【為替本日の注目点】ドル円、半値戻しを突破

5/14 10:38 配信

サーチナ

 ドル円は続伸し、5月2日以来となる156円台に乗せる。「半値戻し」である156円04銭前後も抜き、156円26銭までドル高が進行。ユーロドルでは「ドル安ユーロ高」が進む。ユーロドルは1.0807まで買われ、対円でも168円台半ばまで上昇。株式市場は依然としてまちまちの展開。ダウとS&P500は小幅安ながら、ナスダックは小幅高。債券は小幅に買われ、長期金利は4.48%台に低下。金は大幅反落。原油も反発。

ドル/円 155.69 ~ 156.26
ユーロ/ドル 1.0787 ~ 1.0807
ユーロ/円 168.09 ~ 168.66
NYダウ -81.33 → 39,431.51ドル
GOLD -32.00 → 2,343.00ドル
WTI +0.86 → 79.12ドル
米10年国債 -0.010 → 4.487%

【本日の注目イベント】
独 独4月消費者物価指数(改定値)
独 独5月ZEW景気期待指数
英 英4月失業率
英 英ILO失業率(8-10月)
米 4月生産者物価指数
米 クック・FRB理事講演
米 パウエル・FRB議長とオランダ中銀総裁が講演
米 バイデン大統領、米国の投資と雇用について演説(ホワイトハウス)

 156円手前で足踏み状態だったドル円はついに156円台に乗せ、今回の下落分の「半値戻し」を達成しました。達成するとしたら明日発表の「米4月の消費者物価指数(CPI)」がきっかけになるのかと考えていましたが、昨日はNY連銀の調査で、米消費者の1年先インフレ期待が「3.3%」に上昇していたことが明らかになったことがドルを押し上げました。同指数は前月までは3%前後で推移していましたが、昨年11月以来の高水準となりました。既に発表された「ミシガン大学消費者マインド」でも、消費者は今後もインフレが鈍化しないとの見方を強めており、FRBだけではなく消費者も、インフレの鈍化傾向には疑問を抱き始めていることが浮き彫りになりました。

 ドル円はこれ以外にもFRB高官の発言にも反応したようです。ジェファーソンFRB副議長は13日クリーブランド連銀で開かれたイベントで、「インフレを当局目標に下げるという点で進展が鈍化していることから、政策金利を現在のような景気抑制的な領域に維持することが適切だ」と指摘し、「われわれは、インフレ率が2%目標へと下がることを示すさらなる証拠を探し続けている。そうした証拠が得られるまで、政策金利を景気抑制的な領域にとどめておくことが適切だろう」と述べ、1-3月期にインフレ面で進展が見られなかったことに懸念を表明した格好となりました。ボウマン理事に続き、副議長であるジェファーソン氏も利下げには否定的な認識を示したことで、再び利下げ観測が後退した模様です。

 さらに言えば、イエレン財務長官の発言もドル高に作用したようです。振り返ってみれば、ドル円が152円台に乗せた時も、さらに155円、158円台に乗せた時でさえも、政府・日銀は、口先では介入に強い姿勢を見せながらも実施には踏み切らず、筆者も何度か「介入できない何かがあるのでは」と、この欄でも書きましたが、やはり米財務省の存在があった模様です。イエレン財務長官はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、為替市場での政府介入には後ろ向きな見方を示し、G7各国による介入にはなおさら否定的な姿勢を明らかにしました。イエレン氏は「I’m not going to comment on a situation in specific country」(特定な国についてのコメントはするつもりはない)としながらも、「それぞれの国にとって介入は可能だ。よりファンダメンタルな変化を伴わない限り、極めてまれなケースであるべきで、貿易相手国に伝達するのが適切だろう」と説明していました。また、「ドル相場を見る上でどの通貨を注視しているか」という質問に対しては、「ユーロと円、人民元だ」と答えています。介入した後も、「介入したかどうかについては、ノーコメントだ」と神田財務官は答えていましたが、これで明確に「介入した」と発言できなかった理由も判明したと思われます。ブラジルで行われたG20の際、日米韓の為替責任者がG20に先立ち、敢えて3者会合を開催しましたが、「ここで介入についてイエレン長官からは『色よい返事』はもらえなかった」と考えると、その後の行動や発言が理解できそうな気がします。

 ドル円は「半値戻し」を達成しました。次のターゲットは「61.8%戻し」にあたる157円前後です。

 本日のドル円は155円50銭~156円80銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

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最終更新:5/14(火) 10:38

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