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NISAとつみたてNISAの違いは?  どちらがお得? 仕組みや選び方を徹底解説

お得に資産形成ができるNISAは、一般NISAとつみたてNISAの2種類から自分が使いやすいほうを選択できます。資産運用を始めたいと考えていながらも、NISAとつみたてNISAの違いがわからない、自分はどっちに向いているのか知りたいなど、さまざまな疑問や不安を抱えている人も多いはず。 本記事では、NISAとつみたてNISAの違いを詳しく解説します。特徴や選び方について解説するので、疑問を本記事で解決し資産運用の一歩を踏み出してくださいね。

NISA(一般NISA)とつみたてNISAとは? 

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NISAは、個人の資産運用をサポートするための制度です。一定の投資額以内で得られた利益を非課税で受け取れるので、効率的に資産を増やせることが大きなメリットといえるでしょう。

通常の投資では、利益に対して20.315%の税金が発生します。例えば、100万円の利益が出ても約20万円は税金として差し引かれるので、手元に残るのは80万円のみ。しかし、NISAを利用すれば、100万円をそのまま受け取れます。

NISAは大きく分けて、一般NISAとつみたてNISAの2種類があります。一般NISAでは、年間120万円までの投資で得られた利益が最大5年間非課税になります。つみたてNISAの非課税投資枠は年間40万円、非課税期間は最大20年間です。

つみたてNISAは積立投資しかできず、購入できるのも投資信託のみ。NISAは一括投資にも対応しており、株式などのさまざまな金融商品に投資できます。 一般NISAとつみたてNISAはそれぞれ異なる特徴があるので、自分の運用方針に適したほうを選択することが大切です。


お得なのはどっち? NISAとつみたてNISAの違いを比較

NISAとつみたてNISAではどちらがお得か、5つの違いについて比較します。投資対象や非課税期間など異なる点が多いので、自分の目的と照らし合わせながら選びましょう。

つみたてNISA、一般NISAについてはそれぞれ以下の記事で詳しく解説しています。
つみたてNISAはメリットしかない? デメリットもあるのでは?
一般NISAのメリットは何? デメリットはある?

非課税期間|つみたてNISAのほうが税制優遇を長く受けられる

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投資で得た利益が非課税になる期間は、一般NISAで5年、つみたてNISAで20年です。長期間でコツコツ利益を積み上げたい場合は、つみたてNISAが適しているといえます。

運用できる期間が長ければ、複利効果が大きくなることも覚えておきましょう。複利効果とは、利益の再投資によって、利益が利益を生み出す仕組みのこと。運用期間が長いほど、利益が雪だるま式に増えていきます。


非課税投資枠|トータルで見るとつみたてNISAのほうが上

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新規で投資できる年間の金額は、一般NISAが120万円、つみたてNISAが40万円。非課税期間を最大限活用できた場合、一般NISAが5年間で600万円、つみたて20年間で800万円です。

非課税期間の違いからも、一般NISAは短期的な投資に、つみたてNISAは長期投資に向いていることがわかるでしょう。


投資対象|選択肢が多いのはNISA、より安全なのはつみたてNISA

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投資対象の選択肢は、つみたてNISAより一般NISAのほうが多いといえます。一般NISAでは投資信託・日本株・米国株・新規公開株など幅広い投資対象から選べますが、つみたてNISAで投資できる商品は金融庁が選定した一部の投資信託のみです。

投資信託以外にも、さまざまな金融商品に投資したい人はNISAを選びましょう。つみたてNISAは長期投資に向いている商品を金融庁が厳選しているため、投資対象にこだわりがない初心者におすすめです。


投資方法|NISAは一括&積立投資、つみたてNISAは積立のみ

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一般NISAとつみたてNISAは、選択できる投資方法も異なります。一般NISAは一括投資と積立投資どちらも選択できますが、つみたてNISAは積立投資しか選べません

一括投資は、タイミングをみてまとまった資金を一度に投資する方法です。底値で買えれば積立投資より大きなリターンを期待できますが、適切な購入のタイミングを判断するのはプロでも難しいといわれています。

積立投資は、毎月決まった金額を投資し続ける方法です。価格が高いときは少ない数量、安いときは多い数量を購入することで、平均購入金額を抑えられます。

自由度が高いのはNISAですが、初心者がいきなり一括投資をすると失敗する可能性もあるでしょう。リスクをふまえたうえで、自分の知識・経験に応じた方法を選択することが大切です。


2024年スタートの新NISAとは? 変更点を押さえよう

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2024年からは、新NISAがスタートします。一般NISAは成長投資枠、つみたてNISAはつみたて投資枠となり一本化され、併用が可能になる予定です。非課税投資枠も、成長投資枠は年間240万円、つみたて投資枠は年間120万円に拡大するため、より使いやすい制度になるでしょう。

非課税期間も恒久化され、一生涯非課税で運用できるようになります。生涯投資枠が合計1,800万円に定められていますが、売却すれば枠が復活することも覚えておきましょう。

新NISA制度の改正のポイントをより詳しく知りたい場合には、以下の記事をチェックしてみましょう。
2024年から始まる新NISAを知りたい


NISAとつみたてNISAはどちらがおすすめ?

