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(株)ジーデップ・アドバンス

決算発表予定日:2026/10/14

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(株)ジーデップ・アドバンスの決算情報

(株)ジーデップ・アドバンスのアナリストレポート

公開日:
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重要ポイント

  • NVIDIA最上位パートナー。AI開発向けに最先端テクノロジーを組み合わせたソリューションを提供
  • 2026年5月期:高付加価値ソリューション展開が奏功し、過去最高の営業益(前期比33%増)を達成
  • 2027年5月期:前期比27.2%増収予想。大型案件とアップセルで成長ペース加速
  • 成長戦略:プライベートAIやフィジカルAI向けの環境整備が進捗。中期経営計画の利益目標を前倒し達成。早い時期での売上高100億円を目指す

要約

NVIDIA最上位パートナー。

プライベート/フィジカルAI需要を追い風に27年5月期は27%増収予想

ジーデップ・アドバンス<5885>は、「Advance with you 世界を前進させよう」をミッションに掲げ、主にAIを対象としたシステムインキュベーション事業を行う企業である。同事業は、主にAIやビジュアライゼーション、ビッグデータを取り扱う研究者や開発者のシステム環境上の課題に対して、最先端テクノロジーを用いたサーバー機や同社オリジナルソリューションなどを提供することにより、今までとは違ったアプローチで研究や開発のスピードアップを支援するサービスである。代表取締役CEOの飯野匡道(いいのただみち)氏が、2007年に米国ネバダ州で開催されたSupercomputing ConferenceでNVIDIA Corporation<NVDA>の製品を知り、小さなカードがパラレルコンピューティングの概念を大きく変える可能性を体感したことがNVIDIAとの取引の契機となり、その後の成長の起点となった。2023年6月に東京証券取引所(以下、東証)スタンダード市場に上場した。

1. 業績動向

2026年5月期の業績は、売上高が前期比4.8%増の6,949百万円、営業利益が同33.0%増の1,117百万円と、増収とともに大幅な増益となった。売上高は、上半期に自動車業界などでトランプ関税の影響による投資遅れが発生したが、リカバリー策として取り組んだ中小型案件の獲得が加速したことにより増収で着地した。同社が得意とするPoCからミドルレイヤー向けの高付加価値ソリューション(中小型案件)に注力したことで、売上総利益は同29.8%増、売上総利益率が同4.8ポイント上昇の25.0%となった。販管費は、人件費増(3名増)や経費増などの成長投資により、同24.2%増、販管費率で1.4ポイント上昇の8.9%となった。結果として、セールスミックスの変化(中小型案件シフト)による売上総利益率の大幅な改善の影響が大きく、販管費増を吸収し、営業利益は30%以上の増益を達成した。財務状況は、ROEで24.7%、自己資本比率で60.9%といずれも高い水準にあり、高い経営効率とともに無借金経営で安全性の高い財務体質を維持している。

2. 今後の見通し

2027年5月期の業績については、売上高で前期比27.2%増の8,840百万円、営業利益で同13.6%増の1,268百万円と、大型案件の増加などを織り込んだ大幅な増収と着実な増益を予想する。売上高は、第3四半期に納期を迎える大型案件に加え、既存取引先でのアップセルを遂行することで大幅増収を見込む。期初の受注残高は2,230百万円(通期売上高予想の25.2%)と前期を上回るのも好材料である。なお、大型案件が近年増加するに伴い、四半期ごとの売上の変動が大きくなっており、同社の業績を評価するうえでは、短期(四半期)の評価は注意が必要である。営業利益は、増収による売上総利益の増加により、堅調に成長する見通しである。大型案件の売上構成が上昇するため、営業利益率は同1.7ポイント低下するものの14.4%を確保できる見通しである。足元では、国内市場におけるAI向けの設備投資の需要が旺盛ななかで受注残が増加しており、IT部材・コンポーネントの供給不安への対策(在庫積み増し等)やオンプレミス需要増への対策も先手を打って行っており、業績予想の達成に向けた事業環境は整っていると、弊社では見ている。

