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ゆく株の流れは絶えずして、しかも、徒然なるままに……息抜きしながら探し物を…。の掲示板

大小問わず、多くの日本企業が直面している「事業承継」問題。背景には、単純な「後継者不足」だけではなく、築き上げてきた会社の文化やパーパスをどう引き継ぐべきかという点も大きなハードルとなっている。

そうした課題に対し、画期的な手法で事業承継を実現した企業がある。

『ティール組織』(フレデリック・ラルー著)、『学習する組織』(ピーター・M・センゲ著)、『イシューからはじめよ』(安宅和人著)、『解像度を上げる』(馬場隆明著)など、ビジネスパーソンの間で絶大な人気を誇るビジネス書を数多く発行する英治出版だ。

同社は2月15日、ゲームアプリなどを手掛けるカヤック(通称・面白法人カヤック)の子会社になることを発表。次いで同29日、英治出版という社名と同社のパーパスの変更に拒否権を持つ種類株式、いわゆる“黄金株”を、英治出版従業員が所有する一般社団法人に付与する形で子会社化することを明らかにした。

具体的には、英治出版の普通株式5800株(発行済み株式の約99.9%)をカヤックに譲渡。残り1株(同約0.1%)を社名・パーパス変更に拒否権を持つ種類株式に転換し、英治出版従業員で構成・運営する新設の「一般社団法人英治出版をつなぐ会」が保有する。

パーパス重視の事業承継・M&Aに関しては、2022年にパタゴニアが実施した手法が世界的な脚光を浴びた。また、社会的インパクトに着目したレスポンシブル・イグジット*の事例も出始めている。今回の事業承継も、パーパス重視の新たな手法として注目される。

*レスポンシブル・イグジット:インパクト投資家のExit目標において、自身の経済的リターンに加えて投資先のビジネスモデルの価値を理解し、持続的な社会インパクトを生み出すというビジョンを共有する人々に対して、保有株式を売却すること。 

☆彡 パーパス(Purpose)とは、一言でいうと企業の存在意義を指します。「目的」「目標」「意図」などと訳される英単語ですが、ビジネスシーンでは近年、企業の社会的な存在価値や社会的意義を意味する言葉として使われています。