グロービング(株)の決算説明会書き起こし
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FY25 3Q連結業績ハイライト
田中耕平氏(以下、田中):みなさま、本日はお忙しいところ、ご参加いただき誠にありがとうございます。グロービング株式会社代表取締役社長の田中です。よろしくお願いします。
それでは、グロービング株式会社2025年5月期第3四半期決算説明を始めます。まずは、2025年5月期第3四半期の業績および通期業績予想をご説明します。
第3四半期の連結業績のハイライトです。第3四半期累計の売上高は59億5,000万円となっています。YoYではプラス113.3パーセントという高い成長を達成しています。
また、第3四半期累計の営業利益は21億1,000万円、営業利益率は35.6パーセントとなっており、こちらも高い水準で推移しています。
連結ベース四半期ごとの売上/営業利益
連結ベース四半期ごとの売上と営業利益についてです。2025年5月期第3四半期は、売上高が20億7,000万円となっています。営業利益は6億8,000万円、営業利益率としては33パーセントとなっています。
売上高は戦略アカウントの順調な拡大なども寄与し、20億7,000万円という水準になっています。第2四半期において、短期M&A案件の増加により売上スパイク2億5,000万円が発生したとお伝えしていますが、その数字を抜くとQoQでも増収となっています。
営業利益率は33パーセントで、上期と比較すると微減となっています。これは来期以降の成長に向けた人材採用の再加速のための採用関連費用が増加の要因ですが、高い営業利益率を維持したかたちで成長を達成できたと思っています。
基本的にはここまでの累計で見ても、第2四半期の売上スパイクを除けば、計画どおりに売上および営業利益率で順調な成長を達成できていると考えています。
KPIハイライト
KPIハイライトです。第3四半期においては、調整後コンサルタント数、コンサルタント平均年収、Joint Initiative売上比率、AI関連売上比率のすべてにおいて順調に推移しています。
調整後コンサルタント数は147名と10名弱増えています。他戦略ファームからの即戦力コンサルタントの採用も計画どおり進んでいます。コンサルタント平均年収は微減となっていますが、基本的には高い水準を維持したところで推移していると思っています。
Joint Initiative売上比率については45%と過去最高の水準となっており、額、比率ともに高いところを達成できました。AI関連売上比率も31パーセントと、AI活用に関するクライアントニーズが堅調に推移してきており、こちらも順調に拡大してきています。
JI型コンサルティングの現状
Joint Initiative型のコンサルティングについてです。第2四半期と比較すると、実額は増えたものの、比率としては少し下がりました。これは前回の決算でもご説明したとおり、短期のM&A案件が売上を押し上げた影響です。
その勢いを担保したまま、第3四半期においても、実額およびJoint Initiative比率ともにしっかりと増やすことができています。
PLサマリー
PLサマリーです。売上に関してはDXやAI活用など新規事業開発の旺盛な需要の後押しを受け、加えて戦略アカウントの拡大も順調に進みました。結果として、YoY成長率113.3パーセントと、高い水準での売上成長を達成できたと思っています。
売上原価においてはコンサルタント数を大幅に増やしつつも、稼働率をしっかり維持できました。
販管費については、2024年5月期に一時的な投資を実施していましたが、2025年5月期はその一時投資分もなく、第3四半期までの累計では販管費をかなり抑えながら推移しています。営業利益率も非常に高い水準を達成できています。
25年5月期 通期連結業績予想の見直し
このような順調な業績を受け、前期比で見ても非常に高い成長を達成していることから、2025年5月期の通期の業績予想の見直しを実施しています。
もともと発表していた予想から、売上高は81億5,000万円と、7.1パーセント増やしています。営業利益も26億円と、19パーセント増やしています。当期純利益は15億円、1株当たり当期純利益も54円72銭と、いずれも7.1パーセントプラスとなっています。
当社のミッション
弊社のビジネスモデルの優位性についてあらためてご説明します。
まず、弊社のミッションです。我々は成長のインフラとして、なくてはならない存在になることを目指しています。そこで、コンサルティング企業に寄りすぎている現在のコンサルティングサービスを、もう一度、クライアント起点で再定義することを目指しています。
