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コインチェックIEO「ファンプラ」 ~GLAY、UVERworldなど700組超と連携 推し活をトークンで~

コインチェックIEO「ファンプラ」

出典元:Coincheck

2025年11月13日更新

FPLの応募総額は90.6億円、申込口座数は28,523口座、抽選倍率は9.06倍だった。販売総数10万口に対し申込口座数が下回り、申込者全員に最低1口(1万円)が確定配分される結果となった。



音楽ファンクラブ運営大手が参画

仮想通貨(暗号資産)取引所コインチェックで10月21日〜11月4日に、株式会社Fanplaの仮想通貨「ファンプラ(FPL)」のIEO(Initial Exchange Offering)が実施された。国内9例目、音楽業界初の案件として注目を集めた。

国内初の先駆けとなったコインチェックで実施された過去3件のIEOでは、抽選倍率が最大20倍超を記録。投機需要の高さから、いずれも上場後の初値は公募価格を大幅に上回った。

一方で、仮想通貨の税制は株式よりも不利であり、価格変動リスクも大きい。IPO以上にハイリスク・ハイリターンな性質を持つ。また、海外の主な成功事例と比較すると、国内発の新規トークンはプロジェクトの評価が芳しくなく、長期保有に適さないケースも少なくない。

本記事では、IEOの仕組み、IPOとの違い、過去実績、投資時の注意点を解説する。

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IEOとは? IPOとどう違うのか

株式市場には「IPO(新規上場)」という仕組みがあり、仮想通貨業界にも同様に新規銘柄を投資家に公開する仕組みが存在する。それが「IEO(Initial Exchange Offering)」だ。

IEOでは、取引所(暗号資産交換業者)がプロジェクトの信頼性を審査した上で、そのトークンを販売し、その後取引市場を設置する。仮想通貨版のIPOとも言える新規銘柄への投資機会であり、申込から上場まで数週間程度と資金効率が高い点が特徴だ。

IPO(株式) IEO(仮想通貨)
申込〜上場 2〜6カ月 約2〜3週間
取引時間 平日9:00〜15:00 24時間365日
税率 20.315%(分離課税) 最大55%(総合課税)
確定申告 特定口座なら不要 必須

このようにIEOは、スピードとリターンを重視する投資手法として注目されているが、株式投資と比較すると短期的な性質を持つため、投資判断、特に長期保有には発行企業の信頼性やトークンの実用性などを見極めたい。

ファンプラのIEO概要

仮想通貨「ファンプラ(FPL)」の発行体は株式会社Fanpla。音楽ファンクラブ運営大手Fanplus(GLAY、THE YELLOW MONKEY、UVERworld、すとぷりなど700組超のアーティスト、有料会員約400万人)と協業し、ファンの熱量を可視化してアーティスト活動に還元する「共創型トークン」を発行する。

GLAY、THE YELLOW MONKEY、UVERworld、すとぷりなどのアーティスト画像

出典元:Fanpla

FPLは、グッズ・チケットの購入、ファン投票によるプロジェクト支援、将来的にはステーキングによる報酬獲得などに活用される計画だ。従来の定価販売モデルでは実現できなかった"ファンダム経済圏"の構築を目的としている。

  • 申込期間:2025年10月21日(正午)〜11月4日(正午)
  • 抽選日:11月4日/結果発表・受渡:11月5〜6日
  • 上場予定:2025年11月11日(火)※取引所・販売所で同時取扱開始
  • 販売価格:1.0円/FPL(1口=1万円=1万枚)
  • 販売総数:10億枚(発行上限100億枚の10%)
  • 調達予定額:10億円(ミニマムキャップ)

申込総額が10億円未満の場合、販売は不成立となり、申込資金は全額返金される。抽選は平等配分を基本に、口数比例による部分当選方式も採用される。

ファンプラIEOの特徴:全員1口(1万円)保証

  • 申込人数10万人以下:希望口数が購入可能(上限800口)
  • 申込人数10万人超:1人1口までに制限され抽選制に移行
  • 申込方式:先着順ではなく期間内抽選
  • 資金拘束:抽選終了まで該当資金の出金・他の仮想通貨購入が不可
  • 申込条件:コインチェック口座開設・KYC完了・購入予定額+手数料分の日本円残高

