プロフィール

外資系投資銀行を経てファイナンシャル・プランナーとして独立。『夫婦で貯める1億円』(ダイヤモンド社)など著作多数。日本テレビ「有吉ゼミ」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演多数。
あまり余裕資金がないけれど、税金がトクなNISAを始めたいという方もいるでしょう。本記事では、どれくらい余裕資金があれば、NISAを始めてもよいのか、余裕資金を捻出するための家計整理のポイントなどをお伝えします。(ファイナンシャル・プランナー 花輪陽子)
NISAなどの投資を始める前に、どれくらいの生活費を貯める必要があるでしょうか。一般的な目安として、家計の専門家は少なくとも 3〜6カ月分の生活費を緊急資金として貯蓄しておくことを勧めています。このお金は投資に回さずに、普通預金口座などに入れておきます。
ただし、万一に備えた貯蓄の目安は支出や経済状況によって異なります。特定のリスク要因によってはさらに多くの貯蓄が望ましい場合があります。例えば、扶養家族がたくさんいる場合や雇用の安定性が低い場合、自営業で毎月の収入が変動しやすい場合などです。
3〜6カ月分の生活費をすぐに捻出できない場合は、今できる貯金額から始めて、余裕ができたら貯金額を増やしていきましょう。 貯金ゼロよりは、少しでも貯金を始めた方がよいからです。
ダイエットを成功させるためには、摂取カロリーと消費カロリーのバランスが重要です。お金を貯めるためには収入以上に使い過ぎないことが重要で、目に見えるお金の計算はカロリー計算よりもより明確で分かりやすいです。しかし、言うは簡単ですが、なぜ多くの人が節約を続けていてもなかなか貯めることができないのでしょうか。それは仕組み作りができていない可能性が高いです。
どこから始めればよいのかが難しいという方は、次の5つのステップを活用してください。
借り入れがあるという方はまずは借金返済を優先させましょう。ローン返済に当てなければならないお金が少なければ少ないほど、貯蓄目標に向かってより多くの資金を投じることができるからです。特に金利が高いクレジットカードのローンを最初に返済することから始めましょう。リボルビング払いの手数料は年率15%程度と非常に高いために、これを確実に上回る投資のリターンを期待することは難しいからです。確実に減らせる利払いに真っ先に取り掛かることです。
例外として、住宅ローンに関しては、残債が残っていても投資を始めてもよいとします。ただし、変動金利での残債があまりにも多い場合(年収の4倍を超えるなど)、返済を優先すべきでしょう。現在は低金利ですが、いつどのタイミングで短期金利が上昇するか分かりません。 利払いを抑えるというよりは、将来的なリスクを抑えるためです。一気に繰り上げ返済をする必要はありませんが、 いつでも繰り上げ返済ができるようにお金を蓄えておくべきです。そのお金はできれば株式投資ではなく、安全性が高い円建ての預金や債券などで確保しておきたいものです。
自分が毎月いくら使っているかの支出が把握できていない方は支出を記録しましょう。毎月のお金の使い道を確認することで、自分は最低いくらあれば生活ができるのか、無駄遣いがどれくらいあるかが分かります。手始めに銀行の入出金記録やクレジットカードの明細から支出を確認しましょう。これらの記録で現金で支出した以外の大ざっぱな家計の流れは分かるでしょう。現金や電子マネーでの取引に関してはレシートを捨てずに集めるようにしましょう。これらの手間が面倒という方は、家計管理アプリを活用すれば、クレジットカード、電子マネー等を登録することで、半自動的に家計簿を作成することも可能です。
次に費目ごとの予算を考えていきます。限られた収入を最大限に活用するためには食費や交際費など、費目ごとに 予算を立てることが大切です。ここでは、賢く毎月の予算を分配するための「6:2:2の法則」 をご紹介します。
家賃、光熱水道費、食費など、生活する上で必ずかかるお金があります。 この基本生活費にかけるお金は手取り月収の6割程度と考えましょう。 入社したばかりで手取りが少ない場合、7割程度になっても大丈夫です。 例えば、手取り月収が20万円で一人暮らしのAさんの場合の例で考えてみましょう。
① 社会人になったばかりでこれから資産を作りたいAさん
〈Aさんプロフィール〉
・男性、23歳、独身、一人暮らし
・職業:会社員
・住んでいる地域:東京都
・手取りの世帯月収:20万円
・毎月の支出の目安:把握していない
住居費
6万円 (手取りの30%程度。社宅やルームシェアの活用も節約効果大)
光熱水道費
1万円(手取りの5%程度 電気5000円・水道2000円・ガス3000円程度)
食費
3万円(手取りの15%程度。自炊費・ランチなど外食も含む)
通信費
1万円(手取りの5%程度。スマホ・プロバイダ料金等。格安プランの活用も効果大)
交通費
6000円(通勤費が会社支給の場合は休日の交通費など)
保険料
2000円(医療保険 独身時代は最低限の医療保険などに絞る)
生活用品費
2000円(シャンプー、せっけん、トイレットペーパーなど)
合計
12万円(手取り月収の60%)