特にビジネス価値の創出では勝ちにこだわるサービス提供を通して、クライアントの事業価値をしっかりと高めていくことを目指しています。
当社のミッション
創業の経緯とも重なりますが、コンサルティングサービス自体は元々グレーヘアコンサルタントと呼ばれるような限られた人数のコンサルタントが、限られた企業の経営者に寄り添ってアドバイスを行うサービスでした。
そこから大手コンサルティングファームがフレームワークやメソドロジー化を導入してノウハウの形式知化が大幅に進んだことで、経験が少ない若手のコンサルタントでも対応できるビジネスに進化してきました。それによって、人の頭数で儲けるようなビジネスへと変わってきたところはあると思っています。
しかし、我々の考えでは、ノウハウを形式知化していくような流れの中で、頭数でお金儲けをする今の状況は寄り道なのではないかと思っています。
重要なのは形式知化されたノウハウを人だけでサービス提供するのではなく、「人+AI」など、デジタルと組み合わせて提供していくことで、頭数によるビジネスからの脱却を図っていくことを目指し、我々はグロービングを立ち上げました。
一人当たりの生産性を向上させ、コンサルティング業界に変革を起こす
業界変革の考え方としては、提供するサービスは基軸として変えず、サービスをどのように提供するのか、Howの部分を変えて業界変革を起こしている企業がたくさんあると思っています。
その中で、弊社はコンサルティング業界のノウハウを基軸に置きつつも、コンサルタントに依存せず、AIやデジタルを活用してサービスを提供していきます。他の一般的なコンサルティングファームでは人工(にんく)ビジネスの延長線上になっていることから、我々はAIを活用し、人の頭数によらない高い生産性を実現し、成長を狙っています。
弊社が取り組む社会課題解決
また、そのような取り組みをコンサルティングの中に組み込むだけでなく、弊社が持っているコンサルティングノウハウとAIの活用で、クライアントにもサービスを提供します。
生産性の低下、あるいは労働人口の減少など、日本は課題先進国と言われています。そのような日本企業および日本の社会全体に対してAI活用を推進していくことにより、日本を再び、成長軌道に乗せていくことを目指します。そこからさらに世界的な労働力不足の解決も視野に入れています。
企業概要
弊社の概要です。本格的な事業開始は2021年3月で、今年でちょうど4年目となります。事業領域は大きく、コンサルティングとクラウドプロダクトの2つに分けています。
コンサルティングでは、従来型コンサルティングにより、CxOクラスの伴走者として企業の戦略やDXを支援しています。こちらも、他のコンサルティングファームよりも一歩踏み込んだかたちで提供するコンサルティングスタイルで実施してきています。
それをさらにもう一歩深めたものがJoint Initiative型コンサルティングです。弊社のコンサルタントが事業責任者やプロジェクト責任者としてクライアントの中に入り込み、変革をドライブする取り組みも進めています。
クラウドプロダクトについては、MVP(Minimum Viable Product)を開発して展開を始めています。コンサルティングノウハウを型化したプロダクトを、SaaS型で提供しています。
また、AIとデジタルの徹底的な活用のために、これら3つの事業領域それぞれにAIの専門部隊であるGLB Intelligenceを組成し、弊社の中でもAIを活用しながら動いています。
弊社のコンサルティングモデルのユニークネス
弊社のコンサルティングモデルのユニークネスについてです。
他のコンサルティングファームでは、プロジェクトチームを組成して外部からアドバイスし、実行自体はクライアントに任せてしまうモデルが多くみられます。これはパートナーをトップとしながら、下底も含めた大きなピラミッドを作り、人の頭数ベースで対価を得るようなビジネスモデルです。
対して弊社が採用しているのは、事業経営のプロをクライアントの内部に送り込むJoint Initiative型のコンサルティングモデルです。弊社のメンバーが外部からアドバイスをするだけではなく、実行の部分も含めて入り込み、クライアントと協働していくかたちです。
さらにAIなどのデジタルも活用した省人化されたコンサルティングを提供し、頭数によらないサービスも展開しています。
加えて、クラウドプロダクトにおいては、コンサルティングのノウハウを型化したSaaSのプロダクトがクライアントの経営プロセスに入り込んでいきます。より人の頭数によらない粘着性の高いビジネスモデルです。
Joint Initiative(JI)型コンサルティングモデル
