そもそも債券と株式はどんな意味? まずは仕組みから理解しよう
債券と株式の違いを見る前に、まずは債券と株式の仕組みを整理しておきましょう。ここでは、債券投資と株式投資の基本的な知識を紹介します。
債券投資:定期的に利子を受取る。国債・社債など種類はさまざま

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債券投資とは簡単にいうと、国や地方公共団体、企業などが発行する有価証券(債券)を購入し、その対価として定期的に利子を受取る投資方法です。満期になると元本がまとめて償還されるため、債券運用は比較的安定した資産形成方法だといえるでしょう。
債券には、国債や地方債、社債などさまざまな種類があります。国債は日本やアメリカなどの国が発行する債券、地方債は都道府県などの地方公共団体が発行する債券、社債は企業が発行する債券です。国債と地方債はまとめて公共債とも呼ばれ、社債は民間債に分類されます。
債券と混同されやすい言葉として債権がありますが、債権は自らが行った貸付やサービスの提供に対して、相手に債務の履行を求める権利です。債券が資金調達のために発行される有価証券であるのに対し、債権は債務の履行を請求する権利そのものを広く指します。広義では、債券も債権の一種であると覚えておきましょう。
株式投資:株式の売却益のほか、株主として権利も得られる

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株式投資とは、企業が資金調達を目的として発行した有価証券(株式)を購入する投資方法を指します。購入した株式の価格が上がったタイミングを狙って売却すれば、売却益を受取れる仕組みです。
株式を保有する人は株主といい、企業が利益を得た際には配当としてお金を受取れます。株主総会に参加できる議決権や、株主優待として商品・サービスなどの特典を得られるのも特徴です。投資で利益を狙いながら、買い物や食事、レジャーなどをお得に楽しめる点は、株式投資の大きな魅力でしょう。
債券と株式の違いとは? 相違点をわかりやすく解説
債券と株式の仕組みを理解したら、それぞれの違いをより詳しく見ていきましょう。相違点を知ることで自分にあった資産運用方法を見つけやすくなるため、ぜひ参考にしてみてください。
利益の種類|債券は主に利子、株式は売買益と配当金が得られる

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債券と株式では、得られる利益の種類に大きな違いがあります。
債券とは、国や企業が資金調達のために発行するものです。投資家は債券を購入し、国や企業に資金を貸す代わりに利子を受取ります。1年間に支払われる利子は、債券発行時に定められているため、債券を保有している限り受取ることが可能です。
債券には満期が決められており、償還日に購入時との差額の償還差益を受取れる場合があります。満期を迎える前の売却も認められているため、その時点の時価で売却して利益を得ることも可能です。
株式とは、株式会社が資金調達のために出資者に対して発行するもの。株式には満期がなく、基本的には売買益で利益を得ます。
企業の利益を出資者に配分する、配当があるのも株式の特徴です。ただし、配当は利子と違って、企業の業績次第では支払われない可能性がある点は理解しておきましょう。
満期|債券は満期あり、株式は満期の設定なし

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満期の有無も、債券と株式の大きな違いです。
債券には満期があり、満期を迎えると元本が返ってくることもあらかじめ決められています。途中で売却することもできますが、その時点の時価で換金されるので元本割れが生じる可能性もゼロではありません。
株式には満期が設定されていないので、自分の好きなタイミングで売却できます。ただし、元本が保証されていないため、売却時に株式の価格が値下がりしていれば、損をしてしまうことも覚えておきましょう。
最低投資額|債券は1万円から。株式はまとまった資金が必要

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債券と株式とでは、最低投資額も異なります。
債券の場合、個人を対象として発行されている国債であれば、1万円から購入できます。少額で資産運用ができるため、投資初心者でも気軽に始められるでしょう。
株式の場合、基本的な購入単位は100株なので、まとまった資金が必要になるケースが多いといえます。例えば、1株1,000円の株式を購入する際には、100株分の10万円を用意しなければなりません。
流動性|換金しやすいのは株式。債券は流動性が低め

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債券と株式の違いとして、流動性にも注目してみましょう。流動性とは、必要になったときにすぐ換金しやすいかどうかを表します。
流動性を比較すると、債券は株式よりも流動性が低めの商品です。満期の前に債券を売却して現金化することもできますが、発行元によっては換金できる時期が制限されます。
一方の株式は、証券取引所の取引時間内であればいつでも売買できるため、好きなタイミングで換金しやすい商品です。証券取引所で頻繁に取引されている銘柄は、特に流動性が高いといわれます。
リスクの特性|どちらもリスクはあるが、安全性が高いのは債券