3. 成長戦略・トピックス

同社は2025年に、NVIDIAが定めた厳格な認定基準を満たすトレーニングを経て、「NVIDIA AI Factory Specialization」認定を取得した。近年の“AIの産業化”(AIを工場のように連続生産・運用する思想)にあわせて展開されている認定で、GPUサーバーだけでなく、超高速ネットワーク、各種ストレージ、オーケストレーション、ソフトウェアまでを統合し、本番環境として安定稼働させられる総合力が評価される。グローバルでも取得した企業が限られる非常に難易度の高い認定であり、現在日本では3社のみである。同社では、専任エンジニア及びソリューションアーキテクトを結集した「AI Factory チーム」を発足し、大規模なプライベートAIを効率よく開発・利用するための総合ソリューションの提供を加速する考えだ。

バリュエーション

レーティング:Buy 目標株価5,022円で70%の上値余地

AIを対象としたシステムインキュベーション事業を行う企業。2029年5月期までの純利益CAGR(27年3月期のフィスコ予想と比較)を+25%と予想し、今後1年程度の目標株価5,022円とした。

ジーデップ・アドバンス業績推移バリュエーション

■業績概況/中期経営計画の進捗状況

2027年5月期が中計の最終年度だが、企業の投資環境が不透明な中で上振れ推移。今期以降は利益率のさらなる向上で営業利益の成長率を加速させる。ソフトバンク「AIデータセンターGPUサーバー」の販売パートナー契約はその契機になり得る。

・直近決算 概要

2026年5月期決算は、売上高が前期比4.8%増の6,949百万円、営業利益が同33.0%増の1,117百万円となり、いずれも過去最高の業績となった。ミドルレイヤー高付加価値案件で利益率が向上。

・直近決算 当社アナリストのコメント

期初においてトランプ関税を意識した注文控え等が発生したため大型案件が停滞、そこからの挽回を果たした点にマーケットニーズの高さを感じる。今期予想も保守的である可能性はある。

・中計 概要

2027年5月期を最終年度とする中期経営計画は、売上高で8,415百万円→8,840百万円、営業利益で1,055百万円→1,268百万円に上方修正された。今期以降は営業利益の高い成長、利益率向上を目指すとされている。

・中計 当社アナリストのコメント

好調なマーケット需要を追い風に、業績拡大が続くことになろう。ソフトバンク「AIデータセンターGPUサーバー」の販売パートナー契約によって、新たな収益源(クラウド再販マージン、周辺の構築・運用支援サービス)を作る動きとなり、大型開発という収益貢献はもちろん、リカーリングの積み増しとして中長期的に効いてこよう。

■投資のポイント

・強み/競争力の源泉

東京工科大学の大規模AIシステムをてがけ、世界スーパーコンピュータランキングにランクインさせ、同社GPUクラスター構築技術が世界基準の性能と品質であること。

・株価のアップサイド要因/変化の兆し

ソフトバンク「AIデータセンターGPUサーバー」の販売パートナー契約による案件の大型化、リカーリング化による成長率、収益力のさらなる向上。

・株主還元

配当利回りは1%台と高くないが、前期の1株当たり配当金は期初計画29円から44円へ増額。今期はさらに+4円増配。利益成長、配当性向10%にさらなる増配余地あり。

ジーデップ・アドバンス業績推移

会社概要

NVIDIA最上位パートナー。AI開発向けに最先端テクノロジーを組み合わせたソリューションを提供

1. 会社概要

同社は、「Advance with you 世界を前進させよう」をミッションに掲げ、主にAIを対象としたシステムインキュベーション事業を行う企業である。同事業は、主にAIやビジュアライゼーション、ビッグデータを取り扱う研究者や開発者のシステム環境上の課題に対して、最先端テクノロジーを用いたサーバー機や同社オリジナルソリューションなどを提供することにより、今までとは違ったアプローチで研究や開発のスピードアップを支援するサービスである。代表取締役CEOの飯野匡道氏が、2007年に米国ネバダ州で開催されたSupercomputing ConferenceでNVIDIAの製品を知り、小さなカードがパラレルコンピューティングの概念を大きく変える可能性を体感したことがNVIDIAとの取引の契機となり、その後の成長の起点となった。現在でもNVIDIAとは良好な関係を構築しておりNVIDIA最上位パートナーとなっている。2023年6月に東証スタンダード市場に上場した。

