老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、65歳になっても遺族厚生年金を受け取りながら働きたい女性からの質問です。
◆Q:現在、遺族厚生年金を受給している64歳です。仕事も続けています。65歳になっても遺族厚生年金を受け取りながら働きたいのですが、自分の厚生年金も受け取ることになるのでしょうか?
「64歳で遺族厚生年金を受け取っています。今も仕事を続けていますが、65歳になったら自分の厚生年金も受け取ることになるのでしょうか? それとも遺族厚生年金だけになりますか?」(ゆーさん)
◆A:65歳になると「自分の老齢基礎年金+老齢厚生年金」に加え、条件によっては「遺族厚生年金の差額分」も受け取れます
65歳になると、自分自身の老齢年金の受給が始まります。
このとき、すでに遺族厚生年金を受け取っている場合は、自分の老齢厚生年金との調整が行われます。その結果、65歳以降に受け取る年金は次のようになります。
自分の老齢基礎年金+自分の老齢厚生年金(+遺族厚生年金が自分の老齢厚生年金より多い場合は、その差額分)
つまり、自分で納めた厚生年金保険料分は全額、65歳からの老齢厚生年金に反映され、遺族厚生年金については自分の老齢厚生年金を上回る差額分だけが加算される仕組みです。
このため、「どちらかを選ぶ」という選択は不要で、日本年金機構が自動的に有利な組み合わせで支給します。
どの程度受け取れるかは、遺族年金と老齢厚生年金の金額によって異なります。詳細は、年金事務所でシミュレーションしてもらうと確実です。
なお、60歳以降に厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金を受け取る場合、在職老齢年金制度の対象となります。
以下の条件で、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となる場合があります。
基本月額(老齢厚生年金の報酬比例部分の月額)+総報酬月額相当額(給与+賞与÷12)
=合計が51万円(令和7年度)を超えると支給停止
老齢基礎年金や遺族年金は在職老齢年金制度の対象外のため、給与額にかかわらず支給停止にはなりません。
65歳以降は、
・自分の老齢年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)
・遺族厚生年金(差額支給)
を組み合わせて受け取る形になります。複雑に見えても、自分で納めた保険料分がしっかり反映される制度なので安心してください。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
All About 編集部
最終更新:11/11(火) 8:10