プロフィール

個人事業主としてWebライター・Webディレクター・Webデザイン業務を行う。 Webライターとしては、クレジットカードの比較解説や保険の解説、株式投資や投資信託の経験を活かした投資関連の記事執筆なども行う。 投資初心者の方に向けたやさしい解説を心がけている。
為替取引に興味を持ち始めた方の中には「ファンダメンタルズ分析」や「テクニカル分析」といった分析方法を調べている方も多いのではないでしょうか。為替分析では、相場(為替の方向感や状況)をさまざまな情報から見極める必要があります。ファンダメンタルズ分析は、各国の経済状況などから相場を分析・予測する手法です。一方、テクニカル分析は、過去の値動きから今後の値動きを予測する分析方法で、チャート(値動きを時系列順に示したグラフ)やテクニカル指標(テクニカル分析で用いられる情報のひとつ)を活用します。本記事では、為替分析の基本でもあるファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の違いや、特徴について解説します。

為替相場の分析で用いられている分析方法は、主にファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の2種類です。
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は分析対象が異なるのが大きな違いであり、特徴のひとつといえます。
まずは、それぞれの特徴を確認していきましょう。
ファンダメンタルズ分析は、各国の政治や経済、金利に関するさまざまな情報を収集し、相場への影響や値動きの予測を行う分析方法を指します。
特に、中長期的な時間軸で為替取引を行うときは、ファンダメンタルズ分析が役立ちます。分析に用いられる主な情報は、経済指標(GDP(国内総生産)、インフレ率、失業率など)、金融政策と財政政策、地政学、政治的リスク、といった項目です。また、要人の発言も、為替相場に影響を与える要素となります。
テクニカル分析は、為替チャートの形状とテクニカル指標を用いて、相場の方向感や値動きの予測を行う分析方法です。
特に、短期的な時間軸で相場の方向性や値動きを予測したいときは、テクニカル分析が役立ちます。チャートをもとに分析する場合は、チャートの形状から相場の転換点(上昇、下落どちらかに切り替わるポイント)や、現在の方向(上昇、下落、横ばい方向)で相場が動き続けるのかどうかといった点を調べます。例えば、直近の高値に向けて複数回上昇を繰り返し、さらに上昇を続けるパターンは、上昇相場の継続を示しています。チャートパターンの形状は多数あるため、少しずつ覚えておくことが大切です。

ファンダメンタルズ分析の主な分析対象は、金融政策と財政政策、地政学・政治的リスクなどとされています。また、要人の発言や時事情報、経済指標なども、分析の際に重要な情報です。
為替の変動要因を調べたり、値動きの予測などを行ったりするときは、このようなさまざまな情報を組み合わせていきます。
次に、ファンダメンタルズ分析の分析対象とされる項目と特徴を確認していきましょう。
金融政策とは、国の中央銀行が行っている政策を指します。中央銀行とは、紙幣や貨幣を発行したり、通貨の価値を保ったりしている機関のことです。
中央銀行は、経済や物価を安定させるために金融政策を通じてさまざまな対策を施しています。例えば、市場に供給されているお金の量(マネタリーベース)を調整する「量的緩和」(市場に資金を大量に供給すること)や「量的引き締め」(国債などの金融資産を売却したり、満期を迎えた債券の再投資を停止したりすること)が、金融政策に該当します。
ほかに、金利の引き上げや引き下げといった措置も、為替に影響を与える金融政策のひとつです。
一般的に、量的緩和や金利の引き下げは「通貨安」を招く場合があります。通貨安とは、円の価値がほかの国の通貨より安くなる状態のことです。反対に、量的引き締めや金利の引き上げは、円の価値がほかの国の通貨より高くなる「通貨高」を招く場合があります。
