プロフィール

総合保険代理店で個人を対象とした家計相談やライフプランニングを約10年経験。2021年以降は金融専門ライターとして複数メディアで活動しており、大手証券会社・保険会社や大手金融メディアでの豊富な執筆実績をもつ。 暗号資産や投資信託、国内株式などによる資産運用も積極的に行っている。
株式投資で利益を得る方法として、株価が上昇したときに売却して得られる値上がり益(キャピタルゲイン)と、株式を長期保有して得られる配当金(インカムゲイン)があります。
株価の値上がり益を得るためには、今後、株価がどのように変化(上昇または下落)するかを予測することが大切です。この株価の変化を決める要因のひとつが「企業業績」であり、株式投資をする際には投資対象の企業業績を把握しておく必要があります。
本記事では、企業業績の定義や確認方法を初心者の方にもわかりやすく解説します。株式投資をこれから始めようとしている方に役立つ情報ですので、ぜひ最後までお読みください。
上場企業は四半期(3か月)に一度、投資家に向けて会社の業績を開示します。開示される内容のうち、株式投資において特に重要なのが以下の4点です。
・経営成績
・財務状況
・キャッシュフロー状況
・業績予想
それぞれ株式投資をする上で、どのように役立つのか見ていきましょう。
損益計算書とは、一定期間における企業の収益や費用などをまとめた書類です。企業の収益性や成長性などをさまざまな角度から確認できるので、投資先を判断するのに役立ちます。
「損益計算書」の中の売上高・営業利益・当期純利益を調べることで、大まかな経営成績がわかります。
損益計算書には、売上高・営業利益・当期純利益以外にも、売上総利益・経常利益・税引前当期純利益などの情報も記載されています。それぞれの項目の定義は、以下のとおりです。
・売上高
企業がサービスや商品を売り上げることで得た売上金額の総額。
・売上総利益
「粗利益」とも呼ばれ、売上高から売上原価(売れた商品の仕入れや製造にかかった費用)が差し引かれた利益。
・営業利益
売上総利益から売上原価を除くコスト(販売費および一般管理費)を差し引いた利益。販売費は営業活動や広告宣伝費用、一般管理費は総務・経理といった間接部門によってかかる費用を指す。
・経常利益
企業が事業全体で定期的に得た利益を表し、本業で稼いだ利益である「営業利益」と「それ以外の業務で得た利益(営業外収益)」を足し、本業以外にかかった費用(営業外費用)を差し引いた金額。
・税引前当期純利益
法人税などの税金を支払う前の利益。経常利益に特別利益(固定資産の売却益など、一時的に発生した利益)を加算し、特別損失(災害による損失など、一時的に発生した損失)を差し引いた金額。
・当期純利益
当期の企業の活動で、どれくらいの利益が出たのかを表すもので、税引前当期純利益から法人税、住民税、事業税を差し引いた金額。
貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)とは、一定期間の企業の資産や負債金額、純資産に関する情報が記載された書類です。純資産とは、企業が所有する資産の総額から負債の総額を差し引いたもので、企業の実質的な経済的価値を表します。
代表的な記載項目には、以下のものがあります。
【資産】
・現金・預貯金
現金は硬貨・紙幣などの貨幣、預金は普通・当座預金口座の預金額
・売掛金
提供している商品またはサービスの代金を後払いにする際の未収金
・有価証券
国債や社債など、現金に替えられる証券
・有形固定資産
土地・建物・機械装置など、形のある固定資産
・無形固定資産
ソフトウエアや商標権など、形のない固定資産
【負債】
・買掛金
代金を後払いで仕入れた際に発生する未払金
・支払手形
代金の支払いのために振り出した約束手形
【純資産】
・資本金
経営者の自己資金や株主が会社に出資したお金
キャッシュフローとは「企業におけるキャッシュ(お金)の流れ(フロー)」のことで、それをまとめたものがキャッシュフロー計算書です。
キャッシュフロー計算書には、対象とする資金の流れによって、以下の3つがあります。
・営業キャッシュフロー:会社の営業活動に関する資金の流れを表したもの
・投資キャッシュフロー:会社の投資活動に関する資金の流れを表したもの
・財務キャッシュフロー:会社の財務活動に関する資金の流れを表したもの
企業間での取引においては、一般的に掛取引(売掛・買掛)が行われているため、帳簿上の資金と手元資金の入出金にはタイムラグが発生します。損益計算書上は黒字となっていても、実際はまだ取引先から未入金であり、手元資金が不足しているという場合も考えられます。
企業の経営成績を正しく把握するためには、貸借対照表・損益計算書とともに、キャッシュフロー計算書の確認も必要です。これらは、株式における投資判断に役立つ重要な書類となります。
決算短信とは、企業の決算発表の内容をまとめた書類のことです。決算後、1~2カ月後に証券取引所やメディアに発表されます。
正式な決算発表ではないため推測の部分も含まれていますが、株式投資を行う際の重要な参考資料のひとつとなっています。日本は3月決算の企業が多いため、決算短信が発表される4月下旬~5月にかけては、決算短信に記された業績予想によって株価が動く可能性もあります。
なお、決算短信はYahoo!ファイナンスの「適時開示」からも確認できます。
(参照)Yahoo!ファイナンス

