「量子・AI・防衛…」最強テーマから選抜! 超絶変身6銘柄リスト <株探トップ特集>
―時流を捉えた投資テーマに着目、波乱相場にも臆せず今こそ拾っておきたい銘柄とは―
週末28日の東京株式市場は日経平均株価が急落、一時900円を超える下落に見舞われた。この日は3月期決算企業の権利落ち日にあたり、配当の剥落分で307円程度と試算されており、それが下げ幅に上乗せされている。しかし、その分を差し引いても想定以上の深押しだったといえる。26日にトランプ米大統領が輸入自動車に一律25%の関税をかけると発表したことで、グローバル経済への影響が改めて懸念される状況にある。
この自動車関税発表を受け世界株市場は一斉に緊張を強いられたのだが、欧州やメキシコ・カナダなどが報復関税などで米国とやり合う姿勢をみせているのに対し、日本では石破政権が無反応、全く音無しの構えにあることから、これが売りに拍車をかけているという見方も市場関係者からは聞かれた。政府がファイティングポーズをとることすら放棄している状況で、関税デメリットが直撃する輸出株は単なる値ごろ感だけでは手を出しにくい。そうしたネガティブな思惑が底流するなか、28日のマーケットは特に自動車セクターと 半導体関連株への売り圧力が強烈で、市場センチメントを冷やす格好となった。
●3月と4月にみる海外投資家の鉄板アノマリー
しかし、株は基本的に需給によって支配される。目先の景色に一喜一憂すると、相場の方向性を見誤るというケースも多い。東京市場で断トツの売買シェアを有し、全体の流れを支配するといわれる外国人投資家は、2月第3週から3月第2週にかけて日本株を大きく売り越してきた。3月第3週は現物で5週間ぶりに買い越しに転じたのだが、買い越し額は2611億円(東証・名証合算)にとどまり、それまでの4週間合計で1兆6800億円あまり売り越していたことを考えると、焼け石に水のようにも見える。3月月間でも外国人の大幅売り越しは疑いのないところだが、投資家が見極めなければならないのは4月新年度に入ってからの相場展望である。
過去10年間を振り返って、3月月間で外国人投資家は日本株を8回売り越している。ところが、4月については過去10年で実に9回買い越しているのだ。売り越したのはコロナ・ショックのあった2020年のみであり、3月とは打って変わって4月の外国人買い越しの確度は勝率にして9割という特異な月である。新年度入りとなる4月に海外投資家が一転して売りから買いへとスタンスを変えるのは、鉄板アノマリーの一つであり、それに先立って今は買い場が提供されているという見方も成り立つ。
●自動車と半導体関連は中期投資の対象外
では、投資家はどういった銘柄にターゲットを絞るべきなのか。それは業績面で評価できる内容であることはもちろん、投資テーマに乗る銘柄であることが基本となる。例えば、現在売りの洗礼を浴びている半導体関連株などは高値から大幅にディスカウントされている銘柄のオンパレードで、値ごろ感から食指が動くのも当然だが、人気の高い銘柄ほど戻りにくいというパラドックスが生じている。
AI・半導体相場の象徴であったアドバンテスト <6857> [東証P]はその典型。これだけ連続で陰線を連ねて1月の最高値から33%も水準を切り下げているが、信用買い残も高水準に積み上がっている。安いから買いたいという向きが多いのは人気株の宿命だが、それがリバウンド余地を低下させるという皮肉な状況を作り出している。トランプ政権の対中輸出規制などの影響も半導体セクターは受けやすく、足もとで半導体投資が活発でも、それははるか以前に株価に織り込まれた話なのである。これからの展望に希望が持てなければ、上値を買い進む動きには発展しない。
また、自動車株も同様である。トヨタ自動車 <7203> [東証P]が週末に改めて売り直されたが、これは新たな売り材料が発現したわけではない。にわかに現実のものとなった25%の自動車関税で投げ売りを誘ったが、業界最大手の同社は米国内に生産拠点を多く有することから、懸念するほどの収益デメリットは生じないという判断も働くところ。ただ、トランプリスクには常に晒された状態で、いつ何時横殴りの突風に見舞われるか戦々恐々とするよりない。同社株の場合はPBR1倍という投資指標面で強力な車輪止めがあり、ここを大きく下回るというケースは考えにくいものの、上昇気流に乗るような中期的なトレンド転換は当分見込みづらい。
