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ゆく株の流れは絶えずして、しかも、徒然なるままに……息抜きしながら探し物を…。の掲示板

株価は上昇すれば、下落します。株価が上昇すれば、地合いが盛り上がり、儲かる投資家が増えれば増えるほど市場は熱狂的になっていきます。反対に、株価が下落し始めると、我先にと売りが出始め、やがて売りが売りを呼ぶ展開となって投げが加速し、悲壮感に市場は包まれていきます。人間は欲深いため熱狂的にも悲観的にもなりやすく、マーケットは良くも悪くも一方向に傾きやすいのです。

 ただ、株価は企業業績にもある程度裏打ちされていると考えることができ、業績に見合ったフェアバリューが徐々に形成されていきます。こうして通常はフェアバリューあたりで株価は推移するはずなのですが、実際の株式市場で見られる光景はこれと異なります。その時々の株式市場の地合いによって、水準が歪められていくのです。

 株価を形成する根拠となるのが、個別企業のフェアバリューであるならば、株価のブレ、いわゆるボラティリティを形づくるのは、その時に株式市場に参加している投資家の心理状態であるといえるでしょう。フェアバリューは決算内容などファンダメンタルズに基づいて客観的に判断していけばよいのですが、株価のブレはどのような基準を用いて判断すればよいのでしょうか。その答えは、テクニカル指標を使って機械的に判断していくことです。具体的には「騰落レシオ」を活用して、株式市場に参加している投資家の心理状態を探っていくのです。

 騰落レシオは、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率から、市場の過熱感を測るテクニカル指標です。ある期間内の値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割ることで求めることができ、パーセントで表します。一般的な見方としては、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数が均衡する100%の水準が、過熱感も売られ過ぎ感もない中立の状態にあると考えることができます。一方、買われすぎの状態にある株式市場では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大きく上回るようになり、騰落レシオも100%を超えて上昇していきます。逆に、売られすぎの状態にある株式市場では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を大きく上回るようになり、騰落レシオは100%を下回る水準に下降していきます。

  • >>492

     具体的な目安としては、騰落レシオが中立の状態である100%を上回り、120%を超えてくると過熱気味だと考えます。反対に70%以下まで低下してくると、売られすぎで底値が近づいているとみます。

     騰落レシオに用いる期間ですが、移動平均線と同様に短期的な過熱の状況をみる場合には、短い日数、たとえば5日間が使われます。また、少し長めに過熱の状況をみる場合には比較的に長い日数、25日間がよく使われます。スイングトレードを中心に売買している場合は25日間の騰落レシオが合っているでしょうし、短期での売買を中心とするのであれば5日間の騰落レシオを利用するとよいでしょう。下の計算式は25日間の騰落レシオのものですが、ご自身の投資スタイルに合わせて「25日間」を他の数値に置き換えてみるのもよいでしょう。

    ▼騰落レシオ(25日)=25日間の値上がり銘柄数の合計÷25日間の値下がり銘柄数の合計×100(%)

     なお、株価は上昇する時にはたっぷりと時間をかけ、下落する時にはまさに超特急ともいうべき早さで値下がりします。ですから、騰落レシオもどちらかと言えば100%を上回っている日数の方が多くなりがちなのですが、それでも120%を超えるほどの過熱水準は経験則的にあまり表れませんので、シグナルの精度としては十分に有効と言えるでしょう。

     実際に、日経平均株価の終値が4万円を超えていた期間(3月19日~29日)の東証プライム市場の騰落レシオ(25日間)をみると、3月28日を除いて全て120%を超える水準で推移しており、バブル崩壊後の高値を付けた3月22日には130%超の水準に達していました。騰落レシオには明確に天井感が表れていたと言えるでしょう。 その後、日経平均株価はジリジリと下落して4300円を超す下げ幅となりましたが、目先の安値を付けた4月19日でも騰落レシオは値上がり銘柄数と値下がり銘柄数がトントンであることを示す100%の水準にとどまっていました(4月23日の時点でも101%です)。前述した売られすぎを示す「70%以下」にはほど遠い水準にあります。