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ファンダメンタルズ分析の基本! 項目や指標の見方を解説

株式投資を始めた方の中には「ファンダメンタルズ分析に興味があるけど、難しそうでなかなか学習を進められない」という方もいるのではないでしょうか。

ファンダメンタルズ分析は、経済や財務状況などから成長性や将来性、事業の安定性などを分析する方法です。どの株で取引するか選ぶ際は、特にファンダメンタルズ分析の情報が役立ちます。

本記事では、株式投資で重要なファンダメンタルズ分析の意味や、各指標の見方について解説します。

ファンダメンタルズ分析って何?

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株式投資におけるファンダメンタルズ分析は、企業の財務状況や業績などを調べ、株の価値を分析する方法です。主に、購入する株を比較検討する際に活用されています。

ファンダメンタルズ分析に必要な情報は、会社四季報や決算短信、有価証券報告書などから確認することが可能です。また、各ネット証券でも分析に活用できる情報が提供されているため、比較的スムーズに始められます。

ファンダメンタルズ分析と同じく、投資の際によく用いられているのがテクニカル分析です。テクニカル分析はファンダメンタルズ分析と異なり、株価チャートをベースにした分析方法で売買タイミングを見極めるときに活用されます。分析の目的に違いがあるため、混同しないよう気を付けましょう。


ファンダメンタルズ分析では決算書を見よう!

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ファンダメンタルズ分析では、決算書(財務諸表)に記載されている情報から株の価値を見極めていきます。決算書の中でも貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つが、基本的な分析に必要とされています。

まずは、ファンダメンタルズ分析に必要な項目が示されている決算書の見方を確認していきましょう。


決算で見るべき基本的な項目

ファンダメンタルズ分析を行うにあたり、決算書に記載されている項目を理解しておく必要があります。基本的な項目は、売上高、経常利益、営業利益、当期純利益の4つです。

・売上高
事業活動によって得た金額で、主に企業の規模を判断する際に確認しておくべき項目といえます。

・営業利益
営業利益は、売上高から人件費や仕入れ、その他の費用を差し引いた金額です。営業利益を確認することで、売上の確保や業務改善が効率的に行われているかを判断できます。

・経常利益
営業利益に営業外利益(本業以外の収益)を加えた金額から営業外費用(本業以外の事業で発生した費用)を差し引いた金額です。営業利益より経常利益のほうが大きい場合は、注意が必要な状況といえます。

・当期純利益
税引前当期利益(経常利益 + 特別利益(本業以外で得た利益で固定資産の売却益など継続的に得られない利益のこと) − 特別損失(災害による損失など突発的な事象で生じた損失のこと))から法人税などの税金を差し引いた金額で、最終的な利益を示しています。


貸借対照表で企業の安定性を分析する

決算書の貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)は、ある期間の資産や負債などの情報が記載された資料を指します。基本的な項目は、資産、負債、純資産の3つです。

資産とは、企業の持っている設備や土地、資金などのことです。負債は返済義務が生じているもの(融資など)を指し、純資産は総資産から負債を差し引いた返済義務のない資産を示しています。

また、貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)では、自己資本比率、流動比率、当座比率、固定比率、定長期適合率といった項目も確認しておきましょう。

自己資本比率は、自己資本(純資産)の割合を示した項目で、安定性を見極める際に役立ちます。短期的な事業の安定性を調べたいときは、流動比率や当座比率から分析可能です。固定比率と定長期適合率は、長期的な事業の安定性を調べる際に活用できます。

経営が安定しているかどうか判断したいときは、資産、負債、純資産の金額や比率を見ていきましょう


損益計算書で収益がどれくらいなのか見る

決算書の損益計算書は企業の年間収益と損失を示したもので、収益性から優良企業かどうか判断する際に役立ちます。

記載されている主な項目は、売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高販管費率、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)などです。これらの項目から、売上に対する費用の割合や収益性の高さを分析できます。

例えば、売上高営業利益率は、営業利益を売上高で割った数値です。5%以上の数値を維持していれば、収益性は優良といえます。売上高経常利益率は、経常利益を売上高で割った数値です。売上高営業利益率と同じく、数値が高いほど高い収益性を示しています。

売上高販管費率は売上に対する費用の割合を示したもので、値が低ければ低いほど収益性を評価できます


キャッシュフロー計算書で現金の流れを見る

キャッシュフロー計算書には、現金の借入や返済状況、設備投資など、事業に必要な現金の流れが示されています。

損益計算書で高収益を示していたとしても、資金の回収状況などに問題があれば黒字倒産の可能性もあるでしょう。キャッシュフロー計算書を分析すれば、現金の細かな流れを把握できるだけでなく、企業の成長性や安定性を調べることが可能です。

キャッシュフロー計算書を分析する際は、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローの3点を見ていきましょう。