企業業績で投資家がチェックしておくべき点は、以下の3つです。
・前年同期および前四半期との伸び率
・業績見通しの修正
・投資判断の材料となる適切な情報を提供する専門家(アナリスト)の予想との差異
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
売上高・営業利益・経常利益・当期純利益といった企業業績が、前年同期比や前四半期に比べてどれだけ伸びているかをチェックしましょう。ここで重要なことは、単にプラスかマイナスかだけではなく、伸び率が鈍化しているか加速しているかです。
伸び率が鈍化している場合は業績停滞のサインとなりますし、加速している場合は今後も業績の伸びが期待できるサインとなります。
前年同期比・前四半期との伸び率をチェックすることで今後の業績見通しを判断し、投資するか否かを決定しましょう。
第1~3四半期の決算発表では「今期の通期業績見通し」が明らかになり、第4四半期(通期決算)においては「来期の通期業績見通し」が明らかにされることが多いです。当初発表されていた業績見通しが修正されているか否かをチェックすることも、株式投資にあたって重要なポイントとなります。
業績見通しが修正されている場合は、上方修正・下方修正のどちらであるかもチェックしましょう。上方修正の場合は当初の見通しより業績が好調、下方修正の場合は当初の見通しより業績が停滞することがわかります。
実際に発表された業績が、専門家の業績予想の平均値(コンセンサス)よりも良かったのか悪かったのかについてもチェックしましょう。
コンセンサスよりも良かった場合は、当初専門家が予想していたよりも業績が良かったということであり、株価上昇の可能性が高くなります。一方、コンセンサスよりも業績が悪かった場合は、株価下落の可能性が高くなるため注意が必要です。

株価に関する指標にはさまざまなものがありますが、株式投資を行うにあたって特に押さえておくべき指標は、以下の3点です。
・株価収益率(PER)
・株価純資産倍率(PBR)
・株主資本利益率(ROE)
それぞれの指標の定義や計算方法などを詳しく紹介します。
株価収益率とは、株価が高いか安いかをその企業の収益力から判断する指標です。株価を1株当たりの当期純利益(EPS)で割って求めます。株価収益率の値が大きいほど株価は割高とされ、値が小さいほど割安と判断されます。
株価収益率の値は業種によって大きく異なることが多いです。そのため、株価収益率を比較する際は異業種ではなく、同業種の企業間で行いましょう。
一般的に、企業が成長する期待値が高いほど、株価収益率も高くなる傾向にあります。たとえ株価が割高であったとしても、投資家は将来的に利益が見込める可能性があると判断するためです。
しかし、株価収益率の低い場合は、例えば企業の利益が一時的に低下しているなどの理由が潜んでいる場合も考えられます。そのため、数値と併せて株価収益率が高い理由、または低い理由も正しく確認しましょう。
株価純資産倍率は、株価が高いか安いかを企業の純資産から判断する指標です。株価を1株当たりの純資産(BPS)で割って算出します。株価純資産倍率の値が大きいほど資産価値と比べて株価が割高判断され、値が小さければ資産価値と比べて株価が割安と判断されます。
しかし、株価純資産倍率が高いからといって、株価が上がらないというわけではありません。例えば、新しく設立されたばかりの企業や小規模の企業などは、一般的に純資産純資産が少なくなることから、株価純資産倍率が高くなる傾向にあるからです。
高い成長に期待できる場合は、PBRが高くても株価の上昇に期待できるケースもあります。この場合は、ライバル企業や同業種の企業間で比較するほうが適切でしょう。
株主資本利益率は「自己資本利益率」とも呼ばれています。その企業の自己資本に対する収益力を表し、1株当たりの当期純利益を1株当たりの自己資本で割って算出します。
自己資本利益率の数値が高いほど経営効率が良いといえ、株価が上昇する可能性が高くなります。一方、自己資本利益率が低い場合は経営効率が悪いことから、株価が下落する可能性も起こり得るでしょう。
株価は一般的に企業業績が良いと上昇し、悪いと下降します。そのため、株価の値上がり益(キャピタルゲイン)で収益を上げたいときには、企業業績のチェックが欠かせません。
企業業績を調べる際は、企業の特性や財務情報、株価のさまざまな指標などを総合的に判断することが重要です。株価の値上がり益で収益を狙いたいと考えている方は、本記事を参考に株式投資先を決めるとよいでしょう。