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証券会社で富裕層の資産コンサルタントを経験。お金のアドバイザーとしてより幅広い年齢層のお金の悩みを解決し、身近な存在となるべく株式会社400Fに転職。「オカネコ」専属の金融オンライン・アドバイザーとして、全国にお住まいの方の資産形成をサポートしている。
NISAの目玉として注目されている改正ポイントの1つが、「非課税期間の無期限化」です。これにより2024年以降にNISA口座で買付した商品は、売却するまでずっと非課税での運用が可能となります。とはいえ、非課税期間の無期限化にはどのようなメリットがあるのか、よくわからない方もいるでしょう。本記事では、NISAの非課税の仕組みをわかりやすく解説するとともに、非課税でどのようなメリットが得られるのか、具体的なシミュレーションを行います。NISA制度への理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。(監修者:金融オンライン・アドバイザー 田嶋ひかり)
世間では、NISAの非課税期間の無期限化が話題になっています。なぜなら、2023年までのNISAでは、一般NISAは5年、つみたてNISAは20年の非課税期間が設けられており、非課税で運用できる期間に限りがあったからです。
2023年までのNISAでは、非課税期間が終了した商品は課税口座(特定口座・一般口座)に移管され、移管後は課税対象となっていました(※)。
これに対し、NISAの非課税期間は無期限です。つまり、NISAで買付した商品は、自分の意志で売却しない限りは恒久的に非課税の対象となり、利益が出ても税金がかかりません。非課税対象なので、NISAで発生した利益は確定申告も不要です。
ちなみにNISAの非課税保有限度額は、最大1,800万円となっています。これは、生涯で最大1,800万円分(買付額)の商品をNISA口座で保有できるという意味です。しかも、一度利用した非課税枠は商品を売却すれば再利用できるので、売買を繰り返しても非課税保有限度額が減ってしまう心配はありません。
※ロールオーバー(翌年の非課税枠への移管)した場合を除く
「そもそもNISAで何が非課税になるの?」と疑問を感じている方もいるでしょう。NISAで非課税になるのは、商品を売却したときに得られる「譲渡益」と、商品の保有中に得られる「配当金」です。それぞれ非課税の仕組みを簡単に解説します。(株式売買などの例では、手数料等は考慮していません)
譲渡益とは、金融商品を買ったときよりも高い価格で売ったときに得られる利益(売買差益)のことです。
例えば、10万円で買ったA社の株式を15万円で売却した場合、5万円の譲渡益を得られますが、この譲渡益には、通常は約20%の税金がかかります。つまり、5万円の譲渡益のうち税金として支払う分が約1万円で、実際に手元に残る利益は約4万円です。
ところがNISAの口座で取引を行うと、譲渡益は非課税になります。先述の例では、5万円の譲渡益に税金を課されることなく、全額を受け取ることができるのです。
配当金とは、株式会社が行う株主還元策の1つで、株式を保有中の方に対し「1株につきいくら」というかたちで支払われるお金です。
配当金には、譲渡益と同じく約20%の税金がかかります。しかし、NISAの口座で買付し保有中の商品については、配当金も非課税の対象となるため、税金を引かれることなく全額の受け取りが可能です。
わかりやすく例を挙げてみましょう。以下は、日本たばこ産業(2914)の株を300株保有していた場合の配当金受取額です。
※引用元:JT 株主還元方針・配当(外部サイト)
課税口座とNISA口座のどちらで保有するかによって、配当金受取額にこれだけの差が出ます。NISAでは非課税期間が無期限化されたので、一度NISAの口座で商品を買付すれば、売らずに保有し続けている限り、いつまでも非課税で配当金の受取りが可能です。
ただし、配当金を非課税にするには、受取方式を「株式数比例配分方式」にする必要があります。ほかの受取方式を選択すると、せっかくNISAで商品を買付しても、配当金は課税対象となってしまうのでご注意ください。
金融オンライン・アドバイザー 田嶋さん:
企業によって配当利回りは異なりますが、配当金が比較的高く、配当金の水準を安定的に維持している企業も多くあります。そのような銘柄を長期保有し、配当金を非課税で受け取ることができるのもNISA口座のメリットです。NISAは非課税期間が無期限ですので、従来のように5年経過時に資産の売却・ロールオーバー(投資枠の移管)・特定口座への移管を選択する必要もないため、配当目的で株式投資をされる方はNISA口座を活用しましょう。
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NISAで投資をすると、どのくらいの非課税メリットが得られるのか、具体的にシミュレーションしてみましょう。
NISAの「成長投資枠」を使い、B社の株式を100万円で買付したとします。数年後、B社が順調に業績を伸ばし株価が倍になったとしたら、B社の株式からは100万円の含み益が出ている状態です。
この時点でB社の株式を売却すると、100万円の譲渡益が発生します。通常は譲渡益に対し約20%の税金がかかりますが、NISAで買付した株式の譲渡益には税金がかからないため、約20万円の非課税メリットが得られる計算です。
NISAの「成長投資枠」を使い、配当金目的でC社の株式を100万円で買付したとします。その後、10年間にわたり毎年3万円の配当金を受け取ったのち、200万円でC社の株式を売却した場合、NISAの非課税メリットはどのくらいになるか計算してみましょう。
まず、10年間の配当金総額30万円のうち、通常は約20%にあたる約6万円が税金として差し引かれますが、NISAで保有中の株式の配当金は非課税のため全額受け取れます。
続いて、100万円で買付した株式を200万円で売却すると、100万円の譲渡益が発生します。通常は譲渡益に対し約20%の税金がかかりますが、NISAで買付した株式の譲渡益には税金がかからないため、約20万円の非課税メリットが得られる計算です。
つまり、この場合のNISAによって得られる非課税メリットは、配当金で約6万円、譲渡益で約20万円、合計約26万円になります。
NISAの「つみたて投資枠」を使い、投資信託を毎月5万円ずつ30年間積立投資するとします。年率3%で運用した場合、30年後の資産額は2,913万6,844円(元本1,800万円/運用益1,113万6,844円)です(※)。
20年後、積み立てた投資信託を一括売却すると、1,113万6,844円の譲渡益が発生します。通常は譲渡益に対し約20%の税金がかかりますが、NISAを利用していれば非課税です。つまり、NISAで積立投資をすることにより、約223万円の非課税メリットが得られる計算となります。
※引用元:金融庁 資産運用シミュレーション(外部サイト)
金融オンライン・アドバイザー 田嶋さん:
上記のシミュレーションから、NISA口座を活用することで大きな非課税メリットが得られることがわかりました。2023年までの「つみたてNISA」では非課税期間は20年ですが、NISAは非課税期間が無期限となり、より長期投資に適したものに生まれ変わります。長期の積立投資を行うことで、さらに高い投資効率の実現が期待できますので、より得られるメリットが大きくなると言えるでしょう。
非課税期間の無期限化により、NISAでは長い時間をかけて資産を育てる選択肢を取りやすくなります。一度NISAで商品を買付すれば、30年、40年、50年と長く運用しても、恒久的に非課税メリットを得られるためです。本記事のシミュレーションのとおり、長期の積立投資で得られる利益は、1,000万円を超える可能性もあります。非課税期間の無期限化を上手に活かして、NISAでは長期の積立投資に挑戦してみてはいかがでしょうか。
金融オンライン・アドバイザー 田嶋さん:
NISA口座の最大の利点は、非課税保有限度額内の利益全額が「非課税になる」という点です。さらにNISAでは、非課税保有期間が無期限になり、安定した長期積立投資が可能です。複利運用の効果を最大限に活用できますの で、これらのNISAのメリットを上手に活用した資産形成プランを考えてみましょう。
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※注記:投資にはリスクがあり、相場の変動等により投資元本を割り込む可能性があります。最終的な投資の決定は、ご自身のご判断でお願いいたします。
本記事に掲載されている情報は2023年10月16日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁ホームページ(外部サイト)をご確認ください。