・営業キャッシュフロー
本業(中心事業)によってどれだけ現金を獲得できたのかを示したものです。数値がプラスであるほど、経営の安定性を評価できます。

・投資キャッシュフロー
投資活動に関する現金の流れを示したものです。投資活動によって得られた収入よりも支出が上回ればマイナスの数値、収入が支出を上回ればプラスの数値となります。将来に向けて積極的に投資している場合はマイナスの数値になる傾向にあるなど、マイナスだから問題があるというわけではありません。

・財務キャッシュフロー
現金の借入や資金調達状況を示したものです。数値がプラスであれば積極的に資金調達を行っている状況、マイナスであれば返済や配当金(株主に分配される企業の利益の一部)の支払いが多い傾向といえます。返済が滞ってなければ、問題ありません。


ファンダメンタルズ分析に欠かせない代表的な指標を解説

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ファンダメンタルズ分析では、総資産利益率(ROA)や株価収益率(PER)といった指標を用いて分析していきます。しかし、指標の種類は非常に多いため、1度にすべてを覚えるのは難しいといえます。まずはファンダメンタルズ分析に欠かせない代表的な指標から少しずつ理解し、使い方を覚えていきましょう


株価の割安・割高を判断するための指標:株価収益率(PER)

株価収益率(PER)は、当期純利益に対して1株当たりの株価が何倍かを示したものです。

「株価 ÷ 1株当たり当期純利益」で算出され、数値が低いほど株価は割安、高いほど割高の可能性があります。

ただし、数値の基準は業種などによって異なるため、同業種の株価収益率(PER)と比較しながら調べることが大切です。


株価の割安・割高を判断するための指標:株価純資産倍率(PBR)

株価純資産倍率(PBR)は、企業が解散した場合、1株当たりいくらもらえるのか示した指標です。また、現在の株価が理論上の金額に対して何倍程度の水準かを表したものでもあります。

計算式は「株価 ÷ 1株当たり純資産」です。

株価収益率(PER)と同じく、株価が割安・割高、どちらの傾向なのか調べる際に役立ちます。一般的には、株価純資産倍率(PBR)が1倍以下であれば割安と判断できます。


自己資本に対する利益を判断するための指標:自己資本利益率(ROE)

自己資本利益率(ROE)は、株主から調達した資金で利益をどれだけ生み出せているのか示した指標です。

「当期純利益 ÷ 自己資本」で算出されます。

数値が高いほど、効率的に利益を生み出しているといえます。一般的に優良と判断される基準は、10%以上です。ただし、負債が大きいと効率的に利益を生み出しているように見えるケースがあるため、ほかの指標と併せて判断しましょう。


純資産に対する利益を判断するための指標:総資産利益率(ROA)

総資産利益率(ROA)は、総資産(負債を含めた資産)をどれだけ効率的に活用しながら利益を生み出しているのかを示した指標です。

「当期純利益 ÷ 総資産」で求められ、一般的には5%を超えていれば優良と判断されます。

ただし、業種によって資産の量や内容が大きく異なるため、5%より低い状態でも安定している事例もあります。そのため、総資産利益率(ROA)を調べる際は、業種ごとの平均を見ることが大切です。


株価の割安・割高を判断する際にも用いられる指標:配当利回り

配当利回りは投資金額に対する配当金額を%で示したもので、株価の割安・割高を分析する際に活用されます。

計算式は「1株当たり年間配当金額 ÷ 株価」です。

数値が高ければ割安、低ければ割高の傾向として判断できます


企業規模から安定性を判断するための指標:時価総額

時価総額は企業の規模を示した指標で、企業価値や安定性を判断する際に活用されます。

「株価 × 発行済株式総数」で算出されます。

一般的に、時価総額の大きな企業は事業の安定性が評価できるため、売上・利益などで企業の規模や価値を比較できない場合は、時価総額から確認してみましょう


ファンダメンタルズ分析のやり方

ファンダメンタルズ分析は各企業の経営状況だけでなく、業界全体の動きや資金の流れについても把握することが可能です。業界を分析すれば、短期的・長期的な投資に適している市場なのか、成長している市場なのかなど、どのような特徴を持っているのか理解できます

ファンダメンタルズ分析を行う際は、以下の4つの観点を軸に進めていくことが大切です。


企業の安定性を見る

株を選ぶ際は、企業の安定性を見ることが必要です。企業の安定性は、以下の3つの指標から分析できます。

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・自己資本比率
自己資本(自分で調達した返済義務のない資金)が、自社の全資本のうちどの程度あるのか示したものです。自己資本比率の目安は業種によって異なり、設備投資の少ない業種であれば比率は高くなります。反対に、在庫や設備の多い業種は、15%以上の自己資本比率で推移しています。

・営業キャッシュフロー・財務キャッシュフロー
営業キャッシュフローは本業(中心事業))の収支を示したもので、数値がプラスであれば順調に事業が推移していると判断できます。また、財務キャッシュフローは借入などによる資金調達と返済の金額を示したものです。プラスであれば資金調達量の増加、マイナスであれば返済額のほうが多い状況です。