Joint Initiative型コンサルティングモデルについてです。スライドの図がJoint Initiative型コンサルティングモデルのスキームです。
新しい事業を始めたり全社横断の大きなプロジェクトを開始したりする時に、クライアントの中で中核となる経営人材、リーダー層が不足していると、そのような人材がいたとしても既存の事業にかかりきりにならざるを得ません。弊社でも、そのようなコアメンバーになる人材が不足しているとご相談を受けることがありました。
そのような場合、弊社ではプロジェクト責任者として弊社のコアメンバーが出向し、クライアントと共同で変革プロジェクトを推進します。加えて、弊社のコンサルタントがコンサルティング契約でクライアントの中に入り込み、変革をドライブしながら事業価値のアップを早期に図っていくサービスを提供しています。
従来のコンサルティングよりもクライアントの粘着性が上がることから、長期契約での報酬保証や、共同開発したツールのIP確保による横展開などを狙っています。
コンサルティングワークにおけるAIツールの活用
コンサルティングワークにおけるAIツールの活用についてです。弊社の社内チームであるGLB IntelligenceがAIツールの社内開発と活用を担っています。
現在はコンサルタントの業務削減を目的としてAIツールを独自で開発し、その活用を進める中で、議事録作成では61パーセント、リサーチでは36パーセントの削減効果が得られています。
AI関連プロジェクトの成長とX-AI Labo社の立ち上がり
弊社では、クライアントに対してAIの活用やAIの実装をお手伝いするAI関連プロジェクトの比率が上がってきています。
また、2024年5月にはAI先進企業であるLaboro.AI社とともにX-AI Laboというジョイントベンチャーを設立しました。戦略立案からAI実装までの一気通貫での支援や、データのAI活用を中心に据えていくAIトランスフォーメーションの推進を実施しています。
その結果として、AI関連の売上比率も非常に上がってきています。
クラウドプロダクト事業の全体像
クラウドプロダクト事業についてです。将来的には、8つの領域で8つのプロダクトを作っていくことを目指しています。特に現在はMVPとして支出最適化の「スペンドインテリジェンス スイート」と、営業効率化の「セールススイート」についてプロダクトの開発を開始しており、サービス提供も開始しています。
こちらのサービスについては、提供の仕方も含めて次の章で詳細にご説明します。
コンサルティング、SI、クラウド事業(SaaS)のTAM/SAM/SOM
弊社は、コンサルティング市場、SI市場、クラウド市場をすべて含めると、10兆円と非常に大きな規模のTAMに相対していると考えています。今後は海外展開も含めてさらに大きな市場を狙っていけると考えています。
次の成長に向けた強化策
今後の成長戦略についてご説明します。
こちらのスライドは、第2四半期決算時にもお話しした次の成長に向けた強化策です。弊社のユニークネスを強化し、特にAI活用をさらに一歩進めることで、世界中のコンサルタントを代替していくAIエージェントの開発と展開を進めています。
加えて、日本発祥の経営方法論を体系化し、日本の経営の長所を生物学の動的平衡とかけ合わせることで永続的な繁栄を目指す日本型の経営モデルを打ち出した、動的平衡マネジメントの展開も目指しています。
この動的平衡マネジメントと世界中のコンサルタントのAIエージェント化により、40兆円規模と言われている全世界のコンサルティング市場の完全代替も目指していきます。
FY26より創業者である輪島が“第二の創業”としてAI事業をドライブ
現在、経営体制については私と輪島の共同代表制をとっていますが、先ほどの強化策などを成し遂げることも含めて、今回経営体制の変更についても発表しています。
輪島は創業者であり、現在は代表取締役代表パートナーとしてコンサルティング事業を見ていますが、2026年5月期からはAI事業本部長として、今後の成長の核となるクラウドエージェントとAIエージェントの事業立ち上げに注力していきます。
そして、これまでもコンサルティング事業を見てきた取締役副社長の中川が、代表取締役副社長として私と一緒にコンサルティング事業を拡大させていきます。
この体制により、個人に依存しない経営管理モデルと、成長の領域に対して経営のリソースを柔軟にシフトしていくサステナブルな成長に向けた経営者輪番制の実現を目指します。
A.全世界のコンサルタントのAIエージェント化で目指す姿
ここからは、全世界のコンサルタントをAIエージェント化させる進捗状況についてお伝えします。第2四半期でご説明したとおりですが、スライドの図は我々が目指している世界観です。
