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例えば、駿州田中の小山宇八郎は、どんな不意打ちにも必ず対応するので、主君本多正供は、「いつかは自分が宇八郎に不意打ちを行なってみよう」と思っていたようです。そして初夏になって城の庭の泉水の畔で杜若(かきつばた)が咲いて花見の宴が行なわれた折、宇八郎の横を通る時に突然宇八郎を水中に突き落としました。

宇八郎が池に落ちたので、それまでどのような不意打ちにも対応してきた宇八郎が初めて対応出来ず、不意打ちをくらったと思った正供は得意になって「いかに」と叫ぶと、宇八郎は「恐れ入りました。さりながらお袴の裾を御覧ください」と返答します。それで「えっ」と思った正供が袴の裾を見ると、何とそこに小柄が刺さっていて、袴は小柄で芝生に縫い付けたようにされていたのです。

これは、つまり「殿は私をいきなり池に突き落とそうとされましたが、私が避ければ、殿が池に落ちられます。これは、家臣としては忍び難く、ここは私が落ちますが、避ける余裕はあったのですよ」という事を示しておいたというわけで、正供はもちろん唸ったでしょうし、その場に居た者達も「今に始めぬ小山殿の早技、きょうはまた一入驚き候」と感嘆したとの事です。