2. 沿革

同社の前身は、1978年に電子部品の商社として設立されたトーワ電機(株)である。当初から大学や研究機関との取引を得意としており、取り扱う商品・サービスが変わった現在でもその営業基盤は生かされている。最初の転機が訪れたのは2007年であり、前述の米国でのカンファレンスで飯野氏がNVIDIAと出会い、その年にNVIDIA製品の取り扱いを開始した。ゲーム用チップとして活用されてきたGPUが、ハイパフォーマンス・コンピューティング(並列処理が可能な強力なプロセッサなどを使用して、ビッグデータを高速に処理する技術)に活用され始めたタイミングであった。

次のターニングポイントは2015年で、GPU技術やディープラーニングの進化によりAIの用途開発が盛んになった時期である。同社では、独自のAIワークステーション「DeepLearning BOX」を開発・発売し、AIソリューションを確立した。それまで、流体解析やビジュアライゼーションが中心であり、大学や研究機関を主要な顧客としてきたが、AI時代に入り、自動車業界や精密機械業界などの事業会社を開拓することに成功した時期である。2018年以降、大規模AI・クラウド化の時代に入り、同社はNVIDIA DGX(主に大規模なAI学習を行うためのアプライアンスサーバー)の取り扱いを2018年に開始し、大規模化・クラウド化のニーズにいち早く対応している。2024年4月には、モビリティ業界のAI投資を支援するために、豊田通商<8015>グループの(株)ネクスティ エレクトロニクスと「GPU Advanced Test Drive」(GAT)の提供を開始した。2026年1月には、同社設立10周年を迎えた。

ジーデップ・アドバンス業績推移バリュエーション

3. 事業内容

同社の事業は「システムインキュベーション事業」の単一セグメントだが「DXサービス」及び「Service & Support」の2つのサービスを提供している。

1) 「DXサービス」

主力の「DXサービス」は、「AI・ビジュアライズソリューションサービス」「その他DXソリューションサービス」「サブスクリプションサービス」の3つのサービスに分かれる。「AI・ビジュアライズソリューションサービス」のうち、AIソリューションサービスは、AIサービスを開発・運用する顧客を対象として、ディープラーニングを用いたAIの開発・運用に適した仕様のハードウェア、ソフトウェア、ツールを組み合わせたターンキーシステムを開発・組立・販売する。モデルとしては、「DeepLearning BOX」(同社オリジナル製品)やDGXシリーズ(NVIDIA製品)などが主力である。ビジュアライズソリューションサービスは、映像や画像のコンピュータ処理を行う顧客を対象として、CADやCAE、コンピュータグラフィックスの制作やデジタルサイネージで利用するグラフィックワークステーションの組立・販売などを行う。モデルとしては、GWSシリーズ(同社オリジナル製品)や「Omniverse」(NVIDIA製品)などが主力である。「その他DXソリューションサービス」は、データを大量に保管しておくための高速大容量ストレージの組立・販売や、高速にデータを送受信するための広帯域ネットワーク機器の販売・設定、ハードウェアの利便性を高めるためのソフトウェアの販売・設定、及びそれらを組み合わせたシステムの設計や構築を行う。「サブスクリプションサービス」では、同社の開発したソリューションをレンタルやクラウドで提供する。同社のクラウドサービスの特徴は仮想化しないベアメタルクラウドという点であり、物理環境の性能劣化がなく、セキュリティ面でも大きなメリットがある。「DXサービス」の構成比は、91.6%(2026年5月期)である。

2) 「Service & Support」

「Service & Support」は、同社が提供するソリューション(ハードウェア、ソフトウェア、構築ノウハウ)を、ハードウェアの保守のほか継続的な開発環境のアップデートにより、常に最新で安定したシステムとするオプショナル運用支援サービスを提供する。「Service & Support」の構成比は、8.4%(同)である。

同社のサービスをビジネスモデルで分類すると、フロービジネスとストックビジネスに分かれる。「DXサービス」の多くはフロービジネスだが、サブスクリプションサービスはストックビジネスである。「Service & Support」はストックビジネスに分類できる。現状はストックビジネスの比率が低いが、中長期的に向上させる方針である。

