プロフィール

総合保険代理店で個人を対象とした家計相談やライフプランニングを約10年経験。2021年以降は金融専門ライターとして複数メディアで活動しており、大手証券会社・保険会社や大手金融メディアでの豊富な執筆実績をもつ。 暗号資産や投資信託、国内株式などによる資産運用も積極的に行っている。
投資信託は、少額から始められる魅力的な投資方法です。しかし、初めて購入する際に「どうやって買えばいいの?」と迷ってしまう方も多いでしょう。
本記事では、投資信託の選び方から実際の購入手順、購入後の管理まで、わかりやすく解説します。初心者がやってしまいがちなミスとその回避策も紹介するので、リスクを抑えながら投資を始めましょう。
投資信託を購入する前に、準備しておくべき項目があります。以下では、重要なポイントを4つに絞って説明します。
まずは、自分の投資目的を明らかにするところから始めましょう。「老後の資金づくり」や「住宅購入の頭金準備」など、具体的な目標を設定してみてください。目標が明確であればあるほど、適切な投資信託を選びやすくなります。
また、自分のリスク許容度を理解することも大切です。リスク許容度とは、自分がどの程度のリスクを受け入れられるかを意味します。「損失が出ても耐えられる」というリスク許容度の高い方なら、高リスクの商品を選ぶのもいいでしょう。反対に「投資したお金が減るのはイヤ」というリスク許容度の低い方は、安定した運用が期待できる低リスクの商品を選ぶのが良いでしょう。
投資信託とは、複数の投資家から集めたお金を1つの大きな資金としてまとめ、さまざまな銘柄や商品に分散して投資する商品です。
運用はファンドマネージャー(資産運用のプロ)が行い、投資家は運用成果に応じた分配金を受け取ります。分配金とは、運用の結果として発生した利益の一部を、投資家に還元する仕組みのことです。
投資信託は投資先や運用方法によって以下のように分類されます。
投資信託を購入するためには、証券会社で口座を開設しなければなりません。
未開設の方は、証券会社を選んで口座を開設しましょう。証券会社によってはスマホだけで口座開設できるケースや、申込当日に手続きが完了するケースもあります。
口座を開設したら、投資資金を準備して口座に入金しましょう。投資は、余裕資金で行うのが基本です。最低限、生活費の3〜6か月分程度は急な出費や収入減少に備えて確保しておきましょう。その上で、残りのお金から投資資金を準備します。初めての投資では、準備した資金の20%程度から始めるのがおすすめです。例えば、50万円の投資資金を用意できたなら、まずは10万円程度で投資を始め、徐々に経験を積みながら投資額を増やしていくとよいでしょう。
準備が整ったら、いよいよ投資信託の購入です。
証券口座を開設したら、証券会社のウェブサイトやアプリでユーザー登録を行います。登録時に設定したユーザーIDとパスワードを使ってログインしましょう。ユーザーIDとパスワードを入力し、必要に応じて二段階認証を行います。
ログイン後、メニューから「投資信託」や「ファンド」などの項目を選択します。
次に、投資信託を探してみましょう。検索機能を利用すれば、比較的容易に目指す商品ページに到達できます。
1.検索機能を使って候補を絞り込む
検索機能を使えば、名称がわからなくても商品の絞り込みが可能です。例えば、以下のような条件を指定できます。
・投資対象(国内株式、海外株式、債券など)
・取引種別(NISA、iDeCo、積立など)
・信託報酬(手数料)
・リスク・リターン(利益)の特性やレーティング(星の数による評価)
2.投資信託の詳しい情報を確認する
投資信託を絞り込んだら、その商品の詳しい情報を確認します。主に、以下の点に注目しましょう。
・運用方針:投資信託の目的と投資対象が自分の投資目的に合っているか
・過去の運用実績:過去のパフォーマンスやリターン実績はどうか、運用成績は安定しているか
・分配金:分配が安定しているか(分配金の履歴や頻度の確認)
・費用:購入時、保有中、売却時に手数料はいくらかかるか
併せて、似たような特性を持つ、ほかの投資信託と比較することも重要です。パフォーマンスや手数料を比べて、自分に合った商品を選びましょう。
3.目論見書を読む
投資信託には、必ず「目論見書(もくろみしょ)」という詳細な説明書が用意されています。商品の特徴やリスク、費用などが詳しく記載されているため、購入前には必ず目を通しましょう。
4.自分に合った投資信託を選ぶ
最後に、改めて「自分の投資目標やリスク許容度に合った投資信託か」を確認します。その上で、投資対象を決定しましょう。
投資信託を決めたら、以下の手順で購入してみましょう。
1. ページにある「購入」「買付」または「積立」などのボタンをクリック
購入の方法には「通常買付(基準価額で購入する方法)」と「積立買付(定期的に一定金額を購入する方法)」があります。一度にまとまった金額を投資したい場合は通常買付、少額から始めて徐々に資産を増やしたい場合は積立買付がおすすめです。
2. 購入金額または口数(くちすう:投資信託を取引する際の単位)を入力
投資信託は通常「金額指定」か「口数指定」で購入できます。初心者の場合は、口数指定ではなく、決まった予算の範囲内で購入できる金額指定がおすすめです。例えば、3万円の予算で購入する場合、金額指定なら「3万円」と入力するだけです。一方、口数指定の場合は、投資信託の現在の価格(1口あたりの値段)を確認し、それを3万円で割って購入できる口数を計算する必要があります。
なお、最低購入金額は通常1万円程度からですが、投資信託によって異なります。
3. 口座区分(預かり区分)を選択
「一般口座」「特定口座」「NISA口座」から取引口座を選択しましょう。
4. 分配金の受け取り方法を選択
分配金を「再投資」するか、現金で「受け取る」かを選びましょう。「再投資」を選択すると、分配金は自動的に新たな買付に回されます。「受け取る」を選ぶと、分配金が口座に振り込まれます。