物色対象としては、大型主力株のリバウンド狙いよりも、テーマ買いの流れに乗る好実態の中小型株に注目したい。その際、トランプ関税に振り回されにくいセクターに焦点を合わせるのがポイントとなる。
●時代の潮流でマストとなる6テーマ・6銘柄抜粋
テーマは6つ。まず、27年度を最終年度とする5カ年防衛力整備計画で総額約43兆円の予算枠が掲げられている防衛関連。これに付随して国家安全保障の観点でサイバー攻撃への対応も必須であり、サイバーセキュリティーを手掛ける企業もマークが怠れない。
また、米エヌビディアが研究拠点を設立すると発表し、にわかに開発に本腰の構えをみせ始めた量子コンピューター周辺の銘柄群も外せない。同じ時間軸でAI関連にも新たな切り口で注目度が高まっている。中国ディープシークの登場で最先端半導体には逆風ながら、AIソリューションを手掛ける企業にとっては追い風が強い。
更に、世界的に活躍機会が広がり、国内でも相次ぐベンチャー上場で耳目が集まるドローンも投資テーマとして市民権を得ており、今後本格的に物色の矛先が向かいそうだ。このほか社会問題としてクローズアップされた埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け、下水道老朽化対策も喫緊の対応が求められ、関連銘柄にスポットライトが当たっている。
今回のトップ特集では上記の6テーマに属する銘柄で、株価の変貌余地が高いと思われるものを各テーマにつき1銘柄厳選して紹介していく。
●防衛関連
【古野電気 <6814> [東証P]】
古野電は船舶用電子機器で世界屈指の商品競争力を誇り、特に同社が世界で最初に実用化に成功した魚群探知機のシェアでは今なお他社を寄せ付けないニッチトップ企業である。防衛関連向け製品ではGPS(全地球測位システム)搭載のレーダーなどの需要獲得が増勢となっている。同社のチャートレーダーは優れた探知性能と高度なターゲット追尾機能を有し評価が高い。業績は飛躍期に突入しており、その変化率には目を見張るものがある。船舶用電子機器は漁船用や防衛関連向けが牽引しており、営業利益は24年2月期に前の期比4.3倍化し65億1900万円と急拡大を果たしたが、25年2月期も前の期比84%増の120億円予想と高変化を続け、17年ぶりに過去最高を大幅更新する見通しだ。なお、トップラインも25年2月期に1250億円まで拡大し2年連続でピーク更新が予想されている。PER、配当利回りなどからも時価は評価不足が際立つ。株価は中勢3000円台活躍が濃厚で、1984年3月につけた最高値3370円の41年ぶり更新も視野に入りそうだ。
●量子コンピューター
【HPCシステムズ <6597> [東証G]】
HPCシスは科学技術用高性能コンピューターの開発・販売及びソリューション事業を主要業務として展開する。スーパーコンピューター分野で先駆的なポジションに位置するだけでなく、ここ話題性が高まっている量子コンピューター分野でも豊富な知見を有し注目度は高い。量子コンピューターは米エヌビディアが今月開催した年次開発者会議で、同分野をテーマとしたパネルディスカッションを行い、量子コンピューター関連の研究拠点を設立すると発表するなど積極注力の意向を示したことから、日米で関連企業の株価を刺激した経緯がある。そうしたなか、HPCシスは量子化学計算をクラウドサービスで提供するなど既に高実績を持っていることでマークが怠れない。業績も25年6月期は営業利益段階で前期比41%増の6億円を見込むなど好調。最先端を行くIT企業にもかかわらずPERは12倍前後に過ぎず、1000円台前半の株価は長期波動で大底圏といってもよい。短期視野ではなく中長期スタンスで現物を沈潜させておくのも有力だ。
●人工知能(AI)
【PKSHA Technology <3993> [東証P]】
