お金のこと、難しいですよね。老後の不安から、ますますお金を貯めたい、家計を守りたい、と思っている人も多いのではないでしょうか。皆さんからのちょっとしたお金の疑問に専門家が回答します。今回は、ゆうちょ銀行の定額貯金の活用方法についてです。
◆Q:ゆうちょ銀行の「定額貯金」をうまく活用する方法は?
「ゆうちょ銀行の『定額貯金』が気になっています。定期預金との違いや、うまく活用する方法を教えてください」(匿名希望)
◆A:ゆうちょ銀行の定額貯金は、最長10年預けられ、長く預けるほど利息が増えるため、長期の積立向け預金として活用できます。6カ月以上預ければ、いつでも自由に払い戻すことができますので「途中で引き出す可能性がある」人に向いています
ゆうちょ銀行には「定額貯金」と「定期貯金」という2つの似た名称の預け方があります。どちらも利息がつく貯金ですが、仕組みや使い勝手に違いがあります。まずは、用途に合った選び方ができるよう、それぞれの特徴を簡単に整理しておきましょう。
定額貯金は、6カ月以上預ければ、いつでも自由に払い戻すことができる柔軟性の高い貯金です。預け入れ期間は最長10年。利息は半年複利で計算されるため、長く預けるほど元本が増え、利息も徐々に増えていきます。
預け入れ額は1000円以上1000円単位で、1000円、5000円、1万円、5万円、10万円、50万円など複数の金額から選べます。少額から始められるため、まとまった資金がなくても気軽にスタートできる点が魅力です。
例えば、最初に1万円を預けると、半年後に利息がつき、次の半年は「1万円+利息」に対して利息がつくため、単利よりも増えるスピードが速くなります。10年経過後は通常貯金と同じ金利になりますが、満期時に自動的に通常貯金へ振り替える「満期振替預入」も利用できます。
◆定期貯金との違いって何?
一方の定期貯金は、あらかじめ預ける期間を決めて預けるタイプです。一般的な銀行の「定期預金」にあたります。預入期間は1カ月から5年まで選べ、長く預けるほど金利が高くなる仕組みです。
ただし、原則として期間内の引き出しはできず、「期間中は動かしたくないまとまった資金」に向いています。
定期貯金の利息は、3年未満のものが単利、3年以上は半年複利で計算されます。満期後は、元利金をそのまま新しい定期貯金に自動で預け直す「元利金継続」や、利息だけ通常貯金に戻す「元金継続」が選べます。
◆定額貯金と定期貯金はどう使い分ける?
比較すると、次のような違いがあります。
定額貯金……少額から積み立てやすく、6カ月据え置けばいつでも引き出せる。10年間は複利でしっかり増やせる。
定期貯金……まとまった資金を一定期間動かさずに預けるタイプ。金利がやや高め。
どちらも通常貯金から自動積立ができるため、「気付いたら貯まっていた」という仕組みづくりにも向いています。
◆どんな人に向いている?
ゆうちょ銀行は全国で利用しやすく、地方在住の人や引っ越しの多い人にも便利です。「確実に、手間をかけずにお金を増やしたい」「途中で引き出す可能性がある」という人には、自由度の高い定額貯金が合っています。
資産を大きく増やすには投資などが必要ですが、安全性を重視しながら貯めたい人にとって、定額貯金は手軽に始められる貯蓄手段といえるでしょう。
文:深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
最終更新:12/8(月) 21:40