プロフィール

総合保険代理店で個人を対象とした家計相談やライフプランニングを約10年経験。2021年以降は金融専門ライターとして複数メディアで活動しており、大手証券会社・保険会社や大手金融メディアでの豊富な執筆実績をもつ。 暗号資産や投資信託、国内株式などによる資産運用も積極的に行っている。
株式投資方法は、運用期間の違いによって「長期株式投資」と「短期株式投資」の2つに分かれます。それぞれメリット・デメリットがあるため、どちらの株式投資方法を行うべきか悩まれている方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、投資初心者の方はどのような点に注意して株式投資方法を選択したらいいか解説いたします。ぜひ最後まで読んでみてください。
まずは、長期株式投資と短期株式投資の違いを、運用期間・投資対象・リスクの3つの視点から解説します。
株式投資の収益には、以下の2つがあります。
・値上がり益(キャピタルゲイン)
・資産の運用益(インカムゲイン)
値上がり益とは、株式を購入したときよりも株価が高くなり、売却することによって得られる利益です。一方、資産の運用益とは、株式を保有しているだけで得られる利益を指します。具体的には、配当金のことです。
長期株式投資は、後者の資産の運用益を狙って利益を上げることが主な目的です。配当金や株主優待に期待できる業績が安定している銘柄や、将来的な成長が見込める銘柄を運用することが多く、投資リスクは低いといわれています。
一方、短期株式投資は前者の値上がり益を狙って利益を上げることが主な目的です。値動きが大きい銘柄を売買することが多く、投資リスクは高いといわれています。
次に、長期株式投資のメリット・デメリットについて詳しく紹介しましょう。長期株式投資には、以下の3つメリットと、2つのデメリットがあります。メリット・デメリットごとに、詳しく見ていきましょう。
1つ目は「複利効果を活かせる」点です。複利効果とは、資産運用で得た利益を再び投資することで利益が利益を生み、資産が増える効果のことです。例えば、100万円の元金を年利3%で運用した場合、1年目は元金100万円・利子3万円、2年目は1年目の元金100万円・利子3万円を合計した103万円が元金となる仕組みです。長期的に運用を続けていくことで、複利効果はさらに大きくなります。
2つ目のメリットは「精神的な負担が少ない」点です。長期株式投資の場合、一度購入した株は基本的に長期間保有します。短期株式投資のように銘柄の値動きを日々細かくチェックする必要がないため、精神的な負担は少なくなりやすいでしょう。
3つ目のメリットは「売買コストを抑えやすい」点が挙げられます。証券会社によって金額は変わりますが、株式の購入・売却時には手数料を証券会社に支払うのが一般的です。長期株式投資は株式を取引する回数が少ないため、その分、手数料を抑えられます。
1つ目のデメリットは「利益が確定するまで時間がかかる」点です。株式投資の利益は、保有株式を売却した時点で確定します。長期株式投資は、長期間保有することから株式の売却が数年~数十年後となるため、利益確定までに時間がかかります。利益を早めに確定したい方には、デメリットといえるでしょう。
2つ目のデメリットは「先が見通せないため元本割れするリスクもある」点です。保有している株式の数十年後の株価は、資産運用のプロであっても予測は困難です。配当金など安定した収益に期待できるものの、売却するタイミングによっては元本割れ(投資した金額よりも最終的に受け取る金額が少なくなること)の可能性もあり得ます。

次に、短期株式投資のメリット・デメリットについて詳しく紹介します。メリットとしては以下の2点、デメリットとしては以下の3点があります。メリット・デメリットごとに、詳しく見ていきましょう。
1つ目のメリットは「短期間で利益獲得が狙える」点です。短期株式投資は、短い期間の中で株式の購入・売却を行い、利益を得ます。そのため、保有している株式の値動きが大きい場合は、短期間で利益を獲得できます。
2つ目のメリットは「長期的な予測が必要ない」点です。基本的には、長期株式投資のように、購入する銘柄が長期的に利益が出るか、さまざまな情報の収集・分析を行って予測する必要はありません。
1つ目のデメリットは「リスクが大きい」点です。短期株式投資で投資する銘柄は、値動きが大きいです。値動きが大きい分、損失リスクも大きくなります。株式の売買タイミングを逃せば、短期間で大きな損失を出す可能性もあります。
2つ目のデメリットは「状況に合わせた素早い判断と対応が必要」な点が挙げられます。短期株式投資は値動きが大きい銘柄を中心に投資するため、株式の購入・売却タイミングを短期間で見極めることが重要です。株価の動向によって、素早い判断と対応が求められます。
3つ目のデメリットは「売買手数料の負担が大きくなる」点です。前述したとおり、一般的に株式の購入・売却時には、証券会社に手数料を支払う必要があります。短期株式投資の場合は株式の購入・売却回数が増えてしまうため、手数料が多くかかってしまいます。
投資初心者には長期株式投資がおすすめ!その理由とは
長期株式投資と短期株式投資の特徴やメリット・デメリットを踏まえると、投資初心者の方におすすめの株式投資方法は「長期株式投資」といえます。長期株式投資をおすすめする理由について、以下で詳しく解説します。
短期株式投資の場合は、デイトレーダー(デイトレードの専業者)のように1日の大半を株価の値動きのチェックや政治経済のニュースの視聴、企業の決算情報の確認・株式の売買などに費やさなければなりません。時間と労力が大きく、投資初心者の方にはハードルが高いでしょう。
一方、長期株式投資の場合、株式の購入時に企業の情報の収集・分析などを行う必要がありますが、それ以外は株価の動向などをチェックする程度で、投資に費やす時間・労力が少なくて済みます。
短期株式投資を行う際には「テクニカル分析」を活用して利益を狙うケースが一般的です。テクニカル分析とは、過去の株価や出来高などのデータをもとに、将来の株価を予測する分析手法です。短期投資ではテクニカル分析が有効に働く場面が多いとされています。しかし、投資初心者の方には分析手法を理解することが難しい場合があります。
また、投資家の心理によって相場が左右されることも多いため、投資経験に基づいた相場勘が必要になる場面も多いでしょう。
一方で、長期投資の場合は、長期的に見れば企業の業績に沿った株価に収束することが多い傾向にあります。そのため、チャート分析の知識や投資経験がなくても、決算書の読み方など最低限の知識さえ身につけておけば、運用を始められます。
短期株式投資は、日々株価の値動きを注意深くチェックし、必要に応じて素早く株式の購入・売却を行う必要があります。株価の値動きに一喜一憂することがあり、精神的な消耗が多いといえるでしょう。
一方、長期株式投資は長期間にわたって株式を保有することから、日々の株価の値動きに応じて株式の購入・売却をする必要がありません。そのため、短期株式投資に比べて、精神的な消耗が少ないです。
資産の運用益から利益を上げる長期株式投資は、複利効果により効率的な運用を狙えるメリットがある一方、利益確定まで時間がかかるといったデメリットがあります。
また、値上がり益から利益を上げる短期株式投資は、短期間で利益獲得が狙える点はメリットですが、その分、リスクが大きくなるのがデメリットです。
これらを踏まえると、投資初心者の方には、リスクが比較的小さい長期株式投資が向いているといえます。理由としては、短期株式投資と比べて投資に費やす時間が少なく、またテクニカル分析などの知識や投資経験があまり問われないためです。
これから株式投資にチャレンジする投資初心者の方は、本記事を参考に長期株式投資を行うことをおすすめします。
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