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債券と株式では、リスクの特性にも違いがあります。
債券は比較的リスクが低い金融商品です。発行元が債務不履行にならない限り、満期を迎えたら元本または額面金額と利子が支払われます。債券価格は安定した値動きになりやすく、満期までの間は決められた利子も定期的に受取れるため、投資商品のなかでも安全性が高い商品といえるでしょう。
一方の株式は債券よりも価格変動のリスクが高く、元本や配当金を受取れない可能性があります。業績や経済状況などによって株価が変動するため、場合によっては元本割れが起きたり、配当金がなくなったりすることも。株価が上昇すれば債券よりも高いリターンが期待できますが、その分リスクも高いと理解しておきましょう。
業績好調時の動き|債券は特に影響なし。株式は配当金が増えることも

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企業が好調な場合の動きも、債券と株式で異なります。
債券は発行元の業績が好調であっても、満期を迎えたときの元本や利子の償還に影響はありません。業績にかかわらず、あらかじめ約束された金額が返済されます。
ただし発行元の財務状況が改善されることで信用力が上がり、債券価格が上昇することも。債券は途中売却もできるため、債券価格の上昇時に売却すれば売却益を得られる可能性があります。
株式の場合、発行元の企業が好調なときは配当金の増額が期待できるでしょう。なかには長期間にわたって配当金の増額を続けている企業も少なくありません。また、株価が上昇したタイミングで売却すれば、値上がり益を得られる可能性があります。
業績悪化時の動き|債券は原則元本割れなし。株式は損失を出しやすい

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企業の業績が不調なときも、債券と株式は異なる動きをします。
債券は発行元の業績が不調になっても、好調なときと同様に元本や利子には影響しません。債務不履行にならない限り、償還時の支払い額は一定です。ただし、途中売却する場合は原則として時価で換金されるため、業績悪化によって債券価格が下がっていると元本割れの可能性があります。
一方の株式は、企業業績が不調だと配当金・株価ともに下がる可能性が高いでしょう。配当金が減額されるだけでなく、場合によっては支払われなくなることも考えられます。
株価が下がった場合は損失が出たり、損切りをし損ねて塩漬け状態になったりするリスクも。万が一企業が破綻した場合は、株式の価値がなくなって元本割れする危険性にも注意が必要です。
株式と債券はどっちがいい? メリット・デメリットを比較して選ぼう
株式と債券のどちらに投資するか迷ったら、両方のメリット・デメリットを比較して選びましょう。以下では、それぞれに向いている人の特徴もあわせて解説します。
債券投資のメリット・デメリット
安全性の高い商品に投資をして元本割れを避けたい人には債券投資がおすすめです。株式よりもリターンが限られるデメリットはありますが、損失を出しにくいメリットもあります。
リターンの大きさよりも元本割れのリスク軽減を重視する安定志向の人は、債券投資を検討してみてください。
株式より値動きが安定。保険や預貯金に比べて資産を増やしやすい

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債券では、預貯金よりも大きな利益を期待できます。単なる預貯金の場合、多くの金融機関では年間の利率を0.125%程度に設定していますが、債券であればより多くの利子を受取ることが可能です。
債券は、株式と比較して値動きが安定しているのもメリット。利子があらかじめ決められているほか、満期になると確実に元本が戻ってくるため、低リスクで資産運用ができます。
リターンは株式より小さめ。種類によってはリスクが高いことも

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債券は値動きが小さく、損失のリスクは抑えられますが、大きな価格上昇は期待できません。株式投資に比べてリターンが限られる点は理解しておきましょう。
債券によっては、満期を迎える前に発行者の都合で償還されるリスクもあります。債券が途中償還されると、満期まで保有していた場合よりも受取れる利子が少なくなってしまう点に注意が必要です。
債券のなかには、債務不履行や元本割れのリスクが高いとされるハイイールド債もあります。また、外国債券には為替変動リスクやカントリーリスクなどがあり、国内債券に比べてハイリスク・ハイリターンな傾向です。一般的に債券は低リスクとされますが、種類によってはリスクが高い場合があることも覚えておきましょう。
株式投資のメリット・デメリット
リスクを取ることになっても大きな利益を得たい人には株式投資が向いています。投資商品のなかでもリスクが高い点はデメリットといえますが、債券と違って満期や投資期間の制限がないため、短期間で大きなリターンが得られる可能性もあるでしょう。また、値上がり益や配当金のほかに株主優待を受けられることがある点もメリットです。
債券より値動きは大きいが、その分高いリターンも期待できる

