シェア

価格改定浸透で収益性が向上、26年12月期も大幅な増収増益を計画 rakumo<4060>
投資情報サービスを提供するウエルスアドバイザー株式会社が作成したレポートです。rakumo<4060>の業績動向や財務状況、事業環境を分析し、今後の見通しを投資判断の参考情報としてレポートいたします。
※本記事は2026年3月12日時点で作成されたレポートをもとに構成しています。
25年12月期は調整後EBITA34%増
25年12月期の連結業績は、売上高1,830百万円(前期比26.8%増)、調整後EBITAは585百万円(同34%増)、営業利益は428百万円(同11.6%増)と主力のrakumoサービスが順調に拡大。サービスの成長と価格改定効果が寄与しており、全体の収益力が高まっている。クライアント数が継続的に増加しており、有料ライセンス数とユニークユーザー数も回復している。
大型アップデートを伴う価格改定が25年10月から開始しており、大きな解約もなく順調に進捗している。提供先では、業界特化型マーケティングの効果で秋田県庁など大型自治体向けが増加している。民間企業以上に、一度導入されると解約されにくい特性があり、また各自治体に横並び指向があるため、中期的なビジネス拡大が期待される情勢にある。
25年9月から「rakumo for Microsoft 365」の提供を開始
25年9月からは「rakumo for Microsoft 365」の提供を開始。大手2社との代理店契約を締結しており、これまで手掛けていたGoogle向けだけでなく、マイクロソフト向けのサービスを投入。これによりMicrosoft 365ユーザーへrakumo製品の販売が可能となるだけでなく、Google WorkspaceからMicrosoft 365への乗り換えによる解約を取りこぼさすに済むようになるため、十分に低い解約率の一層の低下が期待される。また26年2月にはAIアシスタント機能「rakumoエージェント」もリリースしている。
クラウド型拡張ツール「rakumoシリーズ」は、労働生産性の向上を図れるツールとしてだけでなく、テレワークやハイブリッドワークなど、働き方の変化にも対応できるツールとして提供されており、解約率は1%未満と低水準を維持している。rakumoサービスの順調な成長と、固定費を中心とした売上原価構造により、原価率及び販管費率も低水準での推移を継続している。
26年12月期通期業績予想は売上高2,330百万円(前期比27.3%増)、調整後EBITAは770百万円(同31.5%増)、営業利益は550百万円(同28.5%増)とした。値上げの浸透によって価格改定効果が大きくなり、収益力が一段と向上する。「rakumo for Microsoft 365」の拡販、自治体施策によるrakumoサービスの成長に加え、M&Aで取得した企業の寄与度も高まる。なお、新たなM&Aは計画に織り込んでいない。
中期的な施策を着実にこなし、業績は順調に拡大している。目を見張るような鋭角的な成長はないが、中期的には収益規模の拡大に伴って、個人投資家以外の参戦も増加していく可能性がある。このほど、新たな株主還元策として株主優待制度を新設。6月末と12月末の500株以上保有株主に対し、デジタルギフト7,500円分(年間1万5,000円分)を進呈する。個人投資家人気も高まっていくことが想定される。想定株価レンジは1550―1900円を据え置く。
同社競合で勤怠管理等業務ソフトを一体化したクラウドサービス提供するチームスピリット<4397>は26年8月期業績が増益となる見込み。業務アプリのトヨクモ<4058>も26年12月期業績は増益を計画する。競合2社の予想PERはチームスピリットが22.1倍、トヨクモが15.8倍。rakumoの予想PERは19.7倍。株価指標に特段の割高感はなく、成長性を評価して投資判断は「Overweight」を継続する。(小泉 健太)
会社概要
20年9月にIPO。ITビジネスソリューション事業として、サブスクリプション型でGoogle版rakumo、Salesforce版rakumo、Microsoft 365版rakumo、aloopやM&Aにて獲得した各種サービス(gamba!、SmartVision IR、STARTRE CMS及びAGENT SHAREなど)を提供している。「rakumo」はクラウド環境で動作する同社のオフィスツール製品群の総称で、クラウドコンピューティング生産性向上グループウエアツール「Google Workspace」や「Microsoft 365」の利用が拡大する中で、足りない機能を補うアプリケーションとして発展。Google版rakumoには共有カレンダー、共有アドレス帳、電子稟議(りんぎ)システム、電子掲示板、経費精算システム、勤怠管理システムなどのサービスがあり、「Google Workspace」と連携して利用できる。Salesforce版rakumoには共有カレンダー、カレンダー同期サービスなどが、Microsoft 365版rakumoには、カレンダー、コンタクト、ボードがある。
rakumoの手掛けるグループウエア拡張製品は導入コストが低く、短期間で導入できることが特徴。「Microsoft 365」や「Google Workspace」、Google社が提供するAIサービス「Gemini」への関心の高まりを追い風とする。rakumoでは、導入後の追加サービスの導入促進(クロスセル)、パックでの導入の推進等による顧客単価の継続的な向上に加えて、新サービスや生成AI関連を含む新機能を継続的にリリースしていくことで、さらに成長率を高めていく方針。自社販売と100社以上の販売パートナーを通じて顧客を積み上げている点も特徴となっている。
