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つみたてNISAの平均利回りは? 20年後の資産シミュレーションも紹介

つみたてNISA(ニーサ)で資産運用を始める際に気になることの1つが、平均利回りではないでしょうか。結論として、つみたてNISAは3~10%の平均利回りが期待できます。

ただし高い利回りを求めればその分リスクも高くなり、そのときの基準価額や分配金額によって利回りは変わるため、平均利回りばかりに捉われず投資先や運用方針もしっかり確認することが大切です。

本記事では、そもそも利回りとは何か、代表的な銘柄の平均利回り、20年間積立投資を続けた場合の資産シミュレーション、平均利回りで銘柄を選ぶときの注意点について解説します。(監修者:金融オンライン・アドバイザー 松井大輔)

つみたてNISAの平均利回りは3~10%が目安

つみたてNISAの投資対象商品は、「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」です。投資信託の利回りは銘柄や売買を行う時期によっても変わってきますが、年3~10%の利回りが期待できるでしょう。

ただし、実際にどのくらいの利回りを得られるかは運用してみなければわかりません。そのため、つみたてNISAのシミュレーションを行う際は、平均利回り3%の場合・5%の場合・10%の場合のように、複数パターンを想定したシミュレーションを行うことが大切です。

ここからは、より具体的に平均利回りについて説明していきます。

・用語説明|利回りとは?
・投資信託の利回り関連用語
・代表的なつみたてNISA商品の平均利回り


用語解説|利回りとは?

利回りとは、投資元本に対して得られる収益の割合のことです。先述のとおり、つみたてNISAでは投資信託を使った運用を行うため、ここでは投資信託の利回りの計算方法を紹介します。

<投資信託の利回りの計算方法>
利回り=収益(売却益+分配金)÷運用年数÷投資元本×100%

例えば、100万円分の投資信託を購入し、1年後に売却益や分配金で5万円の収益を得たときの利回りは5%です。


投資信託の利回り関連用語

投資信託の利回りに関連する用語として、「騰落率」「トータルリターン」「分配金利回り」などがあります。各用語の意味は以下のとおりです。

・騰落率:一定期間の始めと終わりで価格を比較し、何%値上がり・値下がりしたかを示す指標。
・トータルリターン:投資期間全体の受取分配金を含む累積損益のこと。
・分配金利回り:投資信託の基準価格に対し、どのくらいの分配金があるかを示す指標。「過去1年の分配金累計額÷直近の基準価格×100%」で計算するのが一般的。

こうした情報は、証券会社のサイトや投資情報を紹介しているサイトで確認できます。例えばYahoo!ファイナンスには、「トータルリターン(1年)=投資信託の基準価額(分配金込み)の騰落率」が記載されています。また同サイトでは、トータルリターン(1年)の最新ランキングの確認も可能です。

参考:Yahoo!ファイナンス|投資信託ランキング


代表的なつみたてNISA商品の平均利回り

代表的なつみたてNISA商品の平均利回りはどのくらいなのでしょうか。参考として、Yahoo!ファイナンスの「トータルリターン(1年)」の数値を確認してみましょう。


代表的なつみたてNISA商品の平均利回り
2023年7月現在、ここ最近の世界的な株高の影響もあり、トータルリターン(1年)が10%を超える銘柄も出てきています。
ただ、今後の平均利回りがどうなるかは誰にもわかりません。直近1年の運用成績がよかった銘柄でも、将来にわたり高い利回りを継続できるとは限らないため、あくまでも銘柄選びの材料の1つとしてご参考ください。

金融オンライン・アドバイザー 松井さん:
記載のトータルリターンは過去の実績に基づくものであり、当然ですが将来のリターンが同様の数値になると保証するものではありません。過去のリターンも算出期間によって異なりますので、あくまで参考値の一つとして見るに留めておくと良いでしょう。
ライフプランを立てる際にこの数値に過度に依存すると、投資成績が期待通りにならずに計画が破綻するリスクもあります。投資には不確実性が伴いますので、長期的な視点と余力を持って資産形成を進めることが重要です。



つみたてNISAを20年間続けると? 利回り・積立額別にシミュレーション

つみたてNISA(2024年以降は新NISAのつみたて投資枠)での積立投資を20年間続けると、資産はどのくらい増えるのでしょうか。利回り・積立額別にシミュレーションしました。

<画像2>
金融庁 資産運用シミュレーション(外部サイト)を使用

毎月の積立額が5,000円の場合は約44~175万円、1万円の場合は約88~349万円、2万円の場合は約177~698万円、3万円の場合は約265~1,047万円の運用益が期待できます。
平均利回りが想定を超える場合や、運用を20年以上続ける場合は、もっと多くの運用益を得られるかもしれません。