クライアントの内部に入って変革をドライブしていくJoint Initiative型のコンサルタントは、一定数残る部分だと考えています。図にオレンジ色で示したそれ以外の部分では、AI化されたコンサルタントがクライアントの内部に入り込み、企画業務の支援も含めてサービスを実施していきます。
加えて、データが溜まってきたものはクラウドプロダクトで分析し、クライアントの中での意思決定に流用してもらうかたちで考えています。
現在は全世界で230万人のコンサルタントがいると言われていますが、そこをクラウドプロダクトも含めた弊社のAIエージェントに代替していくことを狙っています。
A.AIエージェントの事業展開状況
AIエージェントについては、先ほど社内ツールとしても大きな効果を出しているとご説明しましたが、現在は自動車OEMおよび複数社において、議事録作成の部分からすでにトライアルを開始しています。
A.“超”戦略的なプロダクト化(極小コスト×Credential確保)
クラウドプロダクトとAIエージェントの開発についてです。
今後は大きく2つの型に集約して開発を行っていくことを考えています。1つはクライアントと共同開発していく共同開発型のプロダクトです。もう1つは社内ツール自社開発型で、社内で活用しているツールを外販プロダクト化して販売していくものです。
共同開発型については、Joint Initiative型コンサルティングからプロダクト開発までを共同で実施し、2つの案件が初期フェーズとして始動しています。1つが「スペンドインテリジェンス」、もう1つが「グロービングくん」などの企画業務を支援していく「企画業務支援AIエージェント」です。
社内ツール自社開発型では、自社開発プロダクトとして「AI議事コン」のトライアルでの提供を開始しています。
これまでには、「セールススイート」など複数のクライアントに使い始めていただいているプロダクトもあります。これらの利用は続けていただき、追加開発についてはいったん共同開発型と社内ツール自社開発型に集約し、「セールススイート」については、今期は減損として計上しています。
AI事業として外販するクラウドプロダクトやAIエージェントについては、コンサルタントが実際に使ったものから横展開を実施し、無駄なく事業化を加速していきます。
A.共同開発モデルの概要と直近の動き
共同開発モデルについてさらに詳しくご説明します。
共同開発モデルは、実ビジネスの課題解消をしっかりと見極めた上で、解決策をしっかりと見極めながらプロダクトを作っていけるところが、弊社としても非常によいポイントだと考えています。
クライアントとは最初のフェーズではコンサルティング契約でのコンサルティングや、PoC、要件定義などをしつつ、共同開発プロジェクトとしてその次の開発も実施していくかたちです。
現在は、2つのプロダクトで初期フェーズが開始された段階になっています。1つ目が「スペンドインテリジェンス スイート」です。エンタープライズ向けで、直接材も対象とした支出の最適化プロダクトです。これは日本初の試みだと考えています。
この「スペンドインテリジェンス スイート」は、大手電機メーカーの調達子会社と共同開発の方向で合意し、要件定義フェーズを開始しています。
これは直接材の調達コストを最適化させるもので、弊社の創業者である輪島も含めて知見が溜まっている分野です。この知見を活用して、クライアントと共同でプロダクトに落とし込んでいきます。
2つ目は企画支援のAIエージェントです。こちらはホワイトカラーや企画人材の労働人口不足を補完するAIエージェントです。これは「グロービングくん」の全体像にもなってきますが、自動車OEMとも共同開発の方向で、PoCフェーズを開始するところからスタートしています。
これは、弊社のAI知見とクライアント社内の企画業務高度化の実例をかけ合わせて使えるプロダクトで、早期に型化していきます。今後、このような共同開発モデルにも注力しながら動いていきます。
B.“動的平衡”マネジメントの展開
動的平衡マネジメントについてです。ロックフェラー大学および青山学院大学で教授をされている福岡伸一先生と一緒に、動的平衡という生物学の考え方を日本企業の良いところとして当てはめ、動的平衡マネジメントとして弊社での方法論として落とし込むことを実施しています。
今年3月初旬に発刊された『動的平衡経営』には、弊社のパートナーと福岡伸一先生の対談や、弊社の事例も掲載されています。これをブローシャーとして弊社のクライアントである経営者のみなさまにお送りし、ご一読いただいています。
今後も季刊誌として発刊しつつ、弊社のリレーションやリードの獲得につなげていく取り組みも開始しています。