5. 注文内容を確認し、発注する
6. 約定を確認する
投資信託は、基本的に15時までの注文であれば当日が申込日、それ以降の注文は翌営業日が申込日になります。実際に取引が成立(約定)するのは、申込日と同日または翌営業日です。約定のタイミングは、投資信託によって異なるため注意しましょう。
また、約定日の基準価額(投資信託の値段)が購入価格になるので、値動きが激しい場合は想定外の価格で注文が成立する可能性もあります。注文が約定しているか、いくらで買えたかを確認しておくことが大切です。
投資信託を購入したら、適切に管理することが重要です。続いて、購入後の管理に必要なステップと注意点を説明します。
投資信託のなかには、運用で得た利益の一部を分配金として投資家に還元するものがあります。投資信託の分配金は、以下の2つの方法で受け取れます。
・現金で受け取る:分配金を現金で受け取る方法。生活費の一部として使いたい場合などに適している
・再投資する:分配金を使って、同じ投資信託を自動的に買い増しする方法。複利効果による資産の増加が狙える
ただし、すべての投資信託が分配金を支払うわけではなく、分配金を支払わない投資信託もあります。その場合は、得た利益を再投資することで、全体の価値増加を目指します。
分配金の受け取りに関する設定および変更は、証券会社のサイト上で行えます。
投資信託で得た利益には、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。課税は、主に以下の2種類があります。
・分配金(普通分配金)を受け取ったとき、その分配金に対して税金がかかる
・投資信託を売却して利益が出たとき、その利益に対して税金がかかる
取引した口座が「一般口座」または「特定口座(源泉徴収なし)」なら、原則確定申告が必要です。
一方「特定口座(源泉徴収あり)」を選択した場合や、税制優遇制度(NISAやiDeCo)を利用した場合は、基本的に確定申告は不要です。
ただし、例外もあるため必要に応じて税務署や税理士に相談し、必ず自分の状況に合わせた処理をしてください。特に、大きな利益が出た場合や複数の証券会社を利用している場合は、注意が必要です。
投資信託を購入した後は、定期的にパフォーマンス(投資の成果)を評価しましょう。
・パフォーマンスの確認:証券会社のウェブサイトまたはアプリで、購入時からの値上がり(または値下がり)の程度や、受け取った分配金の金額などを確認する
・目標との比較:自分の投資目標と現在のパフォーマンスを比較し、目標に向かって進んでいるかを確認する
・投資目的や方法の見直し:生活状況の変化(結婚、出産、転職など)に応じて、投資の目的や方法を再検討する。
パフォーマンスが著しく悪い場合や、目標やライフステージとの大きなズレが生じた場合は、投資方法の見直しも検討しましょう。
投資信託を購入するのは、難しいことではありません。しかし、準備不足のまま購入すると、ミスや見落としが発生しがちです。
以下に、初心者によくありがちな失敗を整理します。
商品名やランキングだけで判断し、商品の設計やリスクの程度を理解せず購入するのは、ありがちな失敗です。必ず目論見書を読み、商品の特徴やリスク、費用などを十分に理解してから購入しましょう。
購入時手数料や信託報酬(運用管理費用)を確認せずに購入し、後でコスト負担が大きいことに気づくのも、よくあるミスです。購入前に、すべての手数料を確認し、同じような商品の場合は手数料の低い商品を選びましょう。
基準価額の仕組みを理解せずに投資信託を購入し「想定と違う価格だった」と驚くのは、初心者によくある見落としです。
投資信託では、当日の基準価額(投資信託1口あたりの評価額)がいくらになるか、わからない状態で注文を出す「ブラインド方式」が採用されています。
そのため「想定と違う価格」での購入は避けられません。
投資信託はどちらかといえば長期的な投資に向いている商品のため、短期的な値動きを気にしすぎないほうが、いい結果につながる可能性があります。
投資信託を購入する際には「金額指定」と「口数指定」の2つの方法があります。
この違いを意識せず「10万円分」を購入しようとして「10万口」を注文すると、想定した投資金額と異なる場合があります。例えば、基準価額が16,000円(1万口あたり)のときの10万口は16万円となり、予算を6万円もオーバーしてしまうのです。
2つの違いを踏まえ、発注画面に表示される注意事項をすべて確認した上で、慎重に注文を確定しましょう。
外貨建て投資信託を購入する際、為替変動のリスクを考慮しないことも、よくあるミスの一つです。
外貨建て投資信託とは、外国の資産(株式や債券など)を投資対象とし、その運用や価値が外国通貨(例えば、米ドルやユーロ)に基づく投資信託のことです。これらの投資信託には、基本的に為替変動リスクが伴います。
「米国株を対象とする投資信託を日本円で購入した」という場合なら、購入は日本円で行われますが、実際の運用は円をドルに換えて行われます。その結果、円を基準にした投資の価値は、資産価値の変動だけでなく、円とドルの交換レート(為替レート)の変動にも影響されることになるのです。
例えば、1ドル=100円の時に10,000円(100ドル相当)で購入した外国投資信託があるとします。投資信託自体の価値が変わらなくても、1ドル=90円に為替が変動すれば、円換算での価値は9,000円に下がってしまいます。逆に1ドル=110円になれば、11,000円に上がります。
投資信託は、少額から資産形成を始めたい方に向いている商品です。
購入手続きはシンプルですが、投資信託の仕組みや価格の決定方法を理解しておかないと「こんなはずじゃなかった」という事態になりかねません。
正しい知識と慎重な姿勢で投資信託を購入すれば、目標達成への基盤となるでしょう。準備をしっかり整えて、資産形成の新たな一歩を踏み出してください。