予算立てで一番注意をしたいのは、住居費や保険料など毎月必ず一定の金額でかかる 固定費です。いったん契約すると変更に手間暇もかかるため、最初から金額が大きくならないよう注意しましょう。
実家暮らしの場合は家賃、光熱水道費、食費の一部などを親が負担をしてくれる場合も多いでしょう。できればその分、少し実家にお金を入れたいところ。実家に入れる金額は、3万円~5万円程度の方が多いようです。
次に生活をする上で必ずしも必要ではないけれど、お金をかけることによって生活を豊かにしてくれるお楽しみ費(交際費、教養・娯楽費、被服・美容費など)も予算立てしましょう。お楽しみ費全体の予算を2割程度と考えましょう。実家暮らしで基本生活費があまりかからないという方はその分お楽しみ費にかける割合を増やしてもよいでしょう。お楽しみ費のなかでの配分の目安を先ほどのAさんのケースで考えてみましょう。
交際費
2万円(手取りの10%程度 飲み会、デート、パーティー等)
教養・娯楽費
1万円(手取りの5%程度 図書費、スキルアップ費、習い事)
被服・美容費
1万円(手取りの5%程度 洋服代、化粧品代)
合計
4万円(手取り月収の20%)
人によっては交際費にはあまりお金をかけないけれど、教養・娯楽費(あるいは被服・美容費)にもっとお金をかけたいという人もいるでしょう。その場合は、お楽しみ費のなかでの配分をかえてももちろん大丈夫です。全体の予算を守るようにして、お楽しみ費が過大になり過ぎて基本生活費や貯金を圧迫するということがないように注意をしましょう。
最後に将来のために貯めたい金額を考えていきましょう。最低限貯めたいお金は手取り月収の10%程度です。また、毎月の支出以外にも、旅行、大きな買い物など年間を通してお金が必要になる時も出てきます。予備費として手取りの10%程度を貯金しておくと安心です。
貯金 A(将来のためにとっておく貯金 NISAなどに回してOK)
2万円 (手取りの10%程度)
貯金 B(予備費として蓄えておくお金 貯金口座にプール)
2万円(手取りの10%程度)
貯金Bがあると、大きな支出が発生しても貯金Aを取り崩すことなく対応ができます。ボーナスがある方はボーナスで大きな支出をやりくりしてもよいでしょう。その場合は必ずしも月々から予備費貯金(貯金 B)をする必要はありません。
上記の予算を一つの目安にして毎月の支出のやりくりをしてみてください。予算を少し意識することにより倹約効果も生まれるものです。

※監修をした『毒舌うさぎ先生の頑張らない貯金レッスン』より
多額の臨時出費が発生すると、予算が狂ったり、貯蓄がなくなったり、借金ができるリスクがあります。これを防ぐために、臨時費用に備えて計画を立てましょう。旅行費、税金の支払い、家電や家具の購入など将来発生する支出をリストアップします。年間の家計簿を記録していけば2年目以降は臨時支出にどれくらいかかるかを把握できるようになります。これらを予算に含めて、月ごとのコストに分割するか、ボーナスを活用して対応させます。目安として手取り月収の10%程度を見込んでおくと安心です。
可能な限り自動的に貯蓄や投資ができるようにしましょう。例えば、銀行の積立定期預金、つみたて投資枠、iDeCoなどを 活用することが 考えられます。毎月1000円などからでもよいので、余裕のある金額から始めるようにしましょう。予算が許す限り拠出金を増やしていきます。
資産の増加を狙うには、普通預金口座だけではなく、より高利回りの投資対象を活用させましょう。普通預金ではほとんどお金は増えないため 、あくまでも生活費の決済用と余裕資金をプールさせる口座とします。
投資の世界では「100から自分の年齢を引いた数字を株式の割合(パーセント)にする」のが目安とよく言われています。
例えば、23歳の方の場合、「100-自分の年齢」の法則に当てはめると、77%を株式の割合にするのが目安ということが分かります。NISAの投資対象のメインは株式投資になります。リスクのある株式投資に回す目安は77%で、23%は預貯金や債券にするなどです。年齢の経過とともに、債券や預貯金の割合を高めて全体のリスクを低減させましょう。
まとまったお金がなく、資産形成はこれからという方はつみたて投資枠を中心に積極的に活用したいところです。毎月1万円など少額からでもよいので、投資信託のつみたてを行いたいです。金融機関によっては、クレジットカードで投資信託のつみたてができます。
ボーナスや臨時収入などで余裕がある時には成長投資枠を活用し、同じ投資信託を一括購入してもよいでしょう。一括購入の場合も 1万円程度から投資信託を購入できる場合が多いです。とにかく小口でもよいので、余剰資金で投資をする習慣を早期からつけることが重要です。
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NISAの活用方法については、以下の記事で解説しています。チェックしてみましょう。
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本記事に掲載されている情報は2023年9月30日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁ホームページ(外部サイト)をご確認ください。