ジーデップ・アドバンスサービス内容

事業概要

グローバルプロセッサメーカーが認める技術力、企画力・製品調達力が強みの源泉。案件規模の大規模化が進行

1. 市場動向、ベンチマーク

AI(生成AIを含む)の国内市場は2024年に1兆4,735億円で、2028年までに2兆7,780億円に成長すると予測されており、年平均成長率は17.2%である((株)富士キメラ総研「2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査」より)。このうち生成AI市場は、2028年にはAI市場全体の6割程度を占める見込みである。特定分野のみに利用されていたAIは、既にエージェントAIやフィジカルAI(ロボット等)に活用され始めており、今後急激に領域を拡大する見込みである。

ジーデップ・アドバンスAIの進化と市場の拡大

同社の提供するソリューションの多くはAI用途である。AIモデルを構築する先進的な企業・団体では、独自の生成AIモデル構築のための大規模な実証実験や本番運用に向けた投資が加速している。また、AIの限定的な利用にとどまっていた企業・団体においても、簡易なモデルの作成や生成AIの組み込みアプリケーションの導入が加速しており、AIシステムの需要がさらに高まることが見込まれる。

AI向けシステムの性能を決定付けるコア技術はGPUであり、世界市場の8〜9割のシェアを占めるのが米国NVIDIAである。NVIDIAでは製品・技術のロードマップを公開しており、GPUに関しては、Vera Rubin(2026年後半)、Rubin Ultra(2027年)、Feynman(2028年〜)と毎年新製品を投入する計画である。技術の継続的な進化と用途の開発によりAI市場が活性化することが見込まれる。

企業業績においては、AIサービス会社がマネタイズに時間がかかるケースが多い一方で、AI関連のキーテクノロジー(半導体・ハードウェア・インフラ関連)を持つ企業は、顧客の初期投資を直接取り込み、成長を加速している。

2024年から2028年の5年間で、AI向けGPUサーバー市場は2.7倍の2,600億円へ、AI向けGPUクラウド市場は3.2倍の2,403億円へ、それぞれ拡大することが予測されている(富士キメラ総研「2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査」より)。

ジーデップ・アドバンスAI向けGPUサーバー/GPUクラウド予測

国内上場企業には、厳密な意味での類似企業は存在しないものの、AI開発の先進ユーザー向けハード、ソフト、ソリューションを提供する類似企業としては、VRAIN Solution<135A>、コアコンセプト・テクノロジー<4371>、HPCシステムズ<6597>、理経<8226>などがある。特にVRAIN Solutionは増収率及びROEが高く、PER(株価収益率)は40.27倍で評価されている(同社の約2倍の水準)。

そのほか、同社の主要顧客がAI関連企業ということを鑑みれば、AI企業と同様に規模拡大が進むことが想定でき、同関連企業との比較も十分に考え得る。実際、増収率は遜色ない。PKSHA Technology<3993>、Appier Group<4180>、HEROZ<4382>、エクサウィザーズ<4259>、Ridge-i<5572>、ABEJA<5574>、モルフォ<3653>などが挙げられるが、特に利益規模の近い(営業利益10億円台)エクサウィザーズはPER30.94倍であり、同社のPER20.7倍は相対的に低い水準にとどまっている(株価指標はいずれも2026年7月時点)。

ジーデップ・アドバンス類似企業

2. 顧客構成

同社の顧客は、従来は大学や研究機関の構成比が高かった。これは、祖業である電子部品商社時代から大学や研究機関向けの取引が主体だったことが一因である。近年では、AIが様々なシーンで活用される時代を迎え、事業会社の比率が高まる傾向にある。自動車産業やその他の製造業(建設会社、化学メーカー等を含む)、AI関連のスタートアップ、創薬などでAIを活用する医療業界、情報通信業界、メディア&エンターテインメント業界(M&E)など多様な業界の企業・団体が同社の顧客となっている。直近の2026年5月期では、前期のクラウドベンダー向けの大型案件の影響がなくなり、大学関連が大型案件の影響もあり構成比で40.7%(前期は29.6%)と伸長した。また、「製造業(自動車以外)」が21.2%(同10.8%)と伸びているが、化学メーカーなど様々な事業会社でAI活用が本格化し始めたことに起因する。“使う”側の事業会社がAI投資の主役となってきている市場トレンドとも合致している。

ジーデップ・アドバンス顧客構成

3. リピート率の高さ

同社の取引はリピート率が高い点が特徴である。2026年5月期のリピート率(過去3期に取引のあった顧客からの比率)は89.8%となった。これは、同社が業種特化型で専門性の高いサービスを展開していることが一因である。また顧客ニーズの実現をPoC(Proof of Concept:新しいアイデアや技術・手法の実現可能性を検証)から実運用まで支援できることも、取引が継続する要因と考えられる。