更なる成長戦略のイメージ
最後に弊社の成長戦略のイメージについてご説明します。
スライドの図に青色で示した部分がコンサルティングの分野です。これまで順調に成長させてきたコンサルティングを中核とした成長に対して、AIエージェント、クラウドプロダクトおよび動的平衡マネジメントも上乗せし、今後はさらに非連続な成長を目指していこうと考えています。
これにより、弊社としては全世界230万人のコンサルタントのAIエージェント化と、コンサルティング業界全体で40兆円と言われている市場の完全代替を狙っていきます。
私からのご説明は以上です。
質疑応答:上期比で営業利益率が低下した要因について
司会者:「営業利益率が第1四半期の36パーセント、第2四半期の37パーセントから、今回33パーセントに低下した要因は何でしょうか?」というご質問です。
田中:第1四半期、第2四半期ともに非常に高い営業利益率となっています。第3四半期は来期以降の成長に向けて人材採用を再加速したことにより、採用関連費用が増加しました。その影響で、営業利益率はやや低下しています。
ただし、弊社はもともとの目標として、営業利益率30パーセントから35パーセント程度を適正水準だと考えています。その水準に向けて、来期以降も高い売上成長についてもしっかりコミットしながら投資を行い、売上成長率と営業利益率をコントロールしながら動いているとお考えいただければと思います。
質疑応答:上方修正の考え方について
司会者:「業績予想の上方修正についての考え方を教えてください」というご質問です。
田中:今回の上方修正では、期末までの受注確度が高い案件をしっかり積み上げて売上高を見積もりました。その結果、売上高は7.1パーセントのプラスになっています。
また、営業利益率は全体として30パーセントから35パーセントに落とし込むところを狙っており、採用の加速や、来期に向けた投資も適切に行っていく予定です。今回は営業利益26億円、営業利益率31.9パーセントと発表していますが、やや保守的に設定しています。
質疑応答:「セールススイート」の減損理由について
司会者:「『セールススイート』を減損した理由について教えてください」というご質問です。
田中:「セールススイート」は、現在ミニマムなMVP機能として複数のクライアントでのご利用が始まっています。
今回の減損は、「セールススイート」のサービスは継続させた上で、開発人員は共同開発型のプロジェクトや社内ツールの自社開発型などの「AI議事コン」に注力させるために行っています。「セールススイート」のサービス自体を止めるという判断ではないことをご理解いただければと思います。
質疑応答:Joint Initiativeの成長見通しについて
司会者:「Joint Initiativeの売上高は、2025年5月期第1四半期が7億2,000万円、第2四半期が8億2,000万円、第3四半期が9億4,000万円という実績で推移しています。2025年5月期第4四半期においてもQoQで1億円超えの伸びが続くのか、また2026年5月期も続くのか、現時点ではどのように見ておけばよいでしょうか?」というご質問です。
田中:Joint Initiative型の売上は非常に大きく伸びており、弊社としても注力したいところです。しっかりクライアントの中に入り込み、顧客粘着性を高めながら長期の大型案件を獲得していく意味でも、この取り組みの比率はますます重要になると考えています。クライアントのニーズも非常に高いことから、今後も着実な拡大を目指して取り組んでいます。
短期的にもJoint Initiative比率50パーセント超えを早期に達成していきたいと思っていますし、将来的にはすべてのコンサルティングプロジェクトをJoint Initiative型へ移行できるように動いているところです。
質疑応答:AIエージェントのトライアルにおける収益貢献について
司会者:「AIエージェントのトライアルを開始されたそうですが、収益貢献を教えてください」というご質問です。
田中:今回「AI議事コン」のトライアルを開始し、共同開発型においても「スペンドインテリジェンス」および「企画業務支援AIエージェント」の共同開発プロジェクトも開始しました。
これらの収益貢献に関しては、基本的に来期以降を見込んでいます。「AI議事コン」はトライアルに進んでいるところで、今期は収益貢献というよりも実際に使っていただき、現場の課題解決に結びつけていく段階です。
共同開発型については、開発に入る一歩手前のPoCや要件定義を実施しているところです。それらが来期以降にある程度形になった段階で、しっかり収益に貢献していくことを狙っています。
質疑応答:人材獲得状況と目標について
