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長期投資と短期投資はどっちがいい? 各メリット・デメリット、銘柄選びのポイントを解説

投資初心者の方のなかには「長期投資と短期投資はどっちがいいの?」と疑問を感じている方もいるでしょう。長期投資・短期投資では投資戦略が変わってくるため、いつまでに利益を出したいかや、ご自身の性格や生活スタイルに合うほうを選ぶのがおすすめです。本記事では、長期投資と短期投資の違いや各メリット・デメリット、銘柄選びのポイントを解説します。(監修者:金融オンライン・アドバイザー 田嶋ひかり)

長期投資・短期投資とは? 違いを解説

長期投資・短期投資とは、運用期間の長さによって分けられた投資の手法のことです。長期投資・短期投資の明確な定義はありませんが、一般的には数年から数十年にわたり運用し続ける手法を長期投資、1年未満の短期間で利益を確定させる手法を短期投資といいます。

長期投資・短期投資の違い

長期投資・短期投資では運用期間が違うので、利益を得るための戦略もおのずと変わってきます。

長期投資では、比較的リスクの低い商品で継続的な運用を行い、将来的に大きな利益獲得を目指します。商品を保有することで得られる配当や分配金も、長期投資においては重要な利益です。

一方、短期投資では、値動きの大きいハイリスク商品へ資金を投入し、細かく売買を繰り返して小さな利益を積み重ねます。短期投資は売買のタイミングが結果を大きく左右するため、機会に投じるという意味で「投機」と呼ばれることもあります。

以下は、長期投資と短期投資のリスク幅の違いを視覚的に表した図です。

短期投資と長期投資の値動き

長期投資の場合、リスク幅が小さいので短期間で大きな利益を得ることはできませんが、安定的な運用が可能です。短期投資の場合、リスク幅が大きいので短期間で大きな利益を得られる可能性がありますが、逆に大きな損失を負うリスクもあります。

投資初心者の方には、じっくり落ち着いて運用できる長期投資のほうがおすすめです。短期投資に挑戦するのは、知識をつけて売買タイミングを自分なりに見極められるようになってからでも遅くはないでしょう。

金融オンライン・アドバイザー 田嶋さん:
長期投資は安定的な運用、短期投資は積極的に値上がり益を目指すことが大切であり、それぞれにメリットとデメリットがあります。短期投資は値動きが大きく、リスクも高いです。投資初心者の方は、まずは長期投資から始めることをおすすめしますが、ご自身のリスク許容度や運用のゴールに基づいて、どちらの運用方法を実践するか判断しましょう。



長期投資のメリット・デメリット

長期投資のメリット・デメリットは以下のとおりです。

長期投資のメリット・デメリット

長期投資のメリットは、運用期間が長い分、リスクを抑えた安定的な運用ができる点です。長期積立の複利効果を利用して低リスク商品で大きな利益を狙ったり、保有中にもらえる配当や分配金で利益を得たりと、時間を味方につけたさまざまな戦略が考えられます。長期投資は短期の値動きを気にする必要がないので、忙しくて投資に時間を割けない方でも取り組みやすいです。売買の回数が少ないため、手数料も最小限に抑えられます。

長期投資のデメリットは、利益を得るまでに時間がかかる点です。一度投資にまわしたお金は数年から数十年にわたり運用するので、長期間拘束されても問題のない資金を使う必要があります。また、長期的な目線で投資対象の成長や世の中の動きを予測し、利益が見込める銘柄を見極めなければなりません。


長期投資がおすすめの人

以上のメリット・デメリットを踏まえると、長期投資は次のような方におすすめです。

長期投資がおすすめの人

長期投資では時間を味方につけた戦略を取るため、例えば老後資金など、数年後から数十年後に使う予定の資産の形成に向いています。また、短期の値動きは気にせず、じっくり時間をかけて運用するので、投資に時間をかけられない忙しい方でも成功しやすい手法です。


短期投資のメリット・デメリット

短期投資のメリット・デメリットは以下のとおりです。

短期投資のメリット・デメリット

短期投資のメリットは、やはり短期間での利益獲得が狙える点です。タイミングを見てうまく売買できれば、1日や数週間で大きな利益を得られる可能性もあります。短期間で売買を完了させるので資金が長期間拘束されず、そのときどきでチャンスのある投資対象へ資金をまわすことが可能です。また、投資対象が長期的に見てどうなっていくのか、将来を予測する必要もありません。