ジーデップ・アドバンスリピート率

4. 同社の強み

同社は、グローバルプロセッサメーカー3社から認定された高い技術力と、グローバルITベンダーとの連携から生まれる企画力・製品調達力を源泉に、高い競争優位性を築いている。強み・特徴としては、1) 最新テクノロジーと独自のギミックを組み合わせた最適解の提案、2) ソリューション提供形態の多様性、3) Service & Supportによる顧客継続性、4) スモールマス展開を見据えた案件対応、5) 他社との差別化を実現する独自のポジショニング、がある。

同社は、グローバルプロセッサメーカー3社(NVIDIA、Intel Corporation<INTC>、Advanced Micro Devices<AMD>)から11タイプの認定を取得しており、高い技術力が対外的に認められている。特にNVIDIAとは2007年から良好な関係を構築しており、GPU創生期からNVIDIAのElite Partnerとして認められてきたことや、9年連続で「NVIDIA Partner Network Award」を受賞していることなどからも両社の継続的な信頼関係の深さが垣間見える。認定の一例として、中小規模のAIシステム向けの「NVIDIA Solution Provider NVIDIA AI」、大規模クラウドAI向けの「NVIDIA Solution Provider DGX Cloud」などがあり、同社のシームレスな対応力が認められている。

成長するAI市場に着目し、参入する同業他社は数多い。NVIDIAの国内パートナーだけでも約80社が名を連ねる。ソフトウェアベンダー、SaaS、SIer、CIer(クラウドインテグレータ)など周辺業界からの参入もある。そのなかで同社は、最先端のハードウェア及びそのインテグレートに強い知見を有し、柔軟性のあるオーダーメイドのソリューションを提供できるプロバイダーとして独自のポジショニングを確立している。

5. インダストリー取り組み例:モビリティ業界向けにNVIDIAテクノロジーのトライアル環境を提供

豊田通商グループのエレクトロニクス商社であるネクスティ エレクトロニクスと同社は、日本のモビリティ業界でNVIDIAアクセラレーテッドコンピューティングを活用したAI開発をさらに加速させるため、生成AIを含むプロダクショングレードのAIアプリケーションの開発・展開をユーザーが試せるPoC環境提供サービス「GPU Advanced Test Drive」(GAT)を、2024年4月より開始した。

GATではNVIDIAハードウェアだけでなく、NVIDIA AI Enterpriseをはじめとする、NVIDIAのGPUにオーソライズされたソフトウェアスタックの検証環境も揃える。ユーザーは、仮想環境を用いないベアメタル物理サーバーや高セキュア回線のデータセンターなどGATの最新AI開発検証環境を利用することで、投資判断を迅速かつ安心して行うことができる。

ソフトウェア・ディファインド・ビークル(価値や性能・進化がソフトウェアによって定義された自動車)時代の到来により、モビリティ業界ではソフトウェア主導の開発価値や重要性が急激に高まっている。LLMを活用したAIなどは、自動運転や車室内エンターテインメント、バッテリーマネジメントなど、サービス面で使用されることに加え、自動車をはじめとしたモビリティ製品の開発や製造工程における活用も急増している。こうした状況のもと同サービスは開設以来、予約が途切れず需要の大きさがうかがえる。

6. 大規模AI開発向けの充実した環境を提供(例):「G-Suite」

2025年2月には、LLMなどの大規模AI開発向けアプリケーションリソースマネジメントツール「G-Suite」をリリースした。G-Suiteは同社製品にインストールされるソフトウェアで、インターネット上のWebサイトから様々なレシピやサポートツール群をダウンロードし、簡易解説書やチュートリアルを含むアプリケーション実行環境を構築することが可能である。最適化されたフレームワークが実装されているためユーザーが面倒な構築作業を行うことなく届いたその日からAIの研究開発を開始できる。

業績動向

高付加価値ソリューション展開が奏功し、過去最高の営業益(前期比33%増)を達成

1. 2026年5月期の業績概要

2026年5月期の業績は、売上高が前期比4.8%増の6,949百万円、営業利益が同33.0%増の1,117百万円、経常利益が同47.1%増の1,170百万円、当期純利益が同46.5%増の786百万円となり、増収とともに各利益で大幅な増益を達成した。

