プロフィール

総合保険代理店で個人を対象とした家計相談やライフプランニングを約10年経験。2021年以降は金融専門ライターとして複数メディアで活動しており、大手証券会社・保険会社や大手金融メディアでの豊富な執筆実績をもつ。 暗号資産や投資信託、国内株式などによる資産運用も積極的に行っている。
株価に影響を及ぼす要因は、景気動向や為替、国際情勢など多岐にわたります。金利は、株価を動かす重要な要素のひとつです。金利と株価は密接な関係にあり、金利がどう動くかで株価も変わります。そのため、株式投資を始める際には金利動向にも目を向けることが必要です。本記事では、金利と株価の関係や金利を動かす要因、確認方法などについて解説します。

金利とは、お金を貸し借りする際に発生する利息(または利子)の割合のことです。金利は「短期金利」と「長期金利」の2つに分けられます。
・短期金利:1年未満のお金の貸し借りで用いられる金利。金融機関同士の取引に適用される「無担保コール翌日物金利」(金融機関同士において無担保で資金を借り、翌日に返済する取引のこと)を指すのが一般的で、各国の中央銀行(日本銀行など)がコントロールしています(政策金利とも呼ばれます)。
・長期金利:1年以上のお金の貸し借りで用いられる金利。国が発行する債券のうち、満期期間が10年間の債券である「10年物国債」の利回りを指すのが一般的です。
一般的に金利と株価の関係は互いに逆を示す「逆相関」といわれ、金利が下がれば株価は上がり、金利が上がれば株価は下がります。以下で、逆相関の関係になる理由と、その背景を解説していきます。
金利が下がると、一般的に株価は上昇する傾向にあります。その理由について、企業側と投資家側の2つの視点で考えてみましょう。
企業側は金利が下がると支払う利息が減るため、お金を借りて事業を拡大しやすくなります。事業を拡大することで売上や利益が増え、業績が伸びて株価が上がりやすくなるわけです。
一方、投資家側からすれば、金利が下がると預貯金の利子が下がります。「利子が少ないなら株式に投資しよう」と考える投資家が増えるため、株式に資金が流れやすくなり、株価が上がりやすくなるのです。
このような流れから、一般的には金利が下がると株価は上昇するといわれています。
反対に、金利が上がると株価は下落する傾向にあります。同様に、その理由を企業側と投資家側の視点で考えてみましょう。
企業側としては金利が上がると支払う利息が増えるため、事業の拡大に必要なお金を借りにくくなります。事業の拡大が停滞することで売上や利益が減り、株価が下がりやすくなるのです。
一方、投資家目線で考えると、金利が上がると預貯金の利子も上がるため、リスクを取ってまで株式に投資する必要がなくなります。株を買う投資家が少なくなり、結果的に株価の下落につながるというわけです。

株価に大きな影響を及ぼす金利は、どのような要因で上下するのでしょうか。
金利は需要と供給により変動します。人気の商品は価格が上がり、逆に不人気の商品は価格が下がる傾向にあるのは、金利も同じです。
・供給量に対して資金の借り手が多いとき(資金需要が多い)→金利が上昇する
・供給量に対して資金の借り手が少ないとき(資金需要が少ない)→金利が下落する
この前提を踏まえ、以下で金利変動の3つの要因を解説します。
景気が良ければ金利も上昇し、逆に景気が悪ければ金利も下がる傾向にあります。
景気が良いときは、個人消費が活発なときです。企業はより多くのサービス・製品を売ろうと、設備投資の拡大を考えます。そのため、資金需要が増加し、金利の上昇につながりやすくなります。
逆に、不景気のときは個人消費も控えめになります。企業は設備投資に対する意欲が減退し、資金需要が低下する、つまり、お金を借りたい企業が少なくなるため、金利が下がりやすくなるのです。
景気と同様、物価が上がれば金利も上がり、逆に物価が下がれば金利も下がる傾向にあります。物価が上昇するということは、同じお金で買えるものが少なくなる(お金の価値が下がる)ということです。
物価が上昇傾向にあると、消費者は「お金の価値が下がってしまう前に、早くモノやサービスを購入したほうが得だ」と考え、お金を多く使うようになります。金融機関はお金の流出を防ごうと高い金利を設定するため、金利が上昇する場合があり、これも金利が変動する要因のひとつです。
逆に、物価が下落傾向にあがると消費者は「なるべく現金を使わずに持っておき、時間がたってからモノやサービスを購入したほうが得だ」と考えます。消費活動の低迷が資金需要の低迷につながり、金利も下がりやすくなります。
為替(ある国の通貨とある国の通貨の交換比率)も、金利に影響を及ぼす要因です。円安とは、他国の通貨に対して円が安くなる、つまり円の価値が低下することを指し、円高は他国の通貨に対して円が高くなる、つまり円の価値が高くなることを意味します。
例えば、今後「円安ドル高」を見込む人が増えれば、ドル建ての預貯金や投資商品を購入する動きが盛んになるでしょう。国内の円建ての預貯金などが減少し、市場に出回る円の資金量が少なくなることで、その少ない資金を巡って借り手同士が競争を行うようになる(資金需要が高まる)ため、金利が上がりやすくなります。
逆に、例えば「円高ドル安」を予想する投資家が増えれば、円を買ってドルを売る動きが強まるでしょう。この場合は円の資金供給が潤沢になるため、金利が下がりやすくなります。

冒頭で触れたとおり、金利は「短期金利」と「長期金利」の2種類に分けられます。どちらの金利も、インターネットで簡単に調べることができます。
※金利の調べ方
・短期金利:「日本 政策金利」と検索し、各金融機関のサイトで確認可能。
・長期金利:「10年物国債の利回り」と検索し、各金融機関のサイトで確認可能。
特に長期金利に対して短期金利がどの程度の水準にあるかをチェックしておくとよいでしょう。一般的に短期金利が長期金利を上回る場合、景気後退や株価が横ばいになるサインと言われているためです。短期金利が変動する際にはニュースでも報道されるため、比較的情報収集しやすいです。
金利と株価には密接な関係があり、金利は投資をするうえで切っても切れない関係といえるでしょう。また、金利を切り口にすることで、株価や景気の良し悪し、為替など経済にまつわるさまざまな事象が見えてきます。
金利を随時チェックして経済を俯瞰することで、多角的な視点で投資を楽しむことができようになるので、投資初心者の方はぜひチェックしてみてください。