司会者:「コンサルティング業界では特に人材獲得競争が激化していると思います。どのように人材を獲得しているのか教えてください。また、採用に関して具体的な数値目標はあるのでしょうか?」というご質問です。
田中:ご指摘のとおり、コンサルティング業界で採用競争が激化しているという認識はみなさま共通だと思いますし、実際にそのような面はあります。
しかし、弊社が行っているコンサルティングモデルには、経験豊富なコンサルタントがクライアントの中にしっかり入り込んで価値を高めていくことに特徴があります。
また、若手コンサルタントを大量に抱えるのではなく、若手が担う業務については、AIエージェントなどもしっかり活用しながら価値を提供しています。そのため、経験があるコンサルタントにとっては、非常にやりがいがある方法だと捉えられていると思います。
そのような意味でも、弊社が大量に人を抱えるモデルではないことから、しっかりと力のあるコンサルタントの採用ができていると思います。
弊社ではコンサルティングにおいてアドバイスが行えるだけではなく、しっかりと内部に入り込んで実業も回していくことができますし、AIエージェントも活用しながら効率的にサービス提供していきます。このモデルに共感してくれる優秀なコンサルタントは非常に多いことから、採用はうまく回っていると思います。
採用の目標については、スライドに示したKPIのとおりです。2025年5月期については、四半期ごとに10人ずつ増やしていくことを狙っています。ただし第4四半期では少し採用人数を増やして動いていくことを想定しています。
質疑応答:代表取締役の交代理由について
司会者:「代表取締役の交代理由について教えてください」というご質問です。
田中:コンサルティング事業では、基本的な経営管理モデルがしっかりできたと思っています。そこで、創業者である輪島は次の領域に注力していくことになりました。
また、若手の経営層を輩出していく意味で、柔軟に経営を回していけるような体制を作っているところです。今後も経営者を柔軟に入れ替えていく輪番制に取り組んでいきたいと思っています。
今回はその第1弾として次の成長領域に柔軟に振り分けつつ、さらに若手の経営者人材を育てることで、よりサステナブルな成長を達成する取り組みを実施しています。
質疑応答:関税引き上げの影響と今後の見通しについて
質問者:現在、米国の関税引き上げなどにより、自動車業界をはじめとしたいろいろな企業が影響を受けるのではないかという懸念があります。御社の顧客の中で、景気感応度の高い企業に悪い兆候が出てきている、あるいはそのような心配はないなど、現時点でのお考えや感触について教えてください。
田中:関税引き上げについては、「影響を受けるのではないか」と悩まれているクライアントは非常にたくさんいます。しかし、関税の影響は90日間ストップなどもあり、読めない部分もあります。
そのようなことからも、「今までどおり成長分野にはしっかり投資をしていく」と言っていただけるクライアントが多く、今のところ大きな影響はないと見込んでいます。
質疑応答:第4四半期のコストについて
司会者:「第4四半期は先ほど言及されている人材投資や採用費の他に、期末ならではのコスト等はありますか?」というご質問です。
田中:弊社の場合、期末特有のコストはありません。しかし、今期は採用を少し加速していることに加え、コンサルティング業界全体の基本的な傾向として4月、5月は少し売上が下がっていく傾向が見られる時期でもあります。
弊社の第4四半期は3月、4月、5月ですので、ちょうどこの時期にあたりますが、弊社は成長率が高い会社ですので、そこを乗り越えながら動くことを数年間続けてきています。
基本的にはその次のさらに旺盛になってくる需要に向けて人材を採用しつつ、業界全体としては下がりがちなところを、しっかりと上向けていきます。そのため第4四半期は、コスト面で人材採用費用および人件費が増える傾向があると思っています。
質疑応答:当期利益の修正幅について
司会者:「減損を考慮しても、当期利益の修正幅が低いように感じます。こちらも先述のようにやや保守的な見立てとなっているのでしょうか?」というご質問です。
建林秀明氏:上場後に留保金課税がかかる関係で、税率を現実に合わせて少し引き上げています。
田中:第4四半期については、非常に気にされる方も多いかと思います。今回、上方修正した通期業績予想目標では、売上・利益ともに必達で進めたいという保守的な数字を出しているとお考えいただければと思います。
質疑応答:コンサルティングで企業内部に入り込める背景について
司会者:「御社が企業内部に入り込める背景は?」というご質問です。
田中:弊社ではJoint Initiative型コンサルティングで企業内部に入り込み、しっかりと目に見えるかたちで事業価値を上げていきます。