NISAとつみたてNISAは、どちらがおすすめでしょうか。タイプ別に解説します。

短期間で利益をあげたい人や投資経験者はNISAを選択肢に

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短期間で利益を出したい人や投資経験者は、一般NISAの利用を検討しましょう。
まず、一般NISAなら一括投資が可能です。取引のタイミング次第で、短期間でも大きな利益を狙えます。積立投資しかできないつみたてNISAでは、コツコツと利益を積み上げていくのが基本です。

一般NISAであれば、株式をはじめとしたさまざまな金融商品にも投資できます。つみたてNISAでは、投資対象が投資信託に限定されるので、投資経験者にとっては物足りなく感じられることもあるでしょう。

また、一般NISAの非課税投資枠は年間120万円と、つみたてNISAの3倍です。十分な資金がある人は、一般NISAで運用したほうが非課税メリットも大きくなることを覚えておきましょう。


初心者&長期で投資したい人にはつみたてNISAがおすすめ

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投資初心者や長期で資産運用したい人は、つみたてNISAを選びましょう。

つみたてNISAは、金融庁が厳選した投資信託に投資対象が限定されています。購入手数料が無料、保有コストが安いなどの条件を満たした優良銘柄だけが選ばれているため、投資の知識がない初心者でも商品選定に迷わずに済むでしょう。

毎月決められた金額を投資する積立投資で運用するので、自分で投資するタイミングを考える必要がないのもメリットのひとつ。非課税期間も20年と長いので、長期投資を考えている人はつみたてNISAがおすすめです。


NISAとつみたてNISAに関してよくあるQ&A

NISAとつみたてNISAに関するよくある質問をまとめました。口座を開設する前にチェックしましょう。

NISAとつみたてNISAは併用できる?

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一般NISAとつみたてNISAは併用できません。どちらか一方の口座しか開設できないので、しっかりと比較検討したうえで、選択することが大切です。

一般NISAからつみたてNISA、もしくは、つみたてNISAから一般NISAへの変更は認められています。勘定変更と呼ばれるもので、年内に買い付けを行っているかどうかで手続きが変わるので注意しください。

年内に買い付けを行っていない場合は、金融商品取引業者等変更届出書(勘定変更用)を金融機関に提出しましょう。同一年内に切り替えができます。年内に買い付けを行っている場合は、非課税口座異動届出書を提出してください。翌年以降に切り替えが可能です。

先述の通り、2024年からは一般NISAとつみたてNISAは新NISAに一本化される予定のため、事実上併用できるようになるでしょう。


iDeCoとの違いは? 併用して加入できる?

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iDeCoと一般NISA・つみたてNISAの併用は可能です。併用することにより、iDeCoとNISAの双方で非課税メリットが受けられます。

iDeCoは私的年金制度のひとつです。投資により得られた利益が非課税になる点はNISA・つみたてNISAと同じですが、掛金が全額所得控除になる点が異なります

所得控除によって所得税や住民税を節税できるので、NISA・つみたてNISAよりもお得な制度といえるでしょう。ただし、iDeCoで積み立てた資産は原則60歳まで引き出せない点や、運用中は一定の手数料が毎月発生する点には十分注意してください。


NISAとつみたてNISAを始める際に必要な手続きは?

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まずは、一般NISA・つみたてNISAの専用口座を開設しましょう。証券会社の総合口座も必要なので、未開設の場合は一般NISA・つみたてNISA口座とあわせて開設を申込んでください。

一般的に口座開設を行う際は、本人確認書類・マイナンバー関係書類が必要です。運転免許証やマイナンバー通知カード、マイナンバーカードを手元に用意しておくとスムーズに手続きを進められます。証券会社によって手順は異なるので、詳しくは各証券会社の公式サイトを確認してください。

証券会社選びに迷ったときは、以下のページをチェックしましょう。各証券会社のサービス内容をランキング形式でまとめているので、NISA・つみたてNISA口座の金融機関を選ぶ際に役立つはずです。

証券会社をランキングから探す
口座開設から金融機関・銘柄の選び方まで解説
つみたてNISAから新NISAへの切り替えは必要?
新NISAで証券会社を変更する方法

本記事に掲載されている情報は2023年5月18日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁ホームページ(外部サイト)をご確認ください。

情報提供元:mybest
画像出典元:Getty Images

  • プロフィール

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    伊藤 亮太

    ファイナンシャル・プランナー/伊藤亮太FP事務所代表

    伊藤亮太FP事務所代表、スキラージャパン株式会社代表取締役。ファイナンシャル・プランナーとして、年間平均約100~200件の相談(資産運用、相続、保険の見直し、住宅ローンなどのローン相談等)を行うほか、証券外務員やFP資格取得講師、金融経済情勢、富裕層顧客開拓スキル、ドクターマーケット開拓、年金、四季報活用講座などの研修講師を行う。

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