投資家240人にアンケート、1年以内に物件買った人は何割?《楽待新聞》

5/23 19:00 配信

不動産投資の楽待

物件価格が高騰する中、「目線にあった物件がない」「いつになったら物件が買えるのか」と悩む投資家も多いだろう。

そんな中でも一部の投資家は物件を購入しているのも事実だ。買えている人は一体どんな物件を買っているのだろうか―。買いたくても買えない人からすると、気になるところだろう。

楽待新聞編集部は「不動産市況に関するアンケート」を実施し、会員240人から回答を得た。最近物件を購入した人、購入していない人、それぞれの事情を探った。

※アンケート実施概要
調査時期:2024年4月10日~5月2日
有効回答数:239人

■不動産価格上昇で様子見ムードか

不動産価格は高騰していると言われるが、投資対象としているエリアや物件によって事情が異なるかもしれない。投資家たちは現在の不動産市況をどのようにみているのだろうか。

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1.物件価格の変動
上昇している…71%
変動はない…23%
下落している…6%
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「1年前と比べて、投資用不動産の価格がどのように変動しているか?」との問いへの回答で最も多かったのは「上昇している」(71%)だった。やはり多くの投資家が物件価格の上昇を実感しているようだ。

一方で「変動はない」との回答は23%。少数派だが、「下落している」(6%)との回答もあった。

では、今は売り時なのか、買い時なのか―。

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2.売り時か、買い時か?
売り時…36%
買い時…15%
どちらとも言えない…49%
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「2024年は物件の売り時と買い時、どちらか?」と尋ねた結果は、「どちらとも言えない」(49%)が最も多かった。「売り時だと思う」は36%、「買い時だと思う」は15%だった。物件価格の今後の動向が読めず、様子見ムードが広がっているようだ。

それぞれの回答理由を自由回答形式で尋ねた結果の一部を抜粋して紹介する。

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【回答理由】
<売り時>
・ゼロ金利解除によって金利が上がると不動産は下がるから(東京都、60代、投資歴10~20年)
・今なら売却益が出そうだから(千葉県、50代、投資歴5~10年)

<買い時>
・日銀の利上げ幅は上限が低い。インフレによる価格上昇の方が強いと見ている(東京都、30代、1~3年)
・歴史的円安などにより都心不動産が上昇し、隣接地域の住宅価格も上がる(東京都、40代、20~30年)

<どちらとも言えない>
・個別の物件を見て判断すべき。マクロを確認しつつ、判断はミクロを詳細に分析するべき(大阪府、50代、3~5年)
・福岡はここ数年は上昇するが、その後は下落すると思っている。短期売買を前提に今年買って数年のうちに売却するなら利益は出そう(福岡県、60代、3~5年)
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■どんな物件を買っている?

以上のアンケート結果では、物件価格が高騰している中で今が物件の買い時だと考えている投資家は少数派だった。このようなご時世で物件を買えている投資家はどれくらいいるのだろうか?

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3.過去1年間の購入実績
購入した…37%
購入していない…63%
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過去1年間(2023年4月以降)に物件を購入したかどうかを尋ねたところ、「購入した」は37%、「購入していない」が63%だった。物件購入に至ったのは回答者の3人に1人という結果となった。

では、実際に買えている人はどんな物件を選んでいるのだろうか?

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4.購入した物件は?
一棟アパート…41人
戸建て賃貸…20人
区分マンション…16人
一棟マンション…7人
一棟商業ビル…2人
土地…2人
その他…1人
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この1年間に購入した物件の種別を回答してもらった。最も多かったのは「一棟アパート」で41件、「戸建賃貸」が20件、「区分マンション」が16件、「一棟マンション」が7件などと続いた。

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購入した物件の所在地は、「東京都」が14件で最多だった。都心を中心に価格の高騰が著しいエリアだが、購入に至っている投資家も一定数いることがわかる。「埼玉県」(11件)、「神奈川県」(9件)と首都圏の県が上位に並んだ。関西圏からは3位タイで大阪府がランクイン。愛知県と千葉県が5件ずつで続いた。

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表面利回りはどのくらいの物件を購入しているのだろうか。「7%台」(19件)が最も多い結果となった。「10%台」や「8%台」にも回答が集まっており、物件価格が高騰する中でも「このくらいの利回りは死守したい」という投資家の考えが表れた結果とも言えそうだ。

中には15~20%以上と回答も。購入者の1割程度に上っており、一部の投資家は高い利回りで購入できているようだ。

■購入者のお金事情は

購入資金はどのように工面したのか尋ねたところ、「融資を利用した」が80%、「現金で購入した」が20%だった。

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7.融資の利用状況は?
融資を利用…80%
現金で購入…20%
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では、融資を利用した人は、どのような金融機関を利用しているのか?

