株式週間展望=米景気や半導体動向めぐり方向感出にくい

5/11 8:06 配信

ウエルスアドバイザー

現在値
ツガミ1,465-4
ファナック4,591-37
トヨタ3,393-10

日経平均予想レンジ:3万7500-3万9000円

 今週の日本株相場は、日経平均株価が3万8000円台を固める展開となった。円安や企業決算が買い支えになる半面、上値の重さも目立ってきた。FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策に対する見通しも揺れる中で、目先は方向感が出にくい局面が続く可能性がある。中国経済の回復感の強まりは、関連銘柄には追い風だが、同国市場へのマネー回帰が本格化する場合は日本株全体の需給を悪化させる恐れもある。

<22日のエヌビディア決算焦点>

 日経平均は4月19日の安値3万6733円を底にじわじわと下値を切り上げ、今週は7日に3万8863円、10日に3万8741円のダブルトップを形成した。下げの直接的な原因の1つである中東の地政学リスクは小康状態に入った一方、半導体業界の減速不安がぬぐわれていない。

 半導体をめぐっては直近も、プロセッサー設計世界大手の英アームの新年度の売上見通しが市場予想を下回るなど、マーケットを沸かせてきた生成AI(人工知能)投資の鈍化を連想させる材料が浮上した。投資家は根強い期待と不安のジレンマにさいなまれ、本丸である米エヌビディアの2-4月決算発表(22日)まではこの問題に決着が付きにくいだろう。

 もっとも、既に決算や新たなガイダンスの開示を済ませつつあるほかの米国企業の収益予想は、同国の景気の先行きの見極めにくさや中東リスクを背景に実態以上に慎重な色合いが強いと思われる。このため、次の決算発表シーズンへ向けて上ブレ期待が膨らむ余地もありそうだ。

 また、日本企業の決算や業績予想はおおむね及第点という印象。前3月期に連結営業利益が初の5兆円台に乗せたトヨタ自動車 <7203> は今期減益の見通しだが、サプライチェーンへの還元や成長投資による影響が大きく、為替もドル・円は時価より10円程度の円高を前提にしている。

 FRBの金融政策については、一連の雇用系指標を受けて再び利下げへの期待が勢いを取り戻した。ただ、9日に出た失業保険申請件数には特殊要因も含まれ、依然として米景気は読みにくい。物価については、来週は14日の4月PPI(生産者物価指数)と15日の同CPI(消費者物価指数)を控え、短期的な波乱に注意が必要になる。

<マネー中国回帰は日本株逆風も>

 一方、中国経済の好転を示唆する統計・指標が相次いでいる。9日発表の同国の4月の輸出入はいずれも前年同月比でプラスに転じた。これに先行し、製造業PMI(購買部担当者指数)も上向いていた。

 中国依存度の大きい工作機械株のツガミ <6101> は、足元で株価が騰勢を強めている。ファナック <6954> も、今3月期は減益予想ながら株価はその後堅調だ。日本で14日引け後に発表される4月工作機械受注(速報値)も注目される。

 中国の動向はこれらの個別企業の買い手掛かりになっている半面、同国を遠ざかっていたグローバルマネーが回帰する過程で、日本から資金が流出することも考えられる。このところの上値の重さと関連付ける向きもあるようだ。

 来週は日本でも決算発表が一巡するほか、米国はCPI、PPIに加えて15日の4月小売売上高や16日の4月鉱工業生産が焦点となる。中国では17日に4月の工業生産や小売売上高が出る。日経平均の予想レンジは3万7500-3万9000円とする。

提供:ウエルスアドバイザー社

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最終更新:5/11(土) 8:06

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