プロフィール

総合保険代理店で個人を対象とした家計相談やライフプランニングを約10年経験。2021年以降は金融専門ライターとして複数メディアで活動しており、大手証券会社・保険会社や大手金融メディアでの豊富な執筆実績をもつ。 暗号資産や投資信託、国内株式などによる資産運用も積極的に行っている。
ある国の通貨とほかの国の通貨を売買し、その差額で利益を出そうとするFXの取引において、始める前にチェックしておきたいのが「通貨ペア」です。本記事では、通貨ペアとは何なのか、どのような取引が多いのか、そしてどう選ぶといいのかといった基礎知識を、初心者の方にもわかりやすく解説します。

通貨ペアを知っていると、FXの仕組み全体についても理解が深まります。まずは通貨ペアの基本について、詳しく見ていきましょう。
「通貨ペア」とは、FXで取引する通貨の組み合わせのことです。例えば、アメリカドル(米ドル)を日本円で売買するときに使う通貨ペアは「米ドル/円」になります。
通貨ペアの表記は、「米ドル/円」のように日本語で書かれる場合もあれば「USD/JPY」のように英語表記の場合もあります。「USD」はアメリカ合衆国(US)のドル(Dollar)、「JPY」は日本(JP)の円(Yen)の略です。
FXで通貨ペアが重要になるのは、どの通貨とどの通貨をペアにするかによって、値動きの特徴や、気を付けるべきリスクの内容が変わってくるからです。そのため、FXを始める前に通貨ペアの種類や特徴を知っておく必要があります。
FXで取引される通貨ペアは、ほかにも「ポンド/米ドル」や「ユーロ/米ドル」など、さまざまなものがあります。
FXを始めるために取引する通貨ペアを調べていると「スプレッド」や「トレンド」という用語がよく出てくることに気づくかもしれません。これらは、どの通貨ペアを取引に選ぶのかを決める際に、基準となる観点です。
スプレッドとは、通貨を売るときと買うときの価格の差を指します。「同じものを売買するのに価格が変わるの?」と疑問に思われるかもしれませんが、通貨の交換の際に発生するコストが通貨ごとに異なるため、どうしても売値と買値との間に差が生じるのです。
この差額(スプレッド)が小さいほど、取引にかかるコストを抑えられます。
一方、トレンドは相場の方向性や傾向のことです。価格が継続的に上昇しているときは「上昇トレンド」、下降し続けているときは「下降トレンド」と表現します。
トレンドが出やすい通貨ペアは、変則的な値動きをしにくい傾向にあります。そのため、取引する通貨ペアを選ぶ際には事前にトレンドが出やすいかどうか、特徴も調べておきましょう。
世界には多数の通貨ペアが存在し、一般の方が取引できるものだけでも数十以上はあります。以下に、タイプごとに分類した通貨ペアの種類を解説します。
「メジャー通貨ペア」とは、取引の参加者が多く、取引量が多い通貨ペアのことです。「主要通貨ペア」ともいいます。
米ドルやユーロなど取引量の多い通貨のことを「メジャー通貨」と呼び、通貨ペアの少なくとも片方がメジャー通貨であるペアは、市場での取引量も多くなります。
詳しくは後述しますが「米ドル/円」や「ポンド/米ドル」など、一般的に聞きなじみのある組み合わせの多くはメジャー通貨ペアです。
「マイナー通貨ペア」はメジャー通貨ペアとは逆に、取引の参加者が少なく、取引量が少ない通貨ペアを指します。
トルコリラや南アフリカランドなど、なかなか通常の生活では目にすることのない「マイナー通貨」がペアに含まれる組み合わせです。
マイナー通貨ペアは、取引量の違いからメジャー通貨ペアとは異なる特徴を有しています。
「クロス通貨ペア」とは、米ドルを含まない通貨ペアのことです。例えば、ユーロを売ってポンドを買う「ユーロ/ポンド」や、ニュージーランドドルを売ってオーストラリアドルを買う「NZドル/豪ドル」などがあります。
クロス通貨ペアの中でも、ペアのどちらかが日本円であるものは「クロス円」と呼ばれます。
「コモディティ通貨」とは、石油や鉄鉱石などの資源を多く輸出している国の通貨のことです。「資源国通貨」とも呼ばれます。
コモディティ通貨の価値は、資源の相場に大きく左右されます。例えば、オーストラリアは鉄鉱石や石炭の採掘や輸出が盛んな国です。そのため、鉄鉱石の相場における変動がオーストラリアドルの価格に影響することがあります。
このようなコモディティ通貨を含んだ通貨ペアを「コモディティ通貨ペア」と呼びます。