また、中央銀行は、経済指標をもとに金融政策を決めている点にも注目です。経済指標とは、国や公的機関、民間企業から発表されている情報を指し、以下のようなものが挙げられます。
・生産者物価指数:アメリカの生産者から製造・出荷された商品の販売価格に関するデータ
・消費者物価指数:消費者の購入する商品やサービスの価格変動を指数で示したもの
・雇用統計:給与情報をもとに集められたデータ
・失業率:労働人口に対する失業者の割合
経済指標の種類は多岐にわたり、事前に発表日時が定められています。
経済指標や金融政策は、各ネット証券のサービスページから確認可能です。また、Yahoo!ファイナンスでは、為替レートだけでなく経済指標のデータも表示されています。
財政政策とは国の経済政策を指し、増税・減税、国債の発行、公共事業の推進拡大や縮小などが代表的です。財政政策は、為替相場に通貨高・通貨安といった影響を与える場合があります。
例えば、ドル/円の為替相場は、消費税の増税が行われた後で円安方向に推移しています。このように、国の経済政策は通貨の価値を変動させる可能性があるため、時事情報を含めて日々確認することが大切です。
地政学や政治的リスク、要人発言をはじめとした大きな事象も、為替相場に影響を与える要因です。
地政学リスクとは、地域が抱える政治・軍事・社会に関する緊張の高まりによって、地域経済や世界経済に影響を与えてしまうリスクのことです。例えば、地域紛争、戦争といった事象が当事国や関連している国の先行きを不透明にさせてしまい、為替相場の変動につながる可能性もあります。
一方、政治的リスクは、国の政策や政権の大きな変化や動きによって、為替相場の変動を招くリスクを指しています。特に影響力の大きな国の大統領選挙、政権交代などは、政策の転換や混乱を招く可能性があり、経済および為替に影響を与えやすい事象のひとつです。
また、要人発言とは政治家や中央銀行の幹部など影響力の大きな人物の発言で、為替相場に影響を与えます。予測の難しい事象であるため、日頃から政治・経済関連のニュースを確認しておきましょう。
上記以外にも、2020年に起きた新型コロナウイルスの流行といった事象は、為替相場に大きな影響を与えました。為替分析を行う際は、政治・経済だけでなく、さまざまなニュースに目を向けておく必要があります。
テクニカル分析で用いられている指標は、大きく「トレンド系指標」と「オシレーター系指標」の2つに分類されます。続いて、それぞれの意味や代表的な指標を確認していきましょう。
トレンド系指標とは、相場の方向性を分析するための指標です。例えば、テクニカル指標をもとに上昇相場であると分析した場合、どのタイミングで取引を行うべきなのか判断しやすくなります。
以下で、主なトレンド系指標を紹介します。
・移動平均線
移動平均線は、ある期間の価格から平均値を割り出し、グラフ化したものです。一般的には、チャートの画面に移動平均線を1本または複数本表示させ、グラフの形状やチャートとの位置関係から相場の方向性などを分析します。
相場の転換点を探るときは、ゴールデンクロス(下落相場から上昇相場へ転換しているサイン)とデッドクロス(上昇相場から下落相場へ転換しているサイン)の発生状況を調べましょう。
まずは、短期の移動平均線(上図のオレンジ色の線。例:5日や10日移動平均線)と、短期移動平均線よりも長期の移動平均線(上図の青色の線。例:25日や50日移動平均線)をチャートに表示させ、交差する場所を確認します。
短期移動平均線が長期移動平均線を上抜けた場合はゴールデンクロス、反対に下抜けた場合はデッドクロスとみなされます。
・ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、移動平均線と標準偏差(データのバラつき)を複数のグラフで表示させたものです。
グラフは、下から「−3σ、−2σ、−1σ、移動平均線、+1σ、+2σ、+3σ」の順に並んでいます。標準偏差(−3σ、−2σ、−1σ、+1σ、+2σ、+3σ)の範囲内に価格がどれだけ収まっているかによって、値動きの大きさや、買い・売りのポイントを判断していく仕組みです。