ジーデップ・アドバンス2026年5月期業績

市場環境は、特に生成AIの実用化及び業務への活用が進展していることを背景に、高性能GPUサーバーやこれらを中核とするAIインフラ構築への需要が旺盛である。また、ロボティクスや自律制御等の分野において活用が期待されるフィジカルAIに関連した研究開発や実証環境整備に向けた需要も発生した。

売上高は、上半期に自動車業界などでトランプ関税の影響による投資遅れが発生したが、リカバリー策として取り組んだ中小型案件の獲得が加速したことにより増収で着地した。同社が得意とするPoCからミドルレイヤー向け高付加価値ソリューション(中小型案件)の販売に注力したことで、売上総利益は前期比29.8%増、売上総利益率が同4.8ポイント上昇の25.0%となった。販管費は、人件費増(同3名増)や経費増などの成長投資により、同24.2%増、販管費率で1.4ポイント上昇の8.9%となった。結果として、セールスミックスの変化(中小型案件シフト)による売上総利益率の大幅な改善の影響が大きく、販管費増を吸収し、営業利益は30%以上の増益を達成した。

ROE24.7%と高い経営効率、高い安全性(無借金経営)が特長

2. 財務状況と経営指標

2026年5月期末の資産合計は5,793百万円(前期末比1,184百万円増)となった。流動資産は同1,219百万円増の5,610百万円となり、これは商品の1,064百万円増加や前渡金の1,597百万円増加が主な要因である。世界的なIT部材不足による機会損失を軽減するために、戦略的に商品在庫を強化した経緯がある。固定資産は同34百万円減の183百万円と、大きな変化はなかった。

負債合計は前期末比501百万円増の2,257百万円となった。これは仕入強化に伴う買掛金の195百万円増加や前受金及び長期前受金の218百万円増加などが要因である。純資産合計は、同683百万円増の3,535百万円となった。剰余金の配当を行ったものの、当期純利益の計上による利益剰余金の増加が主な要因である。有利子負債はゼロである。

安全性に関する経営指標については、流動比率が393.5%(2026年5月期末)、自己資本比率が60.9%(同)となっており、財務の安全性は極めて高い。ROEは24.7%(2026年5月期)、ROAは22.5%(同)と収益性・効率性も高い。

ジーデップ・アドバンス貸借対照表、経営指標

3. 2027年5月期の見通し

2027年5月期の業績については、売上高で前期比27.2%増の8,840百万円、営業利益で同13.6%増の1,268百万円、経常利益で同8.4%増の1,268百万円、当期純利益で同5.4%増の829百万円と、大型案件の増加などを織り込んだ大幅な増収と着実な増益を予想する。

ジーデップ・アドバンス2027年5月期業績予想

外部環境においては、IT部材・コンポーネントの全面的な高騰と供給制約や中東情勢の影響による国内企業の業績悪化などのマイナス面が懸念されるものの、政府の令和8年度AI関連予算は史上最高となる7,000億円超え(補正予算含む)が予想され、AI市場に追い風は吹いている。また、フィジカルAIや推論AIなどオンプレミス環境が求められる機会が増加するトレンドであり、体制整備を行ってきた同社にとっては有利となる。

売上高は、第3四半期に納期を迎える大型案件に加え、既存取引先でのアップセルを遂行することで大幅増収を見込む。期初の受注残高は2,230百万円(通期売上高予想の25.2%)と前期を上回るのも好材料である。なお、大型案件が近年増加するのに伴い、四半期ごとの売上の変動が大きくなっており、同社の業績を評価するうえで短期(四半期)の評価は注意が必要である。

営業利益は、増収による売上総利益の増加により、堅調に成長する見通しである。大型案件の売上構成が上昇するため、営業利益率は前期比で1.7ポイント低下するものの14.4%を確保できる見通しである。

足元では、国内市場におけるAI向け設備投資の需要が旺盛ななかで受注残が増加しており、IT部材・コンポーネントの供給不安への対策(在庫積み増し等)やオンプレミス需要増への対策も先手を打っており、業績予想の達成に向けた事業環境は整っていると、弊社では見ている。

