プロフィール

総合保険代理店で個人を対象とした家計相談やライフプランニングを約10年経験。2021年以降は金融専門ライターとして複数メディアで活動しており、大手証券会社・保険会社や大手金融メディアでの豊富な執筆実績をもつ。 暗号資産や投資信託、国内株式などによる資産運用も積極的に行っている。
FXには「スプレッド」と呼ばれる仕組みがあります。スプレッドは普段聞きなれない言葉のため、どのようなものなのかわからない方もいるでしょう。スプレッドは投資家が支払う実質的な手数料となるため、FXを始める前に知っておきたい知識のひとつです。本記事では、FXのスプレッドがどのようなコストなのかを、わかりやすく解説します。リスクを減らすためのポイントも紹介しますので、ぜひご覧ください。
まずは、売買する通貨の価格差であるスプレッドの基本を見ていきます。FXで取引するときの重要なポイントとなるので、しっかり確認しておきましょう。
FXにおけるスプレッドとは、ある通貨を「買ったときの価格」と「売ったときの価格」の差額のことです。
例えば、日本円と米ドルを交換する場合を考えてみましょう。
・1ドルを買ったときの価格:100.568円
・1ドルを売ったときの価格:100.566円
この場合、差額の0.002円(0.2銭)がスプレッドです。一般的に、差額が小さいことを「スプレッドが狭い」、差額が大きいことを「スプレッドが広い」と表します。米ドルと円の取引であれば、一般的に0.2銭以下であれば「狭い」、0.2銭より上であれば「広い」とされています。
FXは取引するたびにスプレッドが発生し、投資家にとって実質的なコストになるため、スプレッドが狭いほど利益が出やすいといえるでしょう。
スプレッドで使われる単位は、以下の2つです。
・銭(セン):日本円を含む取引に使われる
・pips(ピップス):外貨同士の取引に使われる(すべての通貨ペアで使用可能な共通単位)
スプレッドの表示単位はFX会社や通貨ペアによって異なり、『銭』や『pips(ピップス)』などが使われます。対円通貨ペアでもpipsで表示される場合があります。
スプレッドは、取引する通貨やFX会社によっても異なります。理由は、スプレッドがFX会社の収入源となるためです。例えば、ある特定の取引のスプレッドを狭くしてユーザーを呼び込むなど、各社が独自の設定をしています。
FX会社の経営方針の違いがスプレッドに表れているため、FX会社を選ぶときは、スプレッドの設定がいくらになっているかを事前に確認しておきましょう。
では、実際にスプレッドはいくら支払うのでしょうか。FXのスプレッドは、以下の計算式で算出できます。
・実際のコスト = スプレッド × 取引数量
例えば、スプレッドが0.2銭(0.002円)で1,000通貨を取引した場合のコストは、0.2銭(0.002円)× 1,000通貨 = 200銭(2円)です。このように、スプレッドに取引数量を掛けるだけで、簡単にコストを計算できます。
スプレッドには「変動スプレッド」と「原則固定スプレッド」の2種類があります。
変動スプレッドとは、異なる通貨を交換する際の比率(為替レート)の変動によって、スプレッドも変動する仕組みのことです。
原則固定スプレッドとは、為替レートの変動に関係なく、各FX会社が設定(固定)したスプレッドの仕組みを指します。
変動スプレッドは常にスプレッドが変わるため、投資家が運用しにくいという観点から、多くのFX会社では原則固定スプレッドが採用されています。
原則固定スプレッドはスプレッドが固定されていますが、常に同じではありません。以下の状況下では変動する場合があるため、注意が必要です。
・重要な経済指標の発表前後
・突発的な出来事が発生したとき
・取引量が少ない時期や時間帯
リスク対策のために、変動要因を把握しておきましょう。

各国の中央銀行の政策金利や、米国の雇用統計など、重要な経済指標の発表前後はスプレッドが変動しやすい傾向にあります。理由は、政策や指標の発表が市場に影響を与えるためです。
例えば、米国の雇用統計は、失業率や産業別の就労人数、平均時給、労働時間、非農業部門雇用者数などの雇用に関する情報をまとめたものです。米国の経済状況を表す重要な指標ですが、このような指標の発表前は市場の予測がつきません。そのため、投資家は発表まで取引を控え、発表後に政策や指標の内容を踏まえて取引を再開します。
このとき、投資家が特定の通貨の価値が高くなると判断すれば買い注文が増え、価値が低くなると判断すれば売り注文が増えるため、市場が不安定になるのです。
このように、市場に一時的な偏りが生まれるときは、スプレッドが広がりやすくなります。
大規模な自然災害やテロなどが発生したときにも、スプレッドは広がる傾向があります。突発的な出来事は経済に与える影響が大きく、市場が不安定になりがちです。
例えば、2020年の新型コロナウイルスの流行時は金融市場全体が大きく変動し、FX市場も影響を受けてスプレッドが広がりました。このように、予測不可能な出来事もスプレッドに影響することを覚えておきましょう。
取引量が少ない年末年始や早朝は、市場の参加者が少なくなるため注文が成立しにくいです。市場が不安定になることから、スプレッドが広がりやすい傾向があります。
一方、上記以外の時期や時間は市場の参加者が多く、頻繁に取引されるため、注文が成立しやすくなります。スプレッドが狭くなりやすいことから、リスクを軽減するには年末年始や早朝は取引を控えるといいでしょう。
スプレッドは取引のたびに発生するコストで、投資家は必ず支払わなければいけません。しかし、取引するタイミングやFX会社の選び方によって、スプレッドを狭くできます。
FXを行う際は、利益だけでなくスプレッドが狭いFX会社を選ぶなど、コスト面にも目を向けるようにしましょう。
記事公開日:2024年12月24日
記事更新日:2026年8月12日