前場の東京株式市場では、前日公表されたTOPIX(東証株価指数)の見直し案を受けて、指数への将来的な組み入れ期待が高まった東証スタンダードや東証グロース上場銘柄の一角に買いが集まった。MCJ <6670> や沖縄セルラー電話 <9436> が上場来高値を更新している。
<採用数1200程度へ、定期見直し導入>
日本取引所グループのJPX総研は19日、TOPIXの見直しに関する新ルールを公表。それによれば、対象を従来の東証プライム市場からスタンダードやグロースにも拡大する一方、浮動株時価総額をはじめとする条件を基準に採用数を大きく絞り込む。構成銘柄は段階的に1200程度(4月末時点で2146)に減る見通しだ。
TOPIXは旧東証1部の全上場銘柄で構成されていた日本を代表する株価指数だが、2022年の東証の市場区分変更に伴い、新ルールへの移行が議論されてきた。新TOPIXは全市場を対象に、浮動株時価総額の上位96%以内、売買回転率20%以上(年間)の銘柄で構成する。毎年10月末に、8月最終営業日のデータ(浮動株時価総額は同月の平均値)を基準に銘柄入れ替えが実施される。
新たなルールは来年9月ごろに確定し、26年10月~28年10月にかけて段階的に移行する見通し。東証は既に浮動株時価総額100億円未満の企業をTOPIXから除外するシステムを導入しており、来年1月には約1700銘柄まで削減する方向だが、より厳格に絞り込むことを決めた形。最終的には採用銘柄数は1200程度になる。
TOPIXは多くの機関投資家がベンチマークにしているため、採用企業は労せずにファンドによる一定の株式保有の恩恵を受けていた。しかし、新ルールに移行すると、時価総額が低迷すれば売却されることになる。一方、スタンダードやグロースに上場する企業にとっては、指数採用のチャンスが生まれるため、企業価値向上の意義が増す。
<上村工やフクダ電も急伸>
市場では現時点でTOPIXへの採用確度が高い非プライム上場銘柄として、時価総額の大きい日本マクドナルドホールディングス <2702> 、ハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> 、ナカニシ <7716> 、フェローテックホールディングス <6890> や、トライアルホールディングス <141A> 、ライフネット生命保険 <7157> などが浮上している。
また、採用によって想定されるパッシブファンドからの資金流入のインパクトが大きいと見込まれる沖縄セルラーはこの日、前日比4.0%高の3765円まで上昇。MCJも7.6%高の1512円を付けている。このほか、ナフコ <2790> や上村工業 <4966> 、フクダ電子 <6960> などが採用期待に絡んで大幅高に買われている。
提供:ウエルスアドバイザー社
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最終更新:6/20(木) 11:36
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