株式週間展望:トランプ関税見極め、日経平均4万円トライも
日経平均予想レンジ:3万8600-4万円
今週の日本株相場は最終的に戻り待ちの売りに押されたものの、総じて底堅い歩調となった。トランプ米大統領の関税爆弾はひとまず暴発せず、市場は冷静に見極める局面に入った。ドル・円の安定化も見込まれる中で、来週も日経平均株価が下値を切り上げる動きが期待される。
<薄れる不確実性>
トランプ大統領は今週、日本や欧州も含むすべての貿易相手国に相互関税を課すと発表した。関税率の均衡にとどまらず、補助金や付加価値税などの「非関税障壁」にも対抗する構え。ただ、即時発動は見送り、各国に交渉の余地を残した格好だ。
トランプ大統領は就任以降、メキシコとカナダへの25%の関税や中国製品に対する10%の追加関税、鉄鋼・アルミへの25%の関税、さらには今回の相互関税と、矢継ぎ早に政策を打ち出してきた。ただ、同時にそれらの一部は導入期限を設けるなど、ディール(取引)のカードである点もにじませている。
本格的な貿易戦争へとエスカレートした場合は世界経済に大きなダメージを与えるとみられる半面、米政府もそれは望まず、相手の動き次第で柔軟な対応を取り得るとの見方が優勢だ。懸念は依然として多く残るものの、マーケットが嫌う不確実性は徐々に薄れてきている。
トランプ関税による米国の物価上昇懸念も、やや和らいだとみられる。これにより、FRB(米連邦準備制度理事会)の適度な緩和スタンスが維持されれば、株式市場への一定の資金流入が保たれるだろう。一方で早期の利下げは想定しにくく、ドル・円もここから大幅な円高や円安には向かいにくいと考えられる。
<アップル新製品>
来週は決算発表一巡で個別株の買い手掛かりが乏しくなりそうだ。ただ、マクロでは国内で19日に1月貿易統計と同訪日外客数が発表され、輸出株やインバウンド(訪日外国人観光客)株を刺激する可能性もある。
米国では前半に住宅系の統計が控えるほか、18日の2月NY連銀製造業景気指数、20日の同フィラデルフィア連銀製造業景況指数も注視される。また、税還付の時期にも当たるため、米株の需給が改善するかもしれない。
さらに、19日には米アップルが新製品を発表する。iPhone(アイフォーン)の3年ぶりの後継機種が披露される見込みで、AI(人工知能)搭載が視野に入る。TDK <6762> や村田製作所 <6981> 、アルプスアルパイン(アルプスA) <6770> など、日本の電子部品株の物色の切り口として期待される。
こうした中、来週の日経平均は、4万円どころの再チャレンジが視野に入る。もっとも、そのレベルでは上値が格段に重くなると思われる。予想レンジは3万8600-4万円とする。中銀イベントは、日銀が19日の高田審議委員の宮城県金融経済懇談会におけるあいさつ、米国が20日日本時間未明公表のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録だ。
提供:ウエルスアドバイザー社
ウエルスアドバイザー
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最終更新:2/14(金) 17:31