プロフィール

総合保険代理店で個人を対象とした家計相談やライフプランニングを約10年経験。2021年以降は金融専門ライターとして複数メディアで活動しており、大手証券会社・保険会社や大手金融メディアでの豊富な執筆実績をもつ。 暗号資産や投資信託、国内株式などによる資産運用も積極的に行っている。
経済ニュースを見ていると「国内総生産(GDP)」や「訪日外国人旅行者数」などの話題が出ることがありますよね。それらは「経済指標」と言われ、いわば景気の良し悪しを測る物差しです。そんな経済指標は株価にも密接な関係があります。経済指標の結果ひとつでその日の株価が大きく上下するなんてことも珍しくないのです。では一体、経済指標は株価にどのような影響を及ぼすのでしょうか。本記事では経済指標と株価の関係や株価への影響が大きい重要な指標を解説していきます。

株価が動く要因はさまざまですが、経済指標の結果もそのひとつです。まずは、経済指標の意味と経済指標が株価を動かす理由について、具体例を交えて解説します。
経済指標とは、世界各国の政府や中央銀行などの公的機関が発表している経済データのことです。例えば「国内総生産(GDP)」や「(完全)失業率」などが挙げられます。
・国内総生産(GDP):一定期間内に国内で新たに生み出されたモノ・サービスの付加価値の合計額
・(完全)失業率:労働力人口(15歳以上で働く意欲のある人の数)に対する完全失業者(求職活動をしているものの仕事に就けていない人)の割合
経済指標は、その国の経済状況を数値化したものと理解しておきましょう。
経済状況と株価は、密接な関係にあります。景気が良いと企業の業績も向上するため株価が上がりやすく、逆に景気が悪いと企業業績も悪化するため下がりやすい傾向にあります。
景気の良し悪しを測る重要なツールが、経済指標です。一般的に、経済指標の結果が良ければ株価に好影響を与え、結果が悪ければ株価に悪影響を及ぼします。
経済指標の結果は、金融アナリストなどの専門家によって発表前に予想されています。予想と実際の結果のかい離率が大きければ大きいほど、株価への反応が大きい傾向にある点も把握しておきましょう。
<経済指標の結果が株価に影響を与えた具体例>
株価への影響が大きい経済指標のひとつに「米雇用統計」があります。2024年8月2日に発表された米雇用統計の結果は、予想を大きく下回りました。これにより、アメリカの景気減速の懸念が生じ、アメリカの代表的な株価指数である「NYダウ(ニューヨークダウ)」は一時前日比500ドル超まで値下がりしました。

次に、株価へ大きな影響を及ぼす可能性がある、日本の重要な経済指標を3つ紹介します。
日銀短観(正式名称:全国企業短期経済観測調査)とは、四半期ごと(年4回)に、日本銀行が経済状況の現状や先行きなどについて、資本金2,000万円以上の企業約1万社を対象に行うアンケートのことです。
さまざまな項目について調査が行われますが、市場では特に「業況判断指数(Diffusion IndexまたはD.I.:ディー・アイ)」が注目されています。業界判断指数は、企業の全般的な景気状況を示す指標です。景気が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引いて算出するもので、0〜100%の間で変動します。景気の上昇局面では50%を上回る一方で、景気が減速している場合は50%を下回る傾向があります。
日銀短観は、今後の金融政策を判断する材料のひとつです。そのため、結果によっては投資家が「この結果であれば今後の金融政策はこう動くのではないか」と先回りして動くことで、株価が大きく動く可能性があります。
機械受注統計とは、機械関連の製造業者が受注した設備投資用の機械類の受注額を集計した経済指標です。1か月間における企業の受注状況の調査が行われ、内閣府により毎月公表されています。一般的に企業が増産する際には、設備投資が必要です。そのため、機械受注統計は結果の良し悪しによって、株価に影響を及ぼす可能性があります。
・機械受注実績が増加傾向→設備投資を行って増産する企業が多い→投資家は企業の業績が上がると判断する→株価が上昇
・機械受注実績が減少傾向→設備投資を行って増産する企業が少ない→投資家は企業の業績が下がると判断する→株価が下落
このような流れから、機械受注統計は経済の先行きを測る「先行指標」として、市場から注目を集めています。
国内総生産(GDP)とは、一定期間内に国内で新たに生み出されたモノ・サービスの付加価値の合計額を指します。その国の経済活動全体を表し、経済の成長率を把握するための重要な経済指標です。
国内総生産が前期比でプラスになっていれば、順調に経済が成長していると判断する投資家は多く、株価にプラスの影響を及ぼします。逆に、国内総生産の減少が続くと、景気後退を懸念して、株価にマイナスの影響が出る場合もあります。

日本市場に大きな影響を及ぼすのが、世界一の経済大国であるアメリカ市場の動向です。アメリカ市場の株価も日本市場と同様に、経済指標に大きな影響を受けます。
続いては、アメリカ市場の株価(さらには日本企業の株価)への影響が大きい3つの経済指標を紹介します。
米雇用統計は、アメリカの雇用情勢を示す経済指標です。具体的には、平均時給や建設業雇用者数など、雇用に関連する10項目以上のデータが調査・公表されています。
そのなかで、特に市場が注目するのが「失業率」および「非農業部門雇用者数の増減」です。アメリカの国内総生産は、個人消費が7割近くを占めています。そのため、両データの結果が良ければ、個人消費の拡大が期待できます。
市場の状況にもよりますが「米雇用統計の結果が好調であれば、アメリカの景気も好調」と判断するケースが多いということです。景気が好調であれば株価の上昇にもつながりやすくなります。
小売売上高とは、アメリカ国内の小売業・サービス業の売上高をまとめた経済指標を指します。先述したとおり、アメリカの国内総生産の7割近くが個人消費であるため、小売売上高からアメリカにおける消費動向を推測することが可能です。小売売上高の結果は投資家から非常に注目されており、プラス成長であれば株価への好影響も期待できます。
ISM製造業景況感指数とは、製造業の景況感を示す経済指標です。製造業の購買・供給管理担当者に対するアンケート の結果をもとに、算出されます。日本の経済指標のひとつである「日銀短観」と似た指標といえるでしょう。ISM製造業景況感指数が50%以上であれば景気拡大、50%%以下の場合は景気減速が示唆されます。
経済指標は、投資家がその国の経済状況を把握するために重要視している経済データです。一概には言えませんが、基本的には経済指標の結果が良ければ株価にプラス、逆に結果が悪ければマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
ただし、世界各国で発表される経済指標の数は非常に多く、すべてをチェックすることは現実的ではありません。まずは本記事で紹介した日米の重要な経済指標6つをチェックしながら、株式投資をしてみてはいかがでしょうか。
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