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 信越化学工業はスマートフォン(スマホ)や電気自動車(EV)に搭載するリチウムイオン電池の新材料を開発した。電池で蓄えられる電気の量を最大10倍に増やせるため、スマホの使用時間を延ばしたり、電池を小型にしたりできる。3~4年後に量産し、国内外の電池大手に供給する方針だ。次世代電池材料の開発では日本の素材企業が先行している。信越化学の参入でより多くの電気をためる技術の開発が加速しそうだ。

 信越化学が開発したのは電池内で電気を蓄えるために必要なシート状の材料。現在は炭素系材料が使われているが、同社は半導体ウエハーで培った加工技術を活用しシリコンで代替する。シリコンは炭素系に比べて価格は大幅に高いが、電気を10倍程度蓄える特性がある。スマホに搭載すれば長時間使え、頻繁な充電の煩わしさの解消につながる。

 信越化学は試作品を開発し国内外の電池メーカーに出荷を始めた。2014年までに群馬県安中市に電池材料の実験施設をつくる。隣接するコンタクトレンズ材料の工場と合わせて投資額は約100億円。使用時の材料の変形による劣化や生産コストなど、量産に向けた課題を電池メーカーなどと協力して克服する。

 民間調査会社の富士経済(東京・中央)によるとリチウムイオン電池の世界市場は17年に12年比5割増の1兆7千億円に拡大する見通し。韓国のサムスンSDIやパナソニックが強い。

 こうした電池に使われる材料では日本の素材メーカーが世界で5割近いシェアを持つ。日立化成は合金を使って電池容量を増やす技術を開発している。容量だけでなく、発火などのリスクを抑える技術でも日本勢は優位を保つ。住友大阪セメントなども新技術の開発を進めている。

 ただ中国や韓国勢も技術力を高め攻勢をかけている。成長市場で主導権を握るには、信越化学のような新素材の開発が欠かせない。スマホ開発を競う情報機器メーカーなどと素材大手が連携し、グローバルな開発競争を繰り広げることになりそうだ。

 スマホは世界で年間7億台出荷され、パソコン代わりに業務などで使う利用者も増えている。そのため容量の大きい電池の開発ニーズは高い。