このように、1回あたりの積立額は少なくても、長く積立投資を続けることによって大きな運用益を見込めます。さらに、つみたてNISAの場合は運用益には税金がかからないため、より多くの利益を手元に残すことが可能です。

例えば1,000万円の運用益を得た場合、課税口座では20.315%の税率(2023年7月現在)で税金がかかるので、約200万円の税金が差し引かれます。一方つみたてNISAで運用していれば、税金を引かれることなく1,000万円の運用益を丸々受け取れるのです(手数料は考慮せず)。
長く積立投資を続けて運用益が大きくなるほど、つみたてNISAの非課税メリットを強く実感できるでしょう。

金融オンライン・アドバイザー 松井さん:
資産運用に興味があるものの、「運用に必要な資金が十分に貯まってから始めよう」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、投資は早く始めるほど長期的な資産形成でリスクが抑えられます。また、少額からでも始められるのがつみたてNISAのメリットです。
「まとまったお金が貯まったら」ではなく、「今始められる金額でまずは始めてみる」ことを検討しましょう。



つみたてNISAの銘柄を平均利回りで選ぶときの注意点

つみたてNISAの銘柄を選ぶとき、平均利回りは判断材料の1つになります。しかし、以下の2点に注意が必要です。

1. リターンとリスクは比例する
2. 将来の利回りがどうなるかはわからない


注意点1. リターンとリスクは比例する

「平均利回りが高い投資信託を選べば、それだけ高い収益を得られるのでは?」と考えるかもしれません。しかし、高いリターンを見込める銘柄は、それだけリスクも高いため注意しましょう。
投資においてリターンとリスクは比例することを念頭に置いたうえで、銘柄を選ぶことが大切です。


注意点2. 将来の利回りがどうなるかはわからない

投資信託の利回りは、そのときの基準価額や分配金額によって変わってきます。平均利回りが高い銘柄を選んだからといって、将来も高い利回りを期待できるとは限りません。
つみたてNISAの銘柄を選ぶ際は平均利回りばかりに捉われず、投資先や運用方針もきちんと確認しましょう。

金融オンライン・アドバイザー 松井さん:
平均利回りはあくまで一定期間の利回りの”平均”であり、株価の下落で元本を下回ることは十分にありえます。老後資金のような、取り崩すタイミングがある程度の期間を要するものであれば大丈夫だと思いますが、教育資金など必要なタイミングがピンポイントで決まっている資金に対しては、たまたま必要なタイミングで暴落が起こってしまう可能性があります。そういった資金は、預貯金などでも同時に備えておくと良いでしょう。
投資はリスクを正しく理解し、上手に向き合っていくことが大切です。



まとめ

つみたてNISAの平均利回りは3~10%が目安ですが、実際にどのくらいの収益を得られるかは運用してみなければわかりません。
とはいえ中長期にわたり積立投資を続ければ、時間の分散効果によりリスクが軽減されるため、安定した運用成績を上げられる可能性は高くなります。つみたてNISAを始めるなら、直近の利回りに一喜一憂することなく、長い目で見て積立投資の継続を心がけましょう。

つみたてNISAについては以下の記事でも解説しています。あわせてチェックしてみましょう。

つみたてNISAのメリットとデメリット
つみたてNISAの銘柄の選び方
つみたてNISAの金額変更
つみたてNISAの銘柄変更
つみたてNISAから新NISAへの切り替えは必要?

本記事に掲載されている情報は2023年7月7日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁ホームページ(外部サイト)をご確認ください。

注記:
※ 本記事の内容は、情報提供を目的とするものであり、投資その他の行動の勧誘を目的とするものではありません。
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※ 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害についても、当社は一切の責任を負いません。投資に関するすべての決定は、ご自身の判断で行ってください。各商品等のご契約やご投資に際して、所定の手数料や諸経費等(以下、手数料等)をご負担いただく場合や、価格の変動等により損失が生じる場合があります。商品ごとに手数料等やリスクは異なりますので、ご契約やご投資の際には事前に各商品等の契約締結前交付書面、目論見書等をご確認ください。
※ オカネコを運営する株式会社400Fは、金融サービス仲介業者です【関東財務局長(金サ)第1号 加入協会: 一般社団法人日本金融サービス仲介業協会】。

  • プロフィール

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    監修者:松井 大輔

    1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、日本証券業協会認定 証券外務員一種

    エンジニアを経て保険業界へ転身。保険営業に携わりながらセミナーや社内勉強会、金融コラムの執筆と活動の場を広げ、2023年に株式会社400Fに入社。エンジニア時代に培った論理的思考を用いてお金の話をわかりやすく伝えることをモットーに、住宅・教育・老後資金など総合的なライフプランニングをご提案している。

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