入者手数料を抑えるには年払いがおすすめ
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掛金を納付するたびに支払う105円の加入者手数料は、年払いにすることで安く済ませられます。月払いの場合、105円×12カ月で年に1,260円の加入者手数料が必要ですが、年払いの場合は年に1回105円を支払うだけ。差額は1,155円、20年間続ければ23,100円も得します。
ただし、年払いは一時的な価格変動の影響を受けてしまう点には注意が必要です。値動きのある金融商品を一度に購入すると、価格が高騰したタイミングにあたってしまい、そのあとの下落によって資産を大きく失ってしまうことも。
月払いでは12回に分けて購入できるので、取得単価が平準化されます。少しでもリスクを抑えたい場合は、手数料が多少かかっても、月払いを選択するとよいでしょう。
信託報酬が安い投資信託の商品を選ぶことも大切
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信託報酬は運用する商品によって異なるため、できるだけ安い商品を選びましょう。
たとえば、月2万円を年利4%で20年間運用する場合、信託報酬が0.2%と0.5%では運用結果が大きく異なります。信託報酬0.2%だと総資産額は700万円、信託報酬0.5%だと総資産額は678万円。同じ掛金を積み立てていても、20年間で22万円もの差が生じてしまいます。
iDeCoは長期運用が基本となるので、信託報酬の少しの違いが大きな影響をもたらすことを覚えておきましょう。
金融機関ごとの口座管理手数料に注目! なるべく安いところを選んで
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iDeCoを利用する場合、口座管理手数料以外の手数料は基本的に一定です。そのため、iDeCoの手数料を抑えたいなら、口座管理手数料の安い金融機関を選択しましょう。
ネット証券などでは、口座管理手数料が無料の金融機関も少なくありません。商品のラインアップなども考慮するはありますが、長期間利用することを前提に、できるだけ口座管理手数料のかからない金融機関を選ぶとよいでしょう。
iDeCoで手数料負けすることはある?
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iDeCoで注意したいのは、手数料負けする可能性があることです。手数料負けとは、結果的に利益より手数料のほうが多くなって損してしまうことをさします。
特に掛金が少ない場合は得られる利益が小さくなるので、手数料負けが起こるケースも珍しくありません。無理は禁物ですが、可能な範囲で掛金を多く設定することを心がけましょう。手数料負けを防ぐには、手数料が安い金融機関でiDeCo口座を開設することも大切です。
ただし、iDeCoでは、掛金が全額所得控除の対象、運用益も非課税になります。節税メリットを考慮すると、少額でも始める価値は十分あることも覚えておきましょう。
iDeCoの金融機関を選ぶ際に手数料以外で気をつけたいポイント
最後に、iDeCoの金融機関を選ぶ際に注意すべきポイントを解説します。口座を開設すると変更手続きには手間と時間がかかるので、金融機関選びは慎重に行いましょう。
自分が運用したい投資商品があるか確認する
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取り扱っている商品の種類や数は、金融機関によって異なります。金融機関を選ぶ際には、まず、自分が運用したい商品があるかどうかを確認しましょう。
iDeCoでは、投資信託・保険商品・定期預金で資産運用が可能です。投資信託にも株式型や債券型、国内型や外国型などさまざまな種類があり、どれを選ぶかで運用成績は変わります。
運用する商品を選ぶ際のコツは、あらかじめ目標額や運用期間を決めておくこと。目標額・運用期間が明確になれば、必要な利回りなどを逆算できるので、運用すべき商品の候補を見つけられやすくなります。ろうきんの公式サイト(外部サイト)で運用利回りのシミュレーションができるので、活用してみてください。
投資初心者はアフターフォローの充実度も要チェック
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投資初心者がiDeCoに加入する場合、アフターフォローの充実度も金融機関選びのポイントです。
iDeCoは運用期間が長く、60歳以降に受け取りを終えるまでお付き合いするもの。いざというときに手厚い対応を受けられることが大切です。Webサービスやコールセンターなどの利便性は事前に確認しておきましょう。
iDeCoの仕組みはやや複雑なので、わかったつもりでも、あとから聞きたいことがでてくるかもしれません。投資の知識が少ない人や自分で調べる時間がない人などは、疑問が生じたときに気軽に問い合わせられる金融機関を選ぶのがおすすめです。
iDeCoをこれから始める場合は証券会社選びが重要
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これからiDeCoを始める人は、証券会社選びが重要です。証券会社によって、手数料や取扱商品に違いがあります。できるだけ手数料が安く、運用したい商品を取り扱っている証券会社を選びましょう。
どの証券会社を選んでいいのか迷ったときは、以下のページをチェックしてみてください。主な証券会社のサービス内容を比較しているので、参考になるはずです。