事業環境と展望
コロナウイルス感染拡大以降、リモートワーク需要の拡大等によりSaaSサービスへの投資が加速し、業務で利用するSaaSサービスへのニーズは継続。
今後DXが加速すると見込まれる業界(自治体、教育、医療及び建設等)への集中的なマーケティング施策が好調に進捗しており、今後も十分なオーガニック成長が期待される。また、従来はGoogleのグループウエア市場のみを対象としていたが、Microsoft 365版rakumoをリリースしたことでrakumoサービスが対象とする市場規模が大幅に拡大したことに注目したい(同社調べでGoogle/Microsoftの2社で93%の市場シェアを占める)。これにより、Google Workspace利用企業のみでなく、Microsoft 365利用企業へも同社製品の販売が可能となるため同社へのSaaS投資はさらに進む見通し。
今後も価格改定効果や、Microsoft 365版rakumoの拡販、業界特化型セグメントマーケティング施策の推進による大型案件の獲得等で既存rakumoサービスの成長、パソナ社と連携したaloopの本格的な展開や新規プロダクト・機能のリリース、そしてM&Aにより獲得したスタートレ社及びエージェントシェア社のPMIによるM&A効果の発現等により、更なる成長性の高まりが期待される。
なお、米国のAI開発企業の発表に端を発したSaaS関連銘柄への影響について同社は、10年以上蓄積された豊富なユーザー利用データをもとにした新しい機能の継続的な提供や、安定的なシステム運用ノウハウを強みとしており、これら全てをAIが代替することは困難と説明している。また、同社サービスにAIを組み込み、労働生産性をさらに高めることでAI単体での利用に対しての優位性を構築していくことが可能と説明している。同社の説明に加えて、同社が強みとしている日本企業特有の「複雑な階層組織」や「独自の承認ルール」などに合わせてUI/UXを設計することは考えにくく、AI精度の向上によりさらなる同社の成長が期待される。
アナリストピックアップ情報
リスク要因
リスク要因としてはGoogle社、セールスフォース社との関係性や両社の事業方針が挙げられる。両社の方針変更により、同社グループの事業に影響が生じる可能性がある。ただ、現時点において両社が日本から撤退する予定はない。なお、この点は、逆説的にとらえると他社による参入障壁という側面も挙げられる点に注目したい。
このほか、企業規模の小ささも投資リスクにつながる。ただ、積み上げ型のサブスクモデルを構築している企業であるため、外部要因の影響を受けにくく、業績は今後も安定的な成長が見込まれている。
競合他社比較
既上場で比較的類似サービスを展開する勤怠管理等業務ソフトを一体化したクラウドサービス提供するチームスピリット<4397>、業務アプリのトヨクモ<4058>を選定した。
成長性
25年12月期の連結業績は、売上高1,830百万円(前期比26.8%増)、調整後EBITAは585百万円(同34%増)、営業利益は428百万円(同11.6%増)となった。価格改定効果や、低い解約率(高い更新率)の維持で順調に成長。中期経営計画では、既存rakumoのグロース、新領域でのプロダクト展開及びM&Aの加速を重点取り組みテーマとしており、27年12月期のARR30億円、調整後EBITA10億円、営業利益7億円、目標株価2,000円を計画している。
収益性
元来収益性の高いビジネスモデルであり、規模拡大とともに固定費のウェートが低下して収益力が向上する。25年12月期営業利益率は23.4%と、24年12月期(26.6%)の水準を下回るが、これはM&Aの実施により利益額は増加しているものの、一過性のM&A関連費用やのれん償却費などの増加が主因。25年12月期のROE(自己資本当期純利益率)は15.6%、ROA(総資産経常利益率)は11.9%といずれも2ケタと高い収益性を誇る。
財務安定性
自己資本比率は25年12月末時点で44.8%、デット・エクイティ・レシオが65.1%となっている。若いベンチャー企業は投資が先行する例が多いが、すでにサブスク型のビジネスモデルを構築済みということもあり、大規模な投資を必要としないことから、今後も健全な財務体質をキープできそうだ。中期経営計画(2025年度~2027年度)で、3カ年のキャピタルアロケーション方針も説明しており、3年間で10億円の株主還元(配当+株主優待+自己株式の取得)を掲げている点にも注目したい。
ウエルスアドバイザー・エクイティ・リサーチレポートの用語説明・読み方(外部サイト)
本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資料に掲載された意見は作成日における判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、安全性等について保障するものではありません。著作権、知的所有権等一切の権利はウエルスアドバイザー株式会社に帰属しますので、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
カテゴリーから探す
証券会社総合ランキング
2026/03/26更新