次の支給日は12月15日【障害年金】「どの障がいが多く支給される?」《新規裁定・再認定》支給件数で確認

11/2 6:00 配信

LIMO

秋も深まってきた11月、来月15日は今年6回目の年金支給日です。年金と聞くと老後の話を思い浮かべがちですが、「障害年金」は現役世代にも関わる制度です。

病気やケガで生活や仕事に支障が出たとき、経済的な支えとなるこの制度。今年9月に日本年金機構から発表された「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」をもとに、今回は障害年金の支給実態や対象となる障害、年金額の目安などをわかりやすく解説します。制度を知っておくことで、いざという時に役立つ備えになります。

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障害年金の基本を知る「制度のしくみと対象者」

障害年金は、公的年金に加入し、保険料納付済期間などの支給要件を満たした上で、障がいの状態が一定の程度にあるかたに支給されます。障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」などがあり、初診日(初めて病院を受診した日)にどの年金制度に加入していたかで、受給する年金の種類が決まります。

●障害基礎年金と障害厚生年金の違いとは? 
国民年金の被保険者には「障害基礎年金」が支給され、障害等級1級または2級の状態である場合に支給対象となります。初診日が20歳前や、資格喪失後の60歳以上65歳未満の期間であっても対象になる場合があります。

厚生年金の被保険者である間に初診日がある場合は、「障害厚生年金」が支給され、障害等級1級から3級の状態である場合に支給対象です。障がいの程度が1級または2級の場合は、障害基礎年金もあわせて支給されます。いずれの年金も、原則として初診日の前日までに一定の保険料納付要件を満たしている必要があります。また、障害の状態が障害認定日(原則、初診日から1年6か月経過した日)の時点では等級に該当しなかった人でも、その後症状が悪化した場合は65歳になるまでの間に請求すれば支給対象となることがあります。

●障害年金の障害等級とは? 
障害年金が支給される障がいの程度は、「国民年金法施行令」および「厚生年金保険法施行令」によって1級から3級までの障害等級として定められています。ただし、この障害等級は、一般的に知られている身体障害者手帳の等級とは異なります。

なお、障害厚生年金の3級に該当しないが、一定の障害がある場合は、一時金として「障害手当金」が支給される制度もあります。

障害年金の支給件数、「どの障がいが多く支給される?」《新規裁定・再認定》で確認

今年9月に日本年金機構から発表された「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」で診断書種類別支給件数についてみていきましょう。

●新規裁定:12万9313件
新規裁定とは、新たに障害年金を受けることが決定された件数です。新規裁定の支給件数では、精神・知的障害が最も多くなっています。新規裁定の全体件数12万9313件のうち、精神・知的障害が8万7112件と全体の67.4%を占めているのがわかります。

次いで多いのが肢体、眼、聴覚等が含まれる外部障害であり、2万6787件と全体の20.7%になります。特に障害基礎年金では、精神・知的障害が全体の80.6%と非常に高い割合を占めています。

●再認定:30万4658件
再認定とは、既に障害年金を受けている人が更新手続きを行った結果、引き続き支給が決定された件数です。再認定の合計件数30万4658件のうち、精神・知的障害が24万478件と、新規裁定と同様に78.9%という非常に高い割合を占めています。再認定でも次に多いものは外部障害が3万7224件で12.2%、つづいて内部障害が2万6956件で8.8%となっています。なお、内部障害には呼吸器疾患、循環器疾患、腎疾患・肝疾患・糖尿病、血液・造血器などが含まれています。

障害年金の年金額、「今年度はいくらもらえる?」

公的年金は物価や賃金の変動にあわせて、年金受給額を毎年見直ししています。令和7年度の障害年金の年金額についてみていきましょう。

●障害基礎年金の年金は1級と2級のみ
 令和7年4月からの「障害基礎年金」年金額

 ・1級:年額103万9625円(一部は103万6625円)
 ・2級:年額83万1700円(一部は82万9300円)
昭和31年4月2日以降に生まれたかどうかで金額に若干の差があります。また、子どもを扶養している場合は加算があり、2人まで各23万9300円、3人目以降は各7万9800円が年金に上乗せされます。等級や家族構成によって受給額が変動します。

●障害厚生年金の年金は1級・2級・3級
障害厚生年金は、加入期間中の給与額に応じて決まる「報酬比例」の年金額が基本です。この報酬比例とは、加入期間と給与水準をもとに計算されるしくみです。

●令和7年4月からの「障害厚生年金」年金額
 ・1級:報酬比例の年金額×1.25+配偶者加給年金(23万9300円)
 ・2級:報酬比例の年金額+配偶者加給年金(23万9300円)
 ・3級:報酬比例の年金額のみ(3級の最低保障額は62万3800円または62万2000円)
障がいの程度が3級に満たない場合でも一定の要件を満たせば一時金として「障害手当金」が支給されることもあります。

障害年金の理解、いざという時に備えて

今回は、日本年金機構の統計をもとに、障害年金の支給実態や制度の概要について解説しました。障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、初診日の制度加入状況によって種類が決まります。

支給には保険料納付要件や障害等級などの条件があり、精神・知的障害による支給が特に多いのが現状です。年金額は等級や家族構成、加入期間・報酬額によって異なります。

制度を正しく理解することで、必要な支援を受けることができます。誰にとっても「もしも」のときに備える知識として、障害年金のしくみを知っておくことは大切です。自分自身はもちろん、家族や身近な人を支えるためにも、この機会に理解を深めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

 ・厚生労働省「障害年金制度について(障害年金を請求するお客様へ)」
 ・日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」
 ・日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
 ・日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
 ・政府広報オンライン「障害年金の制度をご存じですか? がんや糖尿病など内部疾患のかたも対象です」

村岸 理美

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最終更新:11/2(日) 6:00

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