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株式投資では、配当を受取れる可能性があります。配当とは、企業が出資者に対して利益を配分すること。配当される額は企業の業績によって変動するため、状況次第では配当がなくなるケースもあるので注意が必要です。
株価が上昇したタイミングで株式を売却した場合は、購入時との差額分が利益になります。基本的には、企業が成長すれば株価も上昇するため、出資先を決める際にはこれまでの業績や将来性にも注目しておきましょう。
株式は企業の業績や景気の影響を強く受ける金融商品なので、債券よりも損失のリスクが高い分、得られるリターンも大きいのが特徴です。資産運用で大きく利益を上げていきたい人は、リスクを理解したうえで株式投資にチャレンジしてみることをおすすめします。
元本保証がなく、大きな損失を抱えるリスクがある

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株式投資では、出資した企業の業績悪化により、株価が下落して損失が生じることもあります。企業が倒産してしまうと最悪の場合、保有する株式の価値がゼロになることも。
株式投資のリスクを回避するには、分散投資が有効です。例えば、複数社に投資することで、そのうち1社が倒産しても、ほかの企業の業績がよければ資産の減少を抑えられます。
株式を売買するタイミングを分けることも重要です。株式は安いときに買って、高いときに売るのが望ましいですが、一度に売却してしまうと暴落時などには大きな損失が生じます。株価は下落したあと元の水準に戻るケースもめずらしくないので、売買のタイミングは複数回に分けるようにしましょう。
債券と株式についてよくある質問
最後に、債券と株式について疑問に思われやすいポイントを紹介します。用語の意味や値動きの仕組みをしっかり理解したうえで、資産運用の準備を進めましょう。
社債・公社債と株式の違いとは?

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社債と株式はどちらも企業が資金調達のために発行するものですが、社債とは企業にとって借金のようなものであるのに対し、株式は資本金である点が異なります。
社債はあらかじめ満期が設定されており、企業は投資家に対して元本と利息を返済しなければなりません。一方、株式は資本金なので返済義務がなく、代わりに配当金の分配や株主総会の参加権などを投資家に与える仕組みです。
社債と名称が似ている公社債と株式の違いも確認しておきましょう。公社債は、国や地方公共団体などが発行する公共債と、企業などが発行する民間債の総称です。株式に比べて運用時のリスクが小さく、ほかの金融商品とともに投資信託へ組み込まれるケースもあります。
株価と債券の関係とは? 株価が下がると債券はどうなる?

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一般的に、債券と株式には負の相関関係があるといわれています。一方が下落しても、もう一方は上昇するため、債券と株式にバランスよく投資すれば、リスクを抑えた資産運用が可能となるでしょう。
負の相関関係が成り立つ主な理由は、景気と金利の変動です。例えば、景気がよくなると株価は上がりますが、金融引き締めによる市場金利の上昇によって債券の需要はなくなり、価格も下落します。反対に、景気が悪くなると株価は下がりますが、金利も下がるので結果的に債券の価格は上昇することがほとんどです。
債券と株式はそれぞれ異なる動きをするため、組み合わせて運用すれば損失のリスクを減らせることも覚えておきましょう。
債券や株式の運用を始めるなら証券口座を開設しよう

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債券や株式は、証券会社で口座を開設すれば購入できます。債券は銀行などでも購入できますが、株式は証券会社しか取扱っていないので注意してください。
まずは、Webや電話などで口座開設に必要な申込書を取り寄せましょう。次に必要事項を記入し、マイナンバーや本人確認書類などの書類とあわせて返送します。
申込み後、審査に通過すれば口座開設は完了です。入金を済ませれば、債券や株式を購入できます。
どの証券会社を選べばよいか迷った際は、以下のページをチェックしてみてください。さまざまな証券会社のランキングを作成して紹介しているほか、特徴ごとに絞り込む機能もあるので、自分にあった口座開設先を見つけられるでしょう。
ファイナンシャルプランナー/スキラージャパン株式会社代表取締役、伊藤亮太FP事務所代表
伊藤亮太
企業業績により、株価はもちろんのこと、配当金も変動します。配当金は必ずしも受取れるものではありませんのでご注意ください。