パークシャはAI分野に特化したベンチャーの先駆けとして注目され、上場した17年に7200円台まで上昇、翌18年に8365円の最高値をつけるなど脚光を浴びた。自然言語処理及び画像認識技術にディープラーニングなどを活用したAIアルゴリズムモジュール開発を基点とし、企業の業務効率化に貢献する。顧客企業のシステムに直接組み込む形式もしくは自社ソフトウェアとしての提供をビジネスモデルとしているが、近年は生成AI市場の急成長を背景に活躍の場を広げている。とりわけ最近では、業界の耳目を驚かせた中国ディープシーク開発による低コストのAIモデル登場に伴い、パークシャにとってはAI開発コストの低減を背景とした企業価値向上に結び付く可能性が高まっている。業績は好調を極めており、事業利益は24年9月期の31億4800万円(前の期比3.7倍)に続き25年9月期も増益を確保する見通しで、会社側では33億5000万円を見込むが、市場では更なる上振れ余地が指摘されている。M&A戦略にも長じ、中期的な成長余地も申し分ない。
●ドローン
【FIG <4392> [東証P]】
FIGはIoT事業を主力とするが、具体的にはタクシーや物流などの旅客運送業界向けに移動体管理システムなどを提供するビジネスで、このほか半導体関連装置やロボットなど装置事業も手掛ける。ドローン市場の拡大を商機として捉えている点は注目。グループ会社を通じて、昨年7月に住商アグリビジネス(東京都千代田区)の北見支店に国内最大級の大型ドローンを納入した実績を持つ。また、北海道の農業界向けドローン導入ビジネスに住商アグリビジネスと連携して前向きに取り組んでおり、今後の展開が期待される状況だ。業績は急回復が見込まれており、25年12月期は売上高が136億~145億円(前期実績は120億1600万円)、営業利益は8億~11億円(同3億6300万円)を予想している。26年12月期も増収増益基調は維持されそうだ。株価は200円台とかなり低位に位置し、時価総額は100億円未満だが出来高流動性は高い。株価の急騰力は限定的ながら昨年4月には406円の高値をつけた実績があり、時価は底値買いの好機といえる。
●下水道老朽化
【NJS <2325> [東証P]】
NJSは上下水道の建設コンサルティング事業を手掛け、官公需案件が売り上げの大半を占めている。企画、調査、計画、施工管理に至るまで一気通貫で対応できるのが強み。その実力はグローバルで、売上全体の1割は海外の上下水道インフラにかかわるものだ。政府が推し進める国土強靱化で重要なポジションを担っているが、最近では埼玉県八潮市の道路陥没事故で下水道の老朽化対策が緊急課題となるなか、同社はその関連有力銘柄として株式市場で頭角を現した。業績は24年12月期に営業利益が前の期比85%増の29億9300万円と目覚ましい伸びを示したこともあり、25年12月期は前期比横ばいの30億円予想と保守的だ。しかし、受注については会社側の想定を上回る公算が大きい。株主還元に前向きに取り組み、18年12月期以降は毎期増配を繰り返すなか25年12月期の年間配当は前期比5円上乗せとなる100円を計画する。株価は3月5日につけた上場来高値4815円を払拭し、青空圏である5000円台を地相場とする展開を期待。
●サイバーセキュリティー
【HENNGE <4475> [東証G]】
HENNGEは企業向けにクラウドセキュリティーサービスを展開する。同社が提供する「HENNGE One」は特定の場所や端末以外からのアクセス制御ができるほか、シングルサインオン機能(単一のID・パスワードで複数のクラウドサービスにログイン可能)や情報漏洩対策、標的型攻撃への対応などで優位性を発揮する。解約率の低いストック型のビジネスモデルで業績は高成長路線をまい進中だ。直近、HENNGE Oneの年間契約金額(サブスクリプションモデル)が100億円を突破したことを開示している。アジアを中心に海外への布石にも余念がない。3月21日には投資事業会社と共同出資の形で米国での合弁会社設立を発表している。クラウドセキュリティーは時流を捉えており、今後の成長期待も大きい。25年9月期は売上高が前期比25%増の104億4100万円、営業利益は同55%増の15億7400万円予想と絶好調で、いずれも大幅な過去最高更新基調を継続する見通し。株価は24年2月につけた昨年来高値1753円の払拭から2000円台突入の可能性も十分だ。
株探ニュース(minkabu PRESS)
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最終更新:3/31(月) 9:11