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8.利用した金融機関は?
地方銀行…48%
信用金庫・組合…30%
都市銀行…10%
ノンバンク…10%
信託銀行…2%
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結果は「地方銀行」が48%で最も多かった。次いで「信用金庫・組合」が30%、「都市銀行」と「ノンバンク」がそれぞれ10%だった。

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9.融資の金利は?
1%未満…7%
1%台…48%
2%台…32%
3%台…10%
4%以上…3%
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融資条件は「1%台」が半数近くを占め、最も多かった。さらに低い「1%未満」も7%で、合わせて過半数となった。「2%台」も合わせると、融資で購入した人の8割が2%台未満の金利で借りている。

裏を返せば、物件価格が高騰して利回りが低下する中、低金利で融資を受けられるかどうかが、物件購入の成否を分けるポイントと考えることもできそうだ。

一方で、過去1年間に1件も物件を購入しなかった(できなかった)人は、どのような背景があったのだろうか。

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【購入しなかった理由】(一部抜粋)
・探しているが、想定価格より2割位高い値段でしか物件が見つからない(東京都、30代、5~10年)
・今年の年初に購入予定の物件があったが、買い負けした(東京都、70代以上、30年以上)
・銀行と交渉したが、頭金や金利で折り合わなかったため(北海道、30代、1~3年未満)
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■「金利」への関心が最多

最後に回答者全員を対象に、投資全般に関する質問を行った。

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「投資に影響する要素として2024年に注目していること」を選択式(複数回答可)で尋ねたところ、「金利」(142票)がトップだった。日銀のマイナス金利政策解除を受けて、今後の金利上昇に関心が高まっていることを裏付けた。

2位は「建築コスト」で124票が集まった。資材価格や人件費の高騰で建築コストが上昇し、結果的に新築を中心とした物件価格の高騰に拍車がかかっている状況を反映しているようだ。

そのほか、インフレ局面で「物価」や「国内景気」にも関心が集まっている。また、歴史的な円安などを背景に「為替」や「米国経済」を挙げる声も多かった。

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不動産価格が高騰する中、不動産投資以外の投資への関心はどうだろうか?

不動産以外の投資先としては「国内株式」(137票)が最多だった。新NISAの開始などで人気が高まっている「投資信託・ETF」(105票)が続いた。

「不動産以外の投資はしていない」は38票にとどまり、不動産以外にも何らかの投資先を持っている人が多いことがわかる。

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不動産投資以外にも投資を行っている理由は「リスク分散」が圧倒的。「今は基準に合う物件がないから」「将来物件を購入するための資金を作るため」といった意見もあった。

本当は不動産に投資したいが、仕方なくほかの投資先を探している人や、来るべきタイミングに備えて今はほかの投資で資産を増やす時期と考えている人もいるようだ。

今回のアンケート回答者は、現在どのくらいの金融資産を持っているのだろうか。

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13.現在の金融資産
100万未満…5%
100~500万…12%
500~1000万…13%
1000~3000万…25%
3000~5000万…21%
5000万~1億…14%
1億以上…10%
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最も多かったのは「1000~3000万円」で25%。次いで「3000~5000万円」が21%で、「1億円以上」も10%に上った。すでに複数の不動産を所有している人が多いが、不動産以外の金融資産もそれなりに持っていることがわかる。



日銀の金融政策転換など投資を取り巻く環境は刻一刻と変化しており、投資家心理にも影響を与えている。楽待新聞では今後も定期的に会員アンケートを実施していく。ほかの投資家の動向を把握して、自身の投資戦略を考える上での参考にしてほしい。

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最終更新:5/23(木) 19:00

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