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相場先読み!米株特集

7月の米国株式市場を振り返ると、雇用市場の減速等を背景に利下げ期待から主要株価3指数が終値ベースで史上最高値を更新する場面がありました。一方、半導体の対中規制懸念が台頭した他、世界的なシステム障害発生、アルファベット (GOOGL)やテスラA(TSLA)の決算発表がネガティブ材料視されました。また、CPI(消費者物価指数)は市場予想を下ブレましたが、これまで好調だった主力大型テクノロジー株から出遅れの中小型株へのローテーションが目立つ展開でした。セクター(S&P500の11業種)は不動産や公益、金融等が上げ、コミュニケーション・サービスや情報技術が下げました。個別株ではアメリカン エキスプレス(AXP)やロッキード マーチン(LMT)、住宅建設のレナー A(LEN)等が上場来高値圏で、スリーエム(MMM)やブラックロック A(BLK)等が52週高値圏です。なお、S&P500指数採用銘柄で株価が200日線を超えている比率は77%と改善傾向にあります。

業績動向に関しては、S&P500指数採用銘柄のうち313社が決算発表済みで、EPSが市場予想を上回るポジティブサプライズ比率は約79%と堅調です。また、FOMC後の会見でパウエルFRB議長は9月利下げの可能性を示唆しました。

8月の米国株の注目点は、①アップルとアマゾン ドットコムの決算発表(いずれも8月1日予定)及びエヌビディアの決算発表(同28日予定)、②CPI(同14日予定)、③ジャクソンホール会議(同22-24日予定)と考えています。アップルは売上高成長率と中国の販売動向、アマゾン ドットコムはクラウド、エヌビディアは売上高見通しがマーケットから注目されそうです。CPIは2%台までインフレ鈍化が進むかどうか注目されそうです。また、9月FOMCでの利下げが市場予想で濃厚な中、ジャクソンホール会議で利下げに向けた前向きなコメントが見られるかどうか注視されます。なお、ハリス副大統領は民主党大統領候補になることが確実視されていますが、8月7日ごろまでに副大統領候補を決めると見られており、政策を占う上でも副大統領の人選が注目されそうです。

今回のコンテンツではテーマとして「EPS見通し上方修正」を取り上げます。S&P500指数の4-6月期EPSは前年比11%増益が見込まれており、これは6月下旬時点から見るとその見通しが引き上げられています。そのような中、会社側が通期EPS見通しを上方修正し、株価がポジティブに反応した銘柄については業績への安心感から強含みの株価展開になる可能性があると思われます。

当コンテンツはBloombergデータ、各社資料、各種報道、当社Webサイトを基にSBI証券が作成

投資情報部 齊木 良

SBI証券 アナリスト注目銘柄

今回の5銘柄の選定ポイントは次の3点です。

1.S&P500指数採用銘柄

2. 会社側が通期EPS見通しを上方修正

3.決算発表を受けて株価が上昇

1、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMY)

ニュージャージー州に本社がある世界的なバイオファーマ企業です。主な疾患領域は、がん領域(がん治療薬オプジーボ等)や免疫領域(関節リウマチ治療薬オレンシア等)、心血管領域(経口抗凝固薬エリキュース等)等です。2023年12月期の売上高比率はエリキュースが27%、オプジーボ20%、オレンシア8%等です。地域別では米国が70%、海外28%等です。7月26日発表の4-6月期決算はエリキュース及びオプジーボ、オレンシアの売上高が市場予想を上回ったこと等を背景に、全体売上高とEPSが市場予想を上回りました。会社側は24/12期EPS見通しを上方修正しました。

1.S&P500指数採用銘柄(ヘルスケア)

2. 会社側は24/12期EPS見通しを0.4-0.7ドル→0.6-0.9ドルに上方修正

3.決算発表後に約11%高<画像1>

2、コルゲート パルモリーブ(CL)

