台湾生まれAI先駆者、中国版ChatGPTの普及目指す-独自モデル導入

5/13 16:12 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 人工知能(AI)のパイオニアである李開復(カイフー・リー)氏が創設した中国スタートアップ企業が、自社初の消費者向けAIアプリを投入する。中国での普及を目指す。

李氏率いる零一万物(01.AI)は、「Wanzhi」と呼ばれる無料のAIアシスタントを発表する。同社が開発を進めているAI製品群の最新版だ。米マイクロソフトの「オフィス 365 Copilot(コパイロット)」に似ており、ユーザーがスプレッドシートや文書、プレゼンテーション用スライドをより迅速に作成できるよう支援する。財務報告書の解読や会議の議事録作成に加え、60万語に及ぶイーロン・マスク氏の伝記のような長編書籍の速読も可能。主に中国市場向けで、中国語と英語で利用できる。

李氏はブルームバーグとのインタビューで、中国で関心を高め、導入と投資を加速させるためには同国独自の「ChatGPT」が必要だと指摘。ChatGPTは2022年に発表された米オープンAIの対話型AIで、中国では使用が禁止されている。

さらに、米国では1年5カ月前にChatGPTが導入されたが、「中国のユーザーにはそうした出会いがなく、従来の中国のチャットボットやツールはどれも不十分だった」とも述べた。

オープンAIやメタ・プラットフォームズ、アルファベットなどの米企業が生成AIの分野でリードする一方、中国のプレーヤーは追いつこうと懸命に取り組んでいる。零一万物のほか、動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の親会社である字節跳動(バイトダンス)や百度(バイドゥ)などのテック企業が、独自のAIモデルやチャットボットサービスの開発に資金を投じている。

台湾生まれの李氏(62)は米アップルやグーグルでの勤務を経て、10年余り前に自らのベンチャーキャピタルを創設。昨年、零一万物の最高経営責任者(CEO)に就任した。同社は一部指標でシリコンバレーを上回るオープンソースAIモデルを武器に設立後8カ月で企業価値10億ドル(約1560億円)を超えるユニコーン企業に成長した。

同社はWanzhiのほか、企業ユーザーをターゲットにした「Yi-Large」と呼ばれる独自の大規模言語モデル(LLM)も導入している。

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原題:AI Pioneer Kai-Fu Lee Aims to Bring China Its ChatGPT Moment(抜粋)

--取材協力:Amy Thomson、Seth Fiegerman.

(c)2024 Bloomberg L.P.

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最終更新:5/13(月) 16:12

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