実は優秀なコンサルタントであればあるほど、外からアドバイスを行って、その後の実行はクライアントお任せという状況を嫌う傾向があります。自身が立てた戦略やプランをクライアントと一緒に実行し、一緒に事業価値を高めていきたいという思いを持って動いているコンサルタントが多いと感じています。
弊社には、そのような考え方に共感して加わっていただいたコンサルタント達がいますので、そのメンバーがしっかりとコミットを行って企業内部に入り込んでいます。そこで実際にクライアントと一緒に事業価値を高めていくパートナーとして認めていただいていることが、企業内部に入り込める要因だと考えています。
質疑応答:来期の採用ペースについて
司会者:「今四半期は10人ペースで採用が進んでいるとうかがいました。来期の四半期における採用ペースはどのように考えればよいでしょうか?」というご質問です。
田中:弊社のモデルには、人員数の伸びよりも売上の伸びのほうが大きいという特徴があります。これはAIの活用などを本格的に進めていることも影響しています。そこで、今後は人員の伸びを四半期約10名程度ずつ伸ばしていくことを目線にしながら、来期も進んでいこうと考えています。
ただし、売上目標はしっかり設定し、その売上目標ほどは採用数を必要としないモデルで動いていますので、人材採用についてもそのように進めていく前提です。
質疑応答:事業モデルの独自性について
司会者:「御社の事業モデルにはどのような独自性があるのでしょうか?」というご質問です。
田中:先ほどもスライドでご説明しましたが、弊社の事業モデルの独自性は企業内部に入り込んでいるところが特徴です。プロジェクトの責任者や事業責任者のような、CxOレベルも含めて派遣できているという特殊性があります。
そのメンバーがクライアントメンバーと一緒に事業価値を高めつつ、さらにコンサルティングに関してもAIエージェントなどでかなり効率化したモデルを提供しています。
従来のコンサルティングファームであれば、若手も含めた頭数でしっかりとビジネスを行う傾向があります。しかし弊社では、AIエージェントやクラウドプロダクト自体をクライアントに使っていただき、そのような定型化された作業については人材を提供するのではなく、AIエージェントやクラウドプロダクトで提供しています。
このようなモデルに本格的に踏み込めている企業は世界中を見てもかなり少ないため、そのような部分が独自性になっていると考えています。
質疑応答:人材育成の要点について
司会者:「御社の人材育成の要点はどこにあるのでしょうか?」というご質問です。
田中:やはり、将来的にはJoint Initiative型コンサルタントの部分が人の残る部分になると考えています。そのような意味でも、事業の責任者やプロジェクトの責任者のような経営人材になっていくメンバーをしっかりと育てていきたいという思いが社内に強くあります。
また、そのようなメンバーが、AI化されたコンサルタントやAIエージェントと共同してしっかりと価値を高めていけるような人材を育てていくことが、弊社が要点として強く位置づけているところです。
言ってしまえば、AIエージェントを活用したワークができるような次世代経営者を育てていくことが、弊社の中の人材育成の要点になると思っています。
質疑応答:従業員のモチベーションを高める工夫について
司会者:「御社では従業員のモチベーションを高めるためにどのような工夫をしているのでしょうか?」というご質問です。
田中:弊社では、従来のコンサルティング業界で行われてきた手法に対して、クライアントのためにならない部分はしっかりと直し、コンサルティング業界自体のディスラプションを狙っています。また、そこにAIやクラウドプロダクトといったテクノロジーも掛け合わせて動いていくことをしっかり打ち出しています。
そのため、働き方や動き方についても非常にイノベーティブで、弊社内の文化としても今までどおりではない動き方をしていくことが根づいています。
そして、それをしっかり楽しめるような従業員を採用することで、強化を図っています。新しい施策や新しい世界を作っていくことに共感する方々が集まっていますので、そのような面を常に見せながら、しっかり実際に一歩ずつ進んでいます。
例えば、AIエージェントを実際にプロダクトとしてクライアントに使い始めていただき始め、共同開発型でもプロジェクトが進む日本発祥の方法論をしっかりと型にして出しています。また、今後に向けて、書籍化や経営者のコンソーシアム作りへの取り組みなども実際に動いています。
このような事業の推進そのものが、従業員のモチベーションを高めることに大きくつながっていると思います。