NYに本社があり、1806年設立の老舗日用品企業です。世界シェアトップの歯磨き粉の他、歯ブラシやハンドソープ、ペットフード等を手掛けています。製品は200を超える国・地域で販売されています。23/12期の売上高比率はオーラルケアが42%、パーソナルケア19%、ホームケア17%等で、売上高の約11%はウォルマート インク(WMT)向けです。ネット通販の売上高比率が高まっているのも特徴です。7月26日発表の4-6月期決算は販売数量増加等で売上高とEPSが市場予想を上回りました。S&P500指数採用銘柄の中で同社の高いROEはトップクラスで効率経営と言える他、60年以上の連続増配企業としても注目できそうです。株価は史上最高値圏で推移しています。

1.S&P500指数採用銘柄(生活必需品)

2. 会社側は24/12期EPS成長率見通しを1桁台半ば~後半→8-11%に上方修正

3.決算発表後に約3%高<画像2>


<画像6>提供:SBI証券(外部リンク)


3、ロッキード マーチン(LMT)

メリーランド州に本社があり、米政府を主要顧客として持つ防衛関連企業です。ボーイング(BA)やゼネラル ダイナミックス(GD)、ノースロップ グラマン(NOC)等が競合企業です。航空機事業(ステルス戦闘機のF-35ライトニングⅡやF-22ラプター等、23/12期売上高比率41%)やミサイル・火器管制事業(迎撃ミサイルPAC-3等、同17%)、ロータリー・ミッション・システム事業(シコルスキー・ヘリコプター等、同24%)等を手掛けています。23年12月末の受注残高は約1606億ドルです。7月23日発表の4-6月期決算はロータリー・ミッション・システム事業の牽引等で売上高とEPSが市場予想を上回りました。株価は史上最高値圏で推移しています。

1.S&P500指数採用銘柄(資本財・サービス)

2.会社側は24/12期EPS見通しを25.65-26.35ドル→26.10-26.60ドルに上方修正

3.決算発表後に約6%高<画像3>

4、スリーエム(MMM)

ミネソタ州に本社があり、グローバルな多角的技術企業です。23/12期の売上高比率は安全・産業(工業用接着剤やテープ等)が34%、運輸・エレクトロニクス(自動車・宇宙、先進素材等)26%、消費者向け(ポスト・イットブランドの付箋紙等)15%、ヘルスケア25%です。地域別は米州が56%、アジア・太平洋26%、欧州・中東・アフリカ18%です。なお、4月にヘルスケア事業のスピンオフが完了しました。7月26日発表の4-6月期決算は工業用接着剤やテープの牽引等で売上高とEPSが市場予想を上回りました。なお、注力する優先分野として、新製品の投入加速や魅力的な配当支払い等を挙げました。株価は52週高値圏で推移しています。

1. S&P500指数採用銘柄(資本財・サービス)

2.会社側は24/12期EPS見通しを6.80-7.30ドル→7.00-7.30ドルに下限を上方修正

3.決算発表後に約23%高<画像4>

5、ノースロップ グラマン(NOC)

バージニア州に本社があるグローバルな航空宇宙・防衛企業です。米国政府が最大の顧客で、23/12期売上高の86%を占めます。事業別の売上高比率は航空システム(ステルス爆撃機B-2スピリットや無人機RQ-4グローバルホーク等)が27%、防衛システム(統合戦闘指揮システム等)13%、ミッションシステム(レーダー等)25%、宇宙システム(ミサイル防衛システム等)35%です。23年12月末時点の受注残高は842億ドルです。7月25日発表の4-6月期決算は航空システムと防衛システムの牽引等で売上高とEPSが市場予想を上回りました。20年以上の連続増配企業としても注目できそうです。

1.S&P500指数採用銘柄(資本財・サービス)

2.会社側は24/12期EPS見通しを24.45-24.85ドル→24.90-25.30ドルに上方修正

3.決算発表後に約6%高<画像5>


※参考
経済指標
決算発表カレンダー


<画像7>提供:SBI証券(外部リンク)



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