例えば、価格が−2αに達した場合は、売られ過ぎとみなして買いを検討します。反対に、+2αに達した場合には、買われ過ぎと判断して売りを検討するといった使い方です。
特に、逆張り(価格が大きく下落したときに買い注文を入れるなど、相場の方向と反対に売買を行うこと)で売買を行う際は、ボリンジャーバンドの指標が役立つ可能性もあります。
・一目均衡表
一目均衡表(いちもくきんこうひょう)は、5本のグラフ(基準線、転換線、先行スパン1、先行スパン2、遅行スパン)と、雲(先行スパン1と先行スパン2の間にある部分)から相場の方向性を見極める指標です。
使い方は複数あり、相場の方向性を確認できるほか、相場の転換点や停滞したポイント、一時的な下落のポイントなども分析できます。
相場の方向性を調べたいときは、雲と価格の位置を見てみましょう。ローソク足(価格情報を1本にまとめたもの)が雲より上にあれば上昇相場、下にあれば下落相場と判断できます。
・パラボリック
パラボリックは「SAR(ストップ・アンド・リバース)」という1本のグラフとチャートとの位置関係から、買いや売りのポイントを調べられる指標です。
チャートが上昇し始めると同時にSARが下落し、チャートを下抜けた場合は上昇相場への転換・買いのサインを示しています。反対に、チャートが下落し始めると同時にSARが上昇し、チャートを上抜けた場合は下落相場への転換・売りのサインを示しています。
オシレーター系指標は、相場の買われ過ぎ・売られ過ぎを分析する際に活用される指標です。
以下で、主なオシレーター系指標を紹介します。
・RSI
RSIは、0~100%の範囲内に1本のグラフが描かれている指標です。RSIのグラフは、為替のチャートと連動しています。
一般的に、グラフが30%以下の範囲に推移した場合は売られ過ぎと判断され、上昇相場への転換点・買いのサインとして機能します。反対に、グラフが70%以上の範囲に推移した場合は買われ過ぎと判断され、下落相場への転換点・売りのサインとして機能するのが特徴です。
・RCI
RCIは、-100~+100%の範囲内に1本のグラフが描かれている指標です。RCIのグラフは、為替相場のチャートと連動しながら動いています。
グラフが−80%を超えて下落している場合は売られ過ぎとされ、上昇相場への転換点・買いのサインとして判断します。反対に、+80%を超えて上昇している場合は買われ過ぎとされ、下落相場への転換点・売りのサインです。
・MACD
MACD(マックディー)は「MACD線」と「シグナル」という2本のグラフから相場の転換点を判断していく指標です。
MACDがシグナルを上抜けた場合は、ゴールデンクロス(上昇相場への転換点・買いのサイン)として判断します。反対に、MACDがシグナルを下抜けた場合は、デッドクロス(下落相場への転換点・売りのサイン)として判断します。
また、グラフの角度が緩やかなときは、ダマシ(発生したサインと反対の動き、理論通りに動かないケース)の可能性もあるため、グラフの向き・角度にも注意しましょう。
・ストキャスティクス
ストキャスティクスは、0~100%の範囲内に「%K」と「%D」という2本のグラフが描かれている指標です。
%Kと%Dが30%を下回ると、売られ過ぎ・買いのポイントとして判断します。反対に、%Kと%Dが70%を上回ると、買われ過ぎ・売りのポイントとして判断します。
横ばい相場での細かい上昇や下落時は、ストキャスティクスのサインが機能しやすい傾向です。そのため、上昇相場や下落相場での買い・売りポイント、相場の転換点を分析したいときは、さまざまな指標を組み合わせながら活用してみましょう。
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は、分析対象や方法に大きな違いがあります。そのため、為替相場の分析においては、状況に応じて活用するのが一般的です。
為替分析をこれから始める方は、それぞれの特徴や使い方を理解した上で、自分に合う組み合わせや方法を選びましょう。
記事公開日:2024年12月24日
記事更新日:2026年8月7日