成長戦略・トピックス

プライベートAIやフィジカルAI向けの環境整備が進捗。中期経営計画の利益目標を前倒し達成。早い時期での売上高100億円を目指す

1. 中期経営

同社は2025年5月期から2027年5月期までの中期経営計画を推進している。2年目の2026年5月期に最終年度の利益目標を前倒しで達成したため、さらに上の数値目標を目指す。最終年度の売上高は8,840百万円、営業利益は1,268百万円である。最初の2期は、ヒト・設備への投資期間と位置付け、先行投資を重視してきた。最終年度は、投資回収フェーズと位置付け、投資の成果により成長を加速する考えだ。中期経営計画終了後は、営業利益の高い成長率を維持するとともに、営業利益率も高め、できるだけ早い時期に売上高100億円を達成する考えだ。

ジーデップ・アドバンス中期経営計画

2. 中期経営計画 成長戦略の進捗

成長戦略として、3つの重点施策を推進しており、順調に進捗している。

1) 上位レイヤービジネスへの移行

生成AIやマルチモーダルAI(映像や音声など異なる種類の情報をまとめて扱うAI)の研究用途としての案件規模は拡大している。同社では、デスクサイドのAIワークステーションから大規模なGPUクラウドまで、商品・サービスのポートフォリオを上位レイヤーへ拡充し、大規模AIのユーザーニーズにタイムリーに対応することで確実なアップセルを促進する。また、国内4ヶ所のデータセンターと連携し、高負荷な最新のGPUシステムを安定稼働させるためのファシリティを提供するとともに、AIを効率良く学習するためのソフトウェアツールも用意し、効率の良いAI学習を総合的に支援する取り組みを強化する。

【「NVIDIA AI Factory Specialization」 認定を取得(日本で3社のみ)】

同社は2025年に、NVIDIAが定めた厳格な認定基準を満たすトレーニングを経て、「NVIDIA AI Factory Specialization」認定を取得した。近年の“AIの産業化”(AIを工場のように連続生産・運用する思想)にあわせて展開されている認定で、GPUサーバーだけでなく、超高速ネットワーク、各種ストレージ、オーケストレーション、ソフトウェアまでを統合し、本番環境として安定稼働させられる総合力が評価される。グローバルでも取得した企業が限られる非常に難易度の高い認定であり、現在日本では3社のみである。同社では、専任エンジニア及びソリューションアーキテクトを結集した「AI Factory チーム」を発足し、大規模なプライベートAIを効率よく開発・利用するための総合ソリューションの提供を加速する考えだ。

2) 大規模AI時代に合わせたエコシステムの増強

国内では、クラウドベンダーやデータセンターと提携しオンプレミスとクラウドのハイブリッド利用を促進する。また、AIスタートアップとのコラボソリューションもラインナップする。「エキスパートサービス」では、プログラム高度化支援、モビリティ向け開発支援、ゲノム解析支援など多数のメニューを揃える。「GPUマルチクラウド」では、GPUテストドライブでトライアル環境から大規模オンデマンド利用環境までを整える。モビリティ向けのPoCセンターであるGATではテスト環境を提供しており、良質の案件開拓が可能となっている。グローバルでは、従来のグローバルパートナーに加えて、NVIDIAと関係が深いOEMベンダー、ストレージベンダー、ソフトウェアベンダーとのパートナーネットワークをさらに強化し、製品調達力の向上とオリジナリティのある大規模システムの構築を目指す。

【プライベートAIの鍵となるストレージベンダーとの連携強化】

生成AIの本格的な業務活用フェーズへの移行に伴い、国内事業者は国内完結型の高性能AIインフラを求める傾向にある。データ主権に基づくAIシステム(AIの学習データ・推論データ・作成されたモデルや知財を、他国や外部ベンダーの干渉を受けず、自国や自社内の統制下に置いて運用するAIシステムのこと)の設計・提供には、ストレージベンダーとの連携強化がカギとなる。同社では、DataDirect Networks(DDN)(超大規模AI学習向けストレージの世界最大手)、NetApp(企業向けAI基盤向けストレージの大手)、Seagate Technology、Qumuloなどと連携し、製品調達を行ってきた。2026年6月には、DDNから優れた案件開発力と的確な製品・ソリューション提案を高く評価され、DDN Partner Summitにおいて「Growth Excellence Award」を受賞した。