コインチェックIEO実績との比較

コインチェックはマネックスグループ傘下の大手暗号資産取引所で、国内有数の個人投資家基盤を持つ。

厚いユーザー基盤により、過去3件すべてのIEOで販売価格を上回る初値を記録。需要超過の構図が一貫している。

項目 FPL
(2025年)
BRIL
(2024年)
FNCT
(2023年)
PLT
(2021年)
調達額 10億円 15.12億円 10.66億円 9.3億円
販売価格 1.0円 21.6円 0.41円 4.05円
応募者数 28,523口座 7.94万人 2.4万口座 6万人
累計申込金額 90.6億円 333億円 200.3億円 224.6億円
抽選倍率 9.06倍 22.04倍 18.78倍 24.11倍
初値 1.495円
(最高値)
※取引開始1分で0.510円
99.66円 2.07円 6.00円
初値騰落率 +49.5% +361% +405% +48%

ポイント①:抽選倍率20倍前後の実績

前回のBRILでは、調達目標15億円に対して応募総額333億円、抽選倍率22.04倍と過去最高水準を記録した。応募者数は7.94万人、販売価格21.6円に対し初値は99.66円(+361%)まで上昇。その結果、購入希望を満たせなかった層の資金が上場直後の買い需要として流入し、需給が一気に締まった格好だ。

今回のFPLは調達額10億円と前回より低め、販売口数も抑えられている。そのため、応募状況が同水準に達した場合、抽選倍率20倍超も見込まれ、初値需給がタイト化する可能性が高い。

ポイント②:公平なチャンスはある

ファンプラ(FPL)は応募者数が10万人を超えた場合、1人あたり1口(1万円)のみに制限される設計となっている。

通常は1口1万円で最大800口(800万円)まで申し込み可能だが、超過時は自動的に公平抽選へ移行する仕組みだ。

直近のBRILでは上限が28万人に設定されていたが、応募者数は7.94万人に留まり、全員が最低1口を獲得できた。

この構造から、FPLでも「最低1口保証+高倍率抽選」という二段階方式が維持される。小口投資家でも平等に当選機会を得られる"低ハードル設計"が特徴である。

ポイント③:国内IEO 9例目としての成熟局面

国内IEOは制度として定着し、ファンプラ(FPL)は9件目の案件となる。ある程度の傾向も見え始めている。

直近のBRILでは、上場後しばらく高値圏を維持したものの、プロジェクトの進捗(しんちょく)の遅れなどから数カ月で落ち着き、出来高も減少した。こうした値動きは、市場の成熟に伴い、IEOが「短期決戦型」と「プロジェクト支援型」に二極化しつつある現状を示している。

ただし、価格は市場環境やトークンの追加供給などの要因にも左右される。短期的な価格下落が必ずしもプロジェクトの失敗を意味するわけではない点には留意したい。

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混雑時:口座開設・KYC(本人確認)審査完了には数日~1週間かかる場合があるため、参加を検討している方はまずは口座開設を済ませましょう。

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経験者談:実践的な投資戦略

過去IEOに参加してきた投資歴の長い"タツジン"さんに、実際の投資戦略について聞いた。

タツジン

人気取引所のIEOは抽選倍率が非常に高くなることため、1つの口座だけでは当選確率が低くなります。そのため、過去には家族それぞれが独立して口座を開設し、各自の判断で申し込むケースもありました。配偶者と子供(成人)がそれぞれ申し込めば、世帯としての当選確率は高まります。

今回のFPLでは、10万人を超えると1口(1万円)のみに制限される。1口1万円という少額設定のため、家族で3口当選すれば最低3万円分の参加が可能となる。

タツジン

法人を経営している場合は、法人口座も選択肢の一つです。個人口座と法人口座は別々に申し込めるので。ただし、法人口座の開設には時間がかかるため、今回のIEOには間に合わない可能性が高いです。今後の備えとして開いておくのはアリですね。

なお、コインチェックの規約によれば、申込内容に虚偽がある場合などは申込取消・抽選除外の対象となる。また、家族名義で当選した場合、その利益は各名義人の所得として申告が必要となる点にも注意が必要だ。