短期投資のデメリットは、値動きが大きい分、損失リスクも大きい点です。売買のタイミングを一歩間違えただけで損失につながるので、状況に合わせた素早い判断と対応が求められます。短期投資では細かく利益を確定していくので、売買の回数が多くなり、手数料負担もかさみやすいです。


短期投資がおすすめの人

以上のメリット・デメリットを踏まえると、短期投資は次のような方におすすめです。

短期投資がおすすめの人

短期投資では、適切なタイミングでの迅速な売買が求められます。最初から大きな金額を投じると、冷静さを欠いて判断ミスにつながりやすいので、まずは無理なく少額から始めるのがおすすめです。


長期投資・短期投資の銘柄選びのポイント

長期投資・短期投資では運用期間が異なるため、銘柄選びのポイントも変わってきます。それぞれの銘柄選びのポイントを見ていきましょう。


長期投資の場合

長期投資では、短期での値動きが小さく、長期的に見て値上がりが期待できる銘柄を選ぶのがポイントです。

<長期投資におすすめの銘柄例>
・値下がりリスクの小さい割安株
・将来的に大きな値上がりが期待できる成長株
・保有中に配当や株主優待がもらえる銘柄
・さまざまな資産の種類・地域に分散投資できる投資信託

個別株で長期投資を行う場合は、企業の業績や財務状況を重視し、将来的な成長が見込める銘柄を選びましょう。NISAやiDeCoで長期の積立投資をするなら、全世界株式(オール・カントリー)のような幅広い資産に分散投資できる銘柄を選び、リスク軽減を図るのがおすすめです。


短期投資の場合

短期投資では、短期での値動きが大きく、売買のタイミングによって大きな利益を狙える銘柄を選ぶのがポイントです。

<短期投資におすすめの銘柄例>
・短期で見たときにチャートが大きく上下している銘柄
・チャートの動きが上昇トレンドにある銘柄
・出来高が増え、市場で注目を集めている銘柄
・短期間で一気に高騰しやすいIPO株

短期投資で売買のタイミングを見極めるには、チャートから今後の値動きを予想する「テクニカル分析」が役立ちます。短期投資をする方は、ぜひテクニカル分析を勉強しましょう。

金融オンライン・アドバイザー 田嶋さん:
長期投資の場合は、数年後以降の出口を見据えて上昇が期待される銘柄を選択することが大切です。投資信託であれば複数の銘柄に分散投資ができるため、リスク分散の点から一つの選択肢として考えると良いでしょう。短期投資は値動きの変動幅が大きくなりやすく、主に個別株式で運用する場合が多いです。変動幅が大きい分損失が出る可能性も高いので、銘柄や売買のタイミングをしっかり見極める必要があります。



まとめ

長期投資・短期投資は手法が違うだけなので、両者の間に優劣はありません。ただ、まだ投資に慣れていない初心者の方は、比較的リスクの低い長期投資を選ぶほうが精神的な負担が小さくて済み、落ち着いて運用できるでしょう。どちらがいいか迷う方は、少額資金でどちらも試してみて、ご自身に合うほうを選んでみてはいかがでしょうか。

金融オンライン・アドバイザー 田嶋さん:
投資を行う際は、長期投資と短期投資のそれぞれのメリットとデメリットを理解することが大切です。定期的な相場の確認や情報収集が難しい方、運用初心者の方は、まずは少額から長期投資を始めることをおすすめします。今年から始まった新しいNISAは、非課税運用期間が無期限ですので、ぜひ長期投資に活用しましょう。


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本記事に掲載されている情報は2023年9月20日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁ホームページ(外部サイト)をご確認ください。

  • プロフィール

    監修者:田嶋 ひかりのプロフィール画像

    監修者:田嶋 ひかり

    AFP、日本証券業協会認定 証券外務員一種/二種、一般社団法人 公的保険アドバイザー協会認定 公的保険アドバイザー

    証券会社で富裕層の資産コンサルタントを経験。お金のアドバイザーとしてより幅広い年齢層のお金の悩みを解決し、身近な存在となるべく株式会社400Fに転職。「オカネコ」専属の金融オンライン・アドバイザーとして、全国にお住まいの方の資産形成をサポートしている。

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