財界首脳から相次ぐ円安是正要望、「行き過ぎ」と新浪氏-155円目前

4/17 16:14 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 経済界から外国為替市場で進む円安について、是正を求める声が相次いでいる。米国の利下げ観測が後退する中、円相場は16日に対ドルで34年ぶりの安値を更新。原材料の輸入が多い企業にとって円安進行は業績にマイナスの影響が大きく、経営のかじ取りが難しくなっている。

日本・東京商工会議所の小林健会頭は定例会見で、円安について「他国との協調介入も検討してほしい。中小企業にとって原材料高騰で苦しい」と語ったと、共同通信が17日に報じた。16日には経済同友会の代表幹事を務める新浪剛史サントリーホールディングス社長も、現在の状況は行き過ぎている可能性があり、「是正が必要なレベルになってきている」と話した。

円安は、自動車など海外売上高比率が高い業界の業績にプラスに働く一方、海外から原材料や燃料を輸入するケースが多い内需企業はコストアップにつながり、収益を圧迫しかねない。また、製品価格への転嫁を通じて個人消費を減退させる要因にもなり得る。

特にコスト転嫁がなかなかできない中小企業では、円安による業績へのダメージが大きくなり、倒産に発展するケースも増えている。東京商工リサーチの調査によると、円安関連の倒産は2022年7月以降、20カ月連続で発生しており、今年2月は5件と3カ月ぶりに前年同月を上回った。

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は11日の決算会見で、円安について「当社に対してだけでなく、日本にとっていいわけではない」と述べていた。

17日の円相場は対ドルで154円台後半で推移。16日には一時154円79銭と1990年6月以来の安値を更新し、市場では日本の通貨当局がいつ円買い介入を行ってもおかしくないとみられている節目の155円に接近している。

米国の経済統計が予想以上に強く、利下げが遅れるとの見方が広がる一方、日本銀行の追加利上げがあってもペースは緩やかで、日米金利差は縮まらないとの読みが足元のドル高・円安進行の背景にある。また、中東情勢の緊迫化も有事のドル買いを促す要因の一つだ。

鈴木俊一財務相は16日の閣議後会見で、為替動向について「必要に応じて万全の態勢、対応をしっかりやっていきたい」と発言。日本と韓国の財務相は自国通貨を巡る懸念について協議し、急激な変動には適切な措置を取ることを確認するなど政策当局も緊迫度合いを高めている。

韓国、日本と為替巡り懸念協議-急激な変動には適切な措置と警告

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最終更新:4/17(水) 16:14

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