<新興国eye>ロシア中銀、予想通り金利据え置き―据え置き長期化を示唆

4/30 10:09 配信

ウエルスアドバイザー

 ロシア中央銀行は先週末(29日)の金融政策理事会で、インフレ上昇圧力を抑制するため、主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利を高水準の16%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。
 

 中銀は通貨ルーブル安とそれに伴うインフレ再加速を抑制するため、23年7月会合で、ウクライナ戦争開始(22年2月24日)以来、1年5カ月ぶりに利上げ(1ポイント)に踏み切った。しかし、24年2月会合で8カ月ぶりに据え置きに転換、利上げサイクルを5会合連続で止めた。これで据え置きは3会合連続となる。ただ、利上げ幅は計8.5ポイントに達しているため、依然、16%の現行金利は22年4月以来、2年ぶりの高水準。
 

 中銀は据え置き決定について、前回会合時と同様、「現在のインフレ上昇圧力は徐々に緩和しているが、依然として高い」とした上で、「供給拡大能力を上回る国内需要の高止まりが続くため、インフレ率が物価目標に収束するのは2月の前回予測よりもやや遅れる」としている。
 

 また、今後の金融政策について、中銀は前回3月会合と同様、「インフレ率が前年比4%上昇物価目標に収束、物価目標近くでさらに安定することは、金融引き締め状況が以前に予測したよりも長期間維持されることを前提としている」とし、利下げ転換はまだ先になるとの見通しを改めて強調した。
 

 市場ではロシアの雇用市場が依然、ひっ迫しているため、中銀は利下げを急がず、6-7月に利下げを開始する可能性は低いと見ている。中銀は声明文で、「中期的には、インフレリスクのバランスは依然として上方に傾いている」としている。ただ、市場ではインフレ率は12月に前年比5.5%上昇に鈍化すると予想している。
 

 エリビラ・ナビウリナ総裁は声明文で、利下げ開始のタイミングについて、ディスインフレのプロセス(インフレの低下基調)が停滞すれば、年内の利上げや金利据え置き継続の可能性を否定しなかったが、「24年4-6月期から経済がよりバランスのとれた成長率に移行、需給ギャップが徐々に縮小する。その場合、過去の累積的な利上げ効果により、インフレ率が24年末までに物価目標に収束する。こうしたインフレ鈍化の状況が進めば、24年下期に利下げを開始する可能性がある」としている。
 

 中銀は今回の会合で公表した最新の4月経済予測で、インフレ見通しについて、24年末時点は前年比4.3-4.8%上昇と、前回2月予測(4.0-4.5%上昇)を引き上げた。直近では3月のインフレ率は前年比4.5%上昇と、2月の同6.3%上昇から低下している。また、25年末に4%上昇と、物価目標に収束、26年末も4%上昇で安定するとの予想を据え置いた。ちなみに23年末は同7.4%上昇だった。
 

 景気見通しは24年を2.5-3.5%増と、前回予想(1-2%増)の2倍に引き上げた。25年は1.0-2.0%増、26年は1.5-2.5%増と、いずれも予想を据え置いた。ちなみに23年は同3.6%増だった。
 

 次回の定例会合は6月7日に開かれる予定。
 

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最終更新:4/30(火) 10:09

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