3) 事業ドメインの拡大

親和性の高い事業ドメインへの新規参入やM&Aを通して成長を加速し、先進的なソリューションを提供する「アドバンスドソリューションベンダー」を目指す。手元の既存リソースはPoC用途に使用するほか、最新機器はデータセンターでプライベートクラウドとして利用し、大規模計算時にはパブリックの大規模システムへバーストするという顧客の各ステージに寄り添う体制を整備するのが基本戦略である。これにより相乗効果が見込める「Software Vendor(AI Startup)」「Cloud Vendor」「SaaS」「Consumer/Prosumer」などの領域で大きな事業機会が期待できる。

3. “フィジカルAI元年”における体制整備が進む

2026年1月に開催された「CES 2026」で、NVIDIAのジェンスン・ファンCEOは「ロボティクス(フィジカルAI)におけるChatGPTの瞬間(ブレイクスルー)が到来した」と明確に宣言した。これまで、主に画面の中(画面上のテキスト作成や画像生成など)で機能していた(生成)AIが、ロボットや自動運転車、ドローンといった「物理的な身体(ハードウェア)」を獲得し、現実世界で動き始めており、フィジカルAI時代に入りつつある。AIチップ(エッジAI)、基盤モデル、シミュレータ環境、ストレージ、センサー群等が一体となったプラットフォームが完成し、一気にビジネスとして成立する環境が整ったのが直近の業界動向である。フィジカルAIにおいては、「エッジでの低遅延処理」「データ主権・セキュリティ」「物理事故を防ぐ安全設計」などがより重要になり、これらの分野での専門性とパートナーネットワークを持つ同社の強みが発揮されることになろう。実際に、同社の既存案件においてもフィジカルAI関連が見られるようになったという。

2025年7月に、同社はマクニカホールディングス<3132>子会社の(株)マクニカ(本社:神奈川県横浜市)と、両社共同企画のAIロボット開発支援パッケージ「ROBODEV(ロボデブ)」の提供を開始しており、フィジカルAI開発におけるサポート体制に早くから取り組んできた。顧客は、高性能で動作検証済みのGPUワークステーションや、AIロボット開発に必要な環境構築をセミオートで行えるROBODEVインストーラー、フィジカルAI開発向けのNVIDIAプラットフォームを簡単にセットアップできるため、ロボティクス分野でのAI開発を加速し、市場投入までの時間を短縮することができる。

4. GPU動向:次世代GPU「Vera Rubin」は2026年後半ローンチ

NVIDIAのGPUアーキテクチャは「NVIDIA Blackwell」(2024年ローンチ)及び「Blackwell Ultra」(2025年後半ローンチ)が現在の中心である。主力GPUサーバー製品でいえば、「NVIDIA DGX B200」及び「NVIDIA DGX B300」などが主力モデルとなる。2026年後半には、次世代AIデータセンター向けの新型GPU「Vera Rubin」の供給が開始される。推論性能が約5倍などの性能向上とともに、発熱量と密度の増加に伴い、従来の空冷から全面液冷への移行が不可欠となる。データセンターとデータインフラの統合設計が必要となるため、同社の専門性・差別性がより発揮されることになるだろう。

株主還元策

利益成長と配当性向の上昇により、高い増配ペースが期待できる。

2026年5月期の配当金は44.00円(前期比21.00円増)、同社は成長に応じた株主への安定的な利益還元を経営上の最重要課題の1つと位置付けており、業績の見通しや必要な設備投資などを総合的に勘案したうえで、毎期配当性向を引き上げる方針である。配当実績としては2022年5月期以降4年連続増配を続けている。2026年5月期は、配当金で年44.00円(前期比21.00円増)、配当性向30.4%(同7.4ポイント上昇)と大幅な増配となった。2027年5月期は、配当金で年48.00円(同4.00円増)、配当性向31.8%(同1.4ポイント上昇)を予想する。継続的な利益成長とともに、毎期の配当性向の上昇が加わるため、高い増配ペースが期待できる。

ジーデップ・アドバンス配当金と配当性向

プロフィール

角田 秀夫
株式会社フィスコ 客員アナリスト

慶應義塾大学大学院出身 消費財、サービス、不動産、IT関連、医療等のセクターの成長企業を担当。コンサルティング業界等の経験を活かし、投資初心者にもわかりやすい企業分析を行っている。

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