プロフィール

総合保険代理店で個人を対象とした家計相談やライフプランニングを約10年経験。2021年以降は金融専門ライターとして複数メディアで活動しており、大手証券会社・保険会社や大手金融メディアでの豊富な執筆実績をもつ。 暗号資産や投資信託、国内株式などによる資産運用も積極的に行っている。
投資を始めるにあたり、初心者でも取り組みやすい投資信託や、ETF(上場投資信託)を考える方もいるでしょう。投資信託とETFについて「言葉自体はよく耳にするけれど、具体的な違いがわからない」という方もいるかと思います。投資信託とETFは、どちらもプロが代わりに運用する投資方法です。それぞれメリット・デメリットが異なるため、違いを理解していきましょう。本記事では、投資信託とETFのメリット・デメリットや向いているタイプなど、2つの違いをわかりやすく解説します。

投資信託とETFはいずれも、複数の投資家から集めた資金で、プロが金融商品を購入、運用する金融商品です。運用で得た収益は、投資した金額に応じて各投資家に還元されます。
投資信託とETFにはさまざまな違いがあるため、それぞれの特徴に触れながら、チェックしていきましょう。
投資信託では、多くの投資家から集めた資金を使って投資の専門家が投資先を決めたり、実際に運用したりします。投資信託は、株式や債券など複数の資産で運用するのが特徴です。
このように、特性が異なるさまざまな資産に投資することを「分散投資」といいます。特定の資産の価格が下がっても、ほかの資産で損失を補える可能性があるため、リスクの軽減が期待できます。
投資信託の運用で発生した利益は、販売会社を経て、各投資家に還元される仕組みです。
ETFは証券取引所に上場している投資信託のことです。JPXの「レポート」によると、2026年8月時点でETFの銘柄数は444種と、一般の投資信託よりも少なめです。
ETFも一般的な投資信託と同じく、国内株式や債券など、さまざまな資産を組み合わせているため、リスクを抑えて資産形成したい方に向いています。
投資信託が誕生したのは1800年代19世紀のイギリスです。当時のイギリスは、産業革命を経て、世界各地への投資が積極的に行われていました。
やがて複数の個人投資家が資金を出し合い、運用のプロに投資を任せる手法として投資信託が生み出されます。イギリスで生まれた投資信託は、日本やアメリカなどに広がっていきました。日本では、1941年に野村証券が投資信託商品を販売したのが始まりです。
一方、ETFの誕生の背景は、明確にはわかっていませんが、1990年にカナダのトロント証券取引所で生み出されたといわれています。1995年に日本でも初上場していますが、日経平均株価のような市場を代表する指標を連動対象とする銘柄を選べないなど多くの課題があったため、取引は活発に行われなかったのです。
しかし、2000年代21世紀に入ってから規制が緩和され、多くの指標と連動できるようになりました。銘柄が増加した現在では、当初に比べて気軽に使える投資方法へと成長しています。

投資信託とETFをうまく使いこなすには、両方のメリット・デメリットを理解することが大切です。それぞれの強みや弱みを知れば、自分に合った投資をする上で役に立ちます。
まず、投資信託のメリットは以下のとおりです。
・幅広い選択肢から銘柄を選べる
・低コストで気軽に始められる
・購入できる場所が多い
一般の投資家が購入できる投資信託は約5,800種類(2026年4月末時点)あるため、自分の投資目的に合った銘柄を選べます。日経平均株価など市場の指標と連動して値動きする「インデックスファンド」に加え、市場の指標以上の運用成果を目指せる「アクティブファンド」も豊富です。
インデックスファンドとアクティブファンドを組み合わせることで、当初の予測を超える成果を得られる場合もあります。
また、銘柄によっては100円程度から購入できるため、手元の資金があまり多くない方でも投資できる点も強みです。初めての投資で不安を感じている方でも、投資額を抑えれば損失額を抑えられます。
さらに、投資信託は証券会社だけでなく、銀行や郵便局で購入できる点もメリットです。特に、銀行の場合は行員に質問や相談しながら購入できます。
一方、投資信託には以下のデメリットがあります。
・注文時に値段がわからない(値段を指定できない)
・アクティブファンドの場合、コストや損失が大きくなる場合がある
投資信託は、注文した時点では価格がわからない仕組みになっています。ETFと異なり、好きな値段の指定ができないため、相場に合わせた柔軟な運用ができない点が弱みです。
また、アクティブファンドでは、市場の指標を上回る利益を得ることができる可能性はありますが、ハイリスクな商品もあるため注意が必要です。
続いて、ETFのメリットは以下のとおりです。
・リアルタイムで値動きを把握できる
・好きな値段で売買できる
・運用管理費用が安い
ETFは投資信託と異なり、リアルタイムの価格で売買できます。希望する価格や数量を指定できることから、状況に応じた柔軟な判断で運用成果を上げられるのもメリットです。
また、投資信託とETFは運用を代行するプロに運用管理費用(信託報酬)を払います。運用管理費用は銘柄を保有している間は常に発生するものですが、ETFのほうが安く設定されている傾向にあります。
一方、ETFには以下のデメリットがあります。
・分配金を自動的に再投資することはできない
・購入価格が高い
・購入できる場所は証券会社のみ
投資信託やETFでは、運用で得た利益を分配金として受け取れる仕組みです。投資信託では受け取った分配金を再投資することも選択できるので「複利効果」に期待できます。複利効果とは、投資で得た利益を再投資に回すことで、利益が利益を生み、資産が膨れ上がっていく効果のことです。
しかし、ETFでは自動的に分配金を再投資する仕組みはなく、現金で都度分配金が支払われます。また、ETFの最低購入価格は「価格×取引単位」で計算されます。ETFの銘柄ごとに設定されているため、価格や取引単位が高い場合は、まとまった資金を準備しなければいけません。
ほかにも、ETFは証券会社でしか売買できないため、投資信託よりも相談できる窓口が減ります。

投資信託またはETFを始める前に、自分にどちらが向いているのかをチェックしておきましょう。投資信託とETF、それぞれ向いているタイプの特徴を紹介します。
投資信託がおすすめな方の特徴は、以下のとおりです。
・投資の初心者
・長期的に積立投資をしたい方
・NISAやiDeCoを活用したい方
投資信託は最低100円から始められるため、投資が初めての方や経験の浅い方でも、あまり不安にならずに取り組めます。
また、毎月決まった額を積み立てながらじっくり運用したい方にもおすすめです。積立額が少なくても、長い目で見れば利益が膨らむことも期待できます。
さらに、投資信託はNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)に対応している金融商品です。通常、投資で得た利益に対しては20.315%の税金がかかります。しかし、NISAやiDeCoを使って運用をすると、運用で得られた利益に税金がかかりません。
続いて、ETFがおすすめな方の特徴を紹介します。
・コストを抑えて投資したい方
・好きなタイミングで売買したい方
ETFは、プロに支払う運用管理費用が投資信託よりも安いのが特徴です。コストを抑えられる分、手取りで得られる金額が増えるため、なるべく利益を大きくしたい方に向いています。
また、ETFは取引時間内であればいつでもリアルタイムで売買できるため、好きなタイミングや値段で取引したい方にもおすすめです。
投資信託やETFは、初心者でも始められる投資です。両方の違いを理解すると、未経験から投資に取り組む際にも役立ちます。それぞれの強みや弱みを知っていれば、状況に応じて上手に活用できるでしょう。
今後、投資信託やETFから投資を始める際は、ぜひ本記事で触れた両方の違いや強み・弱みを理解し、有効に活かしましょう。
記事公開日:2024年12月24日
記事更新日:2026年8月12日