取引量が多いメジャー通貨ペアは、FX初心者にも挑戦しやすいように思われるかもしれません。しかし、メジャー通貨ペアにはメリットがある一方、デメリットも存在します。次に、主なメジャー通貨ペアと、そのメリット・デメリットを解説します。
主なメジャー通貨ペアは、以下のとおりです。いずれの通貨も世界中で膨大な金額が24時間絶え間なく取引されており、圧倒的な流動性を誇ります。
・米ドル/円
・ポンド/円
・豪ドル/円
・ユーロ/米ドル
・ポンド/米ドル
・豪ドル/米ドル
・ポンド/豪ドル
・NZドル/米ドル
メジャー通貨ペアには、以下のようなメリットがあります。
・情報が手に入りやすく分析しやすい
・通貨を売買する際の価格差(スプレッド)が狭いものが多い
・相場の方向性が持続しやすい(トレンドが形成されやすい)
大きなメリットのひとつが、情報を得やすいことです。例えば、米ドルやユーロの価値が大きく変わるような場合は日本でもアメリカやヨーロッパのニュースが報じられ、価格変動の可能性に気づきやすくなります。価格が上昇または下降しているときに、何が原因でその値動きが起きているか分析しやすいという利点もあります。
また、通貨を売買する際の価格差(スプレッド)が狭い傾向があり、取引する方にとってはコストを下げられることもメリットです。
さらに、メジャー通貨ペアは、相場の方向性や傾向(トレンド)が形成されやすく、上昇トレンドや下降トレンドに入ると、その状態を持続しやすいのも特徴のひとつです。変則的な値動きをしにくい傾向にあるため、初心者でも取引に参加しやすいといえます。
メジャー通貨ペアの取引には、デメリットもあります。それは、値動きが激しいものや、値動きの予測がしにくいものがあることです。
例えば、イギリスの通貨であるポンドを含む組み合わせは、比較的値動きが激しい通貨ペアです。また、カナダやオーストラリアは石油や石炭などの資源を多く産出する国であるため、カナダドルやオーストラリアドルの値動きは、その国だけでなく資源の輸出先の経済状況や、さまざまな国際情勢に左右される場合もあります。
そのため、カナダドルやオーストラリアドルを含むメジャー通貨ペアは、値動きの予測がしにくいといえます。

マイナー通貨ペアは、一般の方にとってなじみのない通貨が含まれ、注意点も多いため、初心者には取引の難易度が高いです。マイナー通貨ペアの取引に参加する際に注意すべきポイントを、比較的人気のあるマイナー通貨ペアとともに紹介します。
マイナー通貨ペアの取引にはさまざまな注意点がありますが、主に以下の3つが挙げられます。
・通貨を売買する際の価格差(スプレッド)が大きい
・情報が手に入りにくい
・リスク管理の難易度が比較的高い
マイナー通貨ペアは、通貨の売値と買値の差(スプレッド)が大きい傾向にあります。これは、取引におけるコストが高くつくというリスクにつながるものです。
また、情報が入りにくいというのもリスクにつながります。例えば、米ドルであれば日本でも毎日のようにニュースを聞くことがありますし、インターネットでも日本語の情報を複数の媒体から入手できます。一方、トルコの通貨であるトルコリラなどのマイナー通貨の情報を入手するのは容易ではなく、値動きの原因を分析しづらかったり、今後の相場の方向性(トレンド)を予想しづらかったりします。
さらに、マイナー通貨ペアは全体的に値動きが激しいのが特徴です。それを利用して利益を狙おうとする方もいますが、高い利益には必ず高いリスクが伴います。加えて、取引に参加する方が少ないため、希望するタイミングで売買できないケースも考えられます。マイナー通貨ペアはリスク管理が難しいことから、特に初心者にとっては取引の難易度が高くなるのです。
一口に「通貨ペア」と言っても、一般的によく知られているものから取引量が少ないものまで、種類はさまざまです。
また、一見、取引が簡単そうに見える通貨ペアにも、リスクにつながるようなデメリットが潜んでいる場合もあります。そのため、FXの取引を始める前に通貨ペアの特性を知っておくことは、非常に重要です。
本記事で紹介したメジャー通貨ペアの多くは、Yahoo!ファイナンスの「FX・為替」のタブでリアルタイムの値動きや、これまでの値動きの変遷などを確認できます。まだFX取引をやったことがない方は、まず聞いたことのある通貨の価格を見るところから始めてみてください。
記事公開日:2024年12月24日
記事更新日:2026年8月10日