初値売却 vs 長期保有の判断

IEOが株式投資家にとって魅力的なのは、上場までのスピード、公平な抽選制度、即時売買の3点にある。

今回のファンプラのIEOでは、11月4日の申込締切からわずか1週間後の11月11日に上場する。IPOと比べて資金拘束期間が短い。また、上場後は24時間365日取引可能、いつでも売買できる。

タツジン

過去の経験から、株のIPOや仮想通貨のIEOは堅実な初値売りが「基本戦略」です。もちろん長期保有することもありますが、チャートや出来高の推移、プロジェクトの実用性やトークンの使い道を見て判断します。昨年反響を呼んだ「NAC」のIEOでは、一定額以上の保有者を対象に毎月抽選で豪華ヴィラのような「NOT A HOTEL」宿泊権がプレゼントされる仕組みがありました。 また、IEOの申し込みは先着順ではないため、開始直後ではなく、期日直前の預け入れの方が資金拘束の観点からおすすめです。

「NOT A HOTEL」の画像

NOT A HOTEL

過去3件のコインチェックIEOでは、すべて初値が販売価格を上回っていた。短期的な値上がり益を狙うなら、上場直後の数日間が勝負となりそうだ。

リスク管理:ファンプラ IEO投資の注意点

IEO投資には複数のリスクが伴う。投資判断は各自の責任で行う必要がある。

①価格変動・流動性リスク

仮想通貨は株式以上にボラティリティが高く、1日で±30%の変動も珍しくない。上場直後は取引が活発でも、数ヶ月後に出来高が減少するケースもある。

FPLは最大発行枚数100億枚のうち、IEO販売分は10億枚(10%)。今後はエコシステム報酬やステーキング(新規供給解除分の分配)を通じた追加流通も想定されるため、価格低下や希釈化リスクは完全には避けられない。

一方で、調達資金の約4割が開発・マーケティング費に充てられる計画であり、プロジェクトの成長が中長期的な価値維持につながるかが焦点となる(開示情報に基づく)。

②税務リスク

IEOの利益は「雑所得」扱いとなる。株式の譲渡所得(20.315%)とは異なり、総合課税のため所得が多い人は最大55%(住民税を含む)の税率が適用される。家族名義で当選した場合、その利益は各名義人の所得として申告が必要だ。

③手数料・資金拘束・不成立リスク

当選口数に応じて販売手数料8%が発生し、申込後は抽選終了まで資金がロックされる。なお、申込総額が10億円(ミニマムキャップ)に達しなかった場合、販売は不成立となり、ロックされた日本円は販売手数料を含めて全額返金される。

申込方法

  1. コインチェック口座を開設し、本人確認(KYC)を完了
  2. 購入予定額+手数料(8%)を日本円で入金
  3. IEO専用ページで希望口数を入力し「抽選を申し込む」をクリック
  4. 抽選結果は11月6日以降、メールおよびサイト上で通知

申込資金は抽選終了まで拘束され、他の取引や出金には利用できない。抽選は平等配分を基本とした方式で、部分当選となる場合もある。

申込総額が成立条件を満たさなかった場合は、ロック解除後に全額返金される。受渡は11月5〜6日に行われ、コインチェックの「取引所・販売所」サービスへの上場は11月11日を予定している。

まとめ

IEOは、スピード感や抽選の公平性、上場後の流動性といった点でIPOとは異なる魅力を持つ。一方で、高倍率や価格変動の大きさ、税制上の負担といったリスクも避けられない。

ファンプラ IEOは「調達額を抑えた需給設計」と「1口制限による参加の公平性」が特徴。初値上昇が期待される反面、2口目以降の当選は狭き門となる可能性が高い。

短期の値動きを狙うか、長期的にプロジェクトを支えるか――IEOはそのスタンスによって結果が大きく変わる投資だ。リスクと向き合い、自分の戦い方を決めて臨みたい。

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    CoinPost編集部

    2017年7月の創設以来、暗号資産・Web3分野における日本最大の専門メディアとして最新ニュース、市場分析、技術解説、企業取材・インタビューなど幅広い情報を発信。アジア最大級のWeb3カンファレンス「WebX」の企画・運営を通じて、業界の発展とグローバルな情報交流に貢献。

提供元:CoinPost

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