・流動比率
流動資産(普通預金など、すぐに現金化できる資産)と、流動負債(短期借入金など、すぐに返済しなければいけない負債)の比率(バランス)を表したものです。

資金繰りや資産、収益面で安定していない状態は株価の下落を招く可能性があり、投資家にとって大きな問題です。そのため、ファンダメンタルズ分析を行う際は、経営の安定性を判断しておきましょう


企業の収益性を見る

以下の4つの指標を組み合わせながら分析することで、どれだけ利益を得る力があるのか確認できます。

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・売上高営業利益率
本業(中心事業)の売上高から、どれだけ営業利益を確保できているのか示す指標です。数値が高いほど、利益をより多く獲得しているといえます。

・売上高経常利益率
売上高に対し、経常利益が占める割合を示す指標です。本業(中心事業)以外の売上高も含めた営業利益から、一時的に生じた利益・損失などを除いているため、企業の収益性を見極める際に役立ちます。

・総資産利益率(ROA)
企業の全資産からどれだけの利益を獲得しているのか示す指標で、効率的に利益を生み出しているか判断する際に役立ちます。

・自己資本利益率(ROE)
資本のうち自己資本で獲得した利益の割合を示す指標です。数値が高いほど、効率的に資本を活用しながら経営を行っていると判断できます。

収益性から株価の伸びしろを判断することが可能です。企業の収益性が高ければ収益増加なども見込めるため、株価に影響を与える可能性があります。


企業の成長性を見る

投資活動における資金の流れを示すキャッシュフローは、資産の売却を積極的に行っている場合はプラス、投資を積極的に行っている場合はマイナスの数値で表されます。そのため、マイナスの数値は投資活動という点で成長性を期待できる状態です。具体的には、以下の指標を確認しましょう。

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・財務キャッシュフロー・投資キャッシュフロー
2つのキャッシュフローを組み合わせることで、設備投資のために借入を増やしているのかどうか確認できます。設備投資のために借入を増やしている状態であれば、事業の成長を期待できるため要注目です。

・1株当たり純資産(BPS)
純資産(返済義務のない資産)を発行済株式総数で割った数値のことです。株主が企業の解散時にどれだけの金額を受け取れるかを表したもので、ファンダメンタルズ分析で役立ちます。例えば、時系列で1株当たり純資産を見た場合、数値が増えていれば利益も増えている=成長していると判断できます

・1株当たり純利益(EPS)
当期純利益(1年間の事業活動で得た利益)を発行済株式総数で割った数値を指します。1株当たり純資産(BPS)と同じく、時系列ごとに比較することで、1株当たりの利益が増減しているのか分析できるのが大きな特徴です。

・総資本増加率
総資本の伸びを示したもので、前期より当期の数値が多ければ、企業の規模は拡大傾向といえます。反対に、当期の数値が減少していれば、企業規模は縮小している可能性もあります。

さらに、1株当たり純資産(BPS)や1株当たり純利益(EPS)、総資本増加率を併せて見ることで、事業の成長性に関する情報を補完できます。


株価が割安・割高なのか見る

企業の安定性や成長性、収益性を確認した後は、以下の指標をもとに現時点で割安な状態なのか見ておきましょう。

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・配当利回り
1株に対する年間の配当金を割合で表した指標です。配当金額に対して株価が低くなれば配当利回りは上がるため、割安な株として判断できる可能性もあります。反対に、株価が高くなると配当利回りは下がり、割高な傾向として捉えられます。

・株価収益率(PER)
1株当たりの純利益に対して、株価が何倍なのか示した指標です。株価の割安・割高感を分析する際に用いられています。

・株価純資産倍率(PBR)
1株当たりの純資産に対し、株価が何倍なのか示した指標です。1倍を基準として割安・割高感を分析し、1倍を超えている銘柄は割高、1倍未満であれば割安な可能性があるため、確認しておきましょう。

株価収益率(PER)の標準的な数値は、一般的に15%とされています。つまり、10倍や8倍といった場合は割安の傾向です。また、配当利回りについては4%を超えると割安とされています。

ただし、株価収益率(PER)や配当利回りの目安は業種や企業によって異なるため、各業種や業界の平均を調べておくことが必要です。


ファンダメンタルズ分析で銘柄選びを行おう!

ファンダメンタルズ分析は、企業の価値を調べる際に活用される分析方法で、どの株で取引を行うか選ぶ際に役立ちます。分析には、決算書にある損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書が必要です。また、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)といった指標を用いながら分析を行うため、それぞれの意味や見方を理解しておくことも大切です。

投資をこれから始める方は、ファンダメンタルズ分析の意味や指標の見方を調べ、ご自身の方針に合う株を選びましょう。

  • プロフィール

    菊地 祥(きくち しょう)のプロフィール画像

    菊地 祥(きくち しょう)

    FP3級技能士、フリーライター

    個人事業主としてWebライター・Webディレクター・Webデザイン業務を行う。 Webライターとしては、クレジットカードの比較解説や保険の解説、株式投資や投資信託の経験を活かした投資関連の記事執筆なども行う。 投資初心者の